ライバルをからかう看板広告
お客にクルマを選んでもらい、そして大金を支払ってもらうためには、納得のいく理由を何度も説明しなければならない。そのようなプロセスは、必然的に自動車文化を部族的なものにし、対立を煽るようなことになってしまう。
【画像】ラダーフレーム vs モノコックSUV! 英国オフロード車対決【イネオス・グレナディアとランドローバー・ディフェンダーを比較】 全42枚
単に自分と違う選択をした人を嘲笑したり、鼻であしらったりするのは幼稚なことだが、時折、わたし達はそうしてしまう。それは、啓蒙活動では永久に抑えきれない、人間の潜在意識の奥深くにある何かと結びついているからで、仕方のないことだ(科学者がそう言っているんだから、本当だ)。
優れた自動車広告も同様で、人の心に深く訴えかけてくる。その最たるものは、看板広告だ。看板広告は近年、高度化したデジタル技術と型破りなクリエイティビティ、そして看板を制作する代理店間の競争意識によって、重い役割を背負わされている。
今では、ANPR(自動ナンバープレート認識)カメラで撮影された画像を基に、通過するクルマにパーソナライズされたメッセージを表示するデジタル看板まで登場している。フォード・マスタングの看板広告には、実際にタイヤの煙を再現する仕掛けが施されたものもあった。
インターネットで調べたところ、オーストリアの首都ウィーンには高級包丁ブランドのチロリット(Tyrolit)の看板があり、その表面が数週間から数か月にわたって徐々に酸化し、ナイフの輪郭が浮かび上がる仕組みになっていたそうだ(これは確かに巧妙なアイデアだったと認めざるを得ない)。
しかし、筆者はシンプルな、少し皮肉っぽい看板広告の方がずっと好きだ。特に、ライバルをからかったり、けしかけたりするようなものが面白い。ウィットに富み、自信に満ち、しばしば鋭いジョークや自虐ネタを含んでいる。
そうした看板は、想像力豊かな、優秀な人物の頭から生まれたもののように感じる。米国でよく見られるものだ。AUTOCARの本拠地である英国では、規制が厳しいためか、あまり見ることはできない。
しかし、その規制を振り払って、イネオス(化学大手イネオス・グループの自動車部門)が先日、ライバルのランドローバーをからかうような広告キャンペーンを展開した。イネオスはトレーラーに看板を取り付け、ウェストミッドランズにあるランドローバーの製造拠点と配送拠点の間を走り回ったのだ。
牽引しているのはイネオス・グレナディアで、看板には、不審なほどきれいなランドローバー・ディフェンダーと汚れたグレナディアが鼻先を突き合わせ、「外で決着をつけよう(Let’s take this outside)」と書かれていた。
筆者は思わず笑ってしまった。筆者はグレナディアのオーナーでもなければ、特にファンというわけでもない。さらに、この広告は、控えめに言っても根拠が薄い。
筆者は、ディフェンダーが森の小道や泥だらけのオフロードコースで、その力強い走行性能を見せつけ、グレナディアを完全に凌駕する姿をこの目で見たことがある。イネオスの広告には使えないようなシーンだ。
しかし、そんなことは問題ではない。片方は実際にオフロードを走る人が購入するものであり、もう片方はそうではないからだ。ランドローバーはこのことに誇りを持つべきだ。なぜなら、ディフェンダーが自らの限界を超え、はるかに大きな商業的成功を収めていることを意味するからである。
もちろん、こうした広告には批判を受けるリスクも伴う。成功の代償だ。ルノーも最近、似たようなことをしている。ブレントフォードのディーラーに新型ルノー5の看板広告を掲げ、「隣人を嫉妬させよう(Make your neighbours jealous)」と誘うキャンペーンを展開した。
このディーラーの隣にはミニのフランチャイズ店があるのだが、なんとその店の目の前に、ルーフにユニオンジャックを描いたルノー5を展示したのである。
こちらも面白くて、笑わせてもらった。広告は成功だ。ANPRカメラや特殊効果は必要なかった。
現代の自動車業界の企業文化が、時折、昔ながらの遊び心を忘れるほど堅苦しくならないことを願っている。
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みんなのコメント
そういや某韓国メーカーがアメリカで掲げた看板にどう見てもアレな放射状の線のデザインが…