白い2代目ソアラ、色褪せない美しさ
text:Takuo Yoshida(吉田拓生)
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)2代目ソアラといえば白いボディ、スーパーホワイトのイメージが強い。
【画像】取材した2代目トヨタ・ソアラ【懐かしのディテール】 全35枚
今回撮影したソアラは昭和62年式(1987年)の2.0GTツインターボというグレードで、神奈川県厚木市にあるショップ、ZOOMが販売していた車輛である。
取材した時にはすでに売れてしまっていたのだが、「若い頃憧れたソアラにもう一度乗ってみたい」といってこのクルマを手に入れたオーナー氏は快く撮影を許可してくれたのだった。
走行距離はたったの4万8000kmで、しかも内外装ともフルオリジナルの状態という珍しい個体である。
80年代~90年代は、現在よりもはるかにドレスアップやチューニングが盛んだった。ソアラのような国産スペシャリティカーといえばステアリングやホイールがアフターのものに変わっていて当たり前のような風潮があった。
2代目ソアラは4スポーク型のステアリングが一般的だが、2.0GTツインターボだけは3スポークのスポーティなタイプが標準だった。
また少し高すぎるように見える車高も、足回りが純正状態にあることを表している。
2代目ソアラは、同じ時代のトヨタ・マークII(6代目、X80型)をクーペ化したようなボディを与えられているが、現代の眼で見ても端正で美しい。
一方インテリアは茶色のモケットで、こちらは80sの日本車らしさが香る。さっそく走り出してみよう。
80sを感じさせるターボの高まり
こげ茶色のダッシュボードは樹脂の成型部品だが、ドアの内張まで続くラップアラウンドデザインでスポーティさが漂う。
センターコンソールに並んだスイッチ類は80年代に流行したステカセ風の大きなもの。メーターは当時最新のスペースビジョンメーターと呼ばれるデジタル表示、メーターの右にターボのブースト、左にシフトインジケーターが来る配置も実にまとまりがいい。
興奮が最高潮に達したところで走りはじめると……これがフツーなのである。
目をつぶっていたら、これが80年代のクラウンなのかカローラなのかわからないくらいに穏やかな乗り心地でクセがない。
見た目のかっこよさからスポーティな走りを想像していると、少し面食らってしまうかもしれない。
一方2Lツインカム、ツインターボの1G-GTEUは、過給が始まる3500rpmあたりまでは少し心許ないが、そこから急激に圧が高まっていく様子がわかる快速ユニットだ。
シフトアップの度にドラマがあるので、現代のエンジンよりもよほど個性的といえる。
ガツンと来るパワーを受け止めるボディの方はフワフワしたままなのだが、それが返って80年代の日本車らしい懐かしさに繋がっている。
白いソアラで青春をもう一度
2代目ソアラでしばらく走っていると、「スポーティ」とは言いにくい柔らかな乗り心地にも慣れ、これが快適に思えてくる。
ステアリングは少しも敏感ではないがリニアに切れてくれるし、ボディの見切りもよい。車幅は1695mmなのでちゃんと5ナンバー枠に入っているというのも80sを感じさせてくれる。
交差点で信号待ちをしていると、横断歩道を渡るオジサンや、隣のトラックのオジサンがみんなこちらを見ている。逆の立場だったら、筆者もソアラのことを穴が開くほど見つめていただろう。
まだ32のGT-RもNSXもセルシオもいない時代において、2代目のソアラの求心力は圧倒的だったのである。
しかもクルマ自体が高級、カッコイイ、速いというだけでなく、それをドライブしているオーナードライバーの品格をあげてくれるような一面が、このハイソカーにはあった。
筆者のまわりには親のクルマを借り出してきたような友達がいたがそれだって心の底から羨ましかったのを覚えている。
今回試乗したことでソアラのことが気になって中古車サイトで調べてみると、思ったより出物が多くて驚かされた。初代が20台、2代目は56台も販売されていたのである。
時計の針を戻すことはできないが、若い頃に憧れたソアラを今手に入れれば、忘れかけていた青春を取り戻すことができるかもしれない。
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みんなのコメント
80系が登場するのは88年。
よって「80マークⅡをクーペ化したようなボディ」という表現に強い違和感を覚える。80マークⅡよりも先に20ソアラが存在してたわけだから。
・狭い
・シートポジションが低くボンネットが長いから運転しにくい
・バックモニターが無いからバックがしにくい
・カーナビがないなんてあり得ない
と文句垂れまくりそう。