ル・マン24時間レースの主催団体であるACOフランス西部自動車クラブと、グリーンGT社改めH24プロジェクト社の共同プログラムである“MissionH24(ミッションH24)”は10月11日、歴代3代目となる水素燃料電池プロトタイプカーを発表した。
まだ名前のないこの新しいマシンは、先月日本で開催されたWEC世界耐久選手権第6戦富士の会場にも展示された初代FCVプロトタイプ『LMPH2G』と、2代目の試作機として登場しミシュラン・ル・マン・カップの公式セッションに参加するなど、レースの現場で有益なデータを集めた『H24』の後継機だ。3台に共通するのは、水素と酸素を化学反応させて電気を生み出し、その電気でモーターを動かして走行する燃料電池車(FCV)であること。
ミッションH24、水素燃料電池車で時速290.8キロのレコード記録/ル・マン24時間
引き続きトタルエナジーズやミシュラン、シンビオ、プラスチックオムニウム、リシャール・ミルなどの支援を受けるジョイント・ベンチャー・プロジェクトが11日に発表した新型マシンは、これまでのモデルとは大きく異なるスタイリッシュなデザインを持つだけでなく、パワートレインを構成する各コンポーネントについても過去の研究、開発、検証を得て進化を遂げている。
具体的には、次世代のマルチスタック技術を用いて小型軽量化されたシンビオの水素セルシステムを搭載することで、出力密度が従来型の5割増しとなり、同時に最高出力は300kWに到達した。
水素タンクはプラスティックオムニウム製で、国際規格ECE R134の認証を受け気体水素の貯蔵に関する安全規制のもっとも厳しい仕様への適合が保証されたものだ。車両には700気圧で7.8kg(3.9×2)の水素を貯蔵するタンクがふたつ搭載され、これらの総重量は約100kgであると発表された。このタンクを満タンにした状態からレーシングスピードで25~30分のスティントをこなすことがターゲットとなっている。
電気モーターはリヤアクスルに1基搭載。従来モデルのH24では前後2モーター式を採用していたため、この分野でも前進が見られる。また最高出力650kW(約884ps)を発生するモーター自体の軽量化も図られ、目標値は従来より18kg軽い30kgとなっている。最高400kWを出力するリチウムバッテリーに関しても従来比マイナス12kgとなる80kgがターゲットに。駆動力をシャフトに伝えるミッションは1速のみだ。
大幅にデザインが変わったボディについては、従来モデルと同様にアデスがシャシーを供給。各コンポーネントと同じく軽量化が行われておりH24の車重1450kgに対して3代目は1300kgという目標値が掲げられた。コクピット部の幅が狭いのはエアロダイナミクスと冷却性能の改善を見越してのものだ。
今回の発表では、GT3上位のペースを目指すこのクルマの開発ロードマップも示された。まず、来年3月までにデザインが最終決定される。続いて6月にモックアップが発表され、10月以降パワーユニットの組み立てとベンチテストが開始される予定だ。車体の組み立て、および最初のトラックテストは2025年1月以降となっている。
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