伊藤忠、ビッグモーターの買収を決定
3月6日、伊藤忠がビッグモーターの買収を正式に発表した。
【画像】伊藤忠のビックモーター買収発表で、今後のヤナセとの関係はどうなる? 全24枚
今回の事業再建契約では、ビッグモーターの中古車事業を新会社に承継し、残りの不動産事業などは旧会社に残すというもの。2023年11月17日に買収を前提に独占交渉権を取得したときからビッグモーター創業家と断絶。新会社の資本や経営などには一切関与しないとされる。
伊藤忠では、これまで資産査定を進めてきたわけだが、今回の正式発表においては「事業再建が可能であり、取り組み意義があると判断した」としている。
当初は4月1日に発足という情報もあったが、最新の情報では4月後半とされる。筆者が関係者から漏れ伝わってきた内容を総合すると伊藤忠→ビッグモーターへのデューデリジェンスは順調に行われており、正式に買収決定となるであろうという印象だった。
さて、買収の正式決定が発表されると同時に、驚きのニュースが入ってきた。
なんと! 同じ伊藤忠の傘下となるヤナセの板金塗装をビッグモーターが下請けとして請け負うという情報である。伊藤忠は2003年にヤナセへ資本参加し、2017年度第2四半期に同社を連結子会社化している。
ヤナセとビッグモーター…この2社が協力体制を敷くようになるとは! 兼重親子が退陣し新体制になったあとでも、全く想像することはできなかった。筆者自身、伊藤忠が支援検討を発表してからは「そういえば伊藤忠の傘下にはヤナセもあるなあ」程度の印象であった。
というのも、ヤナセの板金・塗装品質はすさまじく高く、国内最高峰、いや世界最高峰といってもいいレベルだ。評判が奈落の底に落ちたビッグモーターと雲上ブランド“YANASE”との協業など夢にも思わなかった。
なお、ヤナセの板金塗装部門は「ヤナセオートシステムズ」(本社:港区芝浦/横浜オフィス:横浜市)という、株式会社ヤナセ100%出資の関係会社が展開しており、板金/塗装(BP)事業のほか、輸入車パーツ&アクセサリー販売事業(エリアセンター)/リサイクル事業を主力事業としている。
ビックモーター板金工場はテュフ認証を取得し、伊藤忠も高評価していた
さて、話を伊藤忠の買収に戻そう。伊藤忠は全国各地のビッグモーターの施設、資産などを評価するデューデリジェンスを詳細に行ってきてこのたびの「買収正式決定」となったわけであるが、これまで筆者が聞いてきた中では伊藤忠はビッグモーターの板金工場にとくに強い関心を寄せていたという。
筆者もビッグモーター板金工場のハード面におけるレベルの高さについてはいくつかのメディアでコメントしている。
ビッグモーターの板金工場は現在本社機能がある多摩店を筆頭に、2019年にテュフ・ラインランド・ジャパン(TRJ)のゴールド認証を受けており、そのことはビッグモーターが珍しくメディアに対して積極的に公表していた。
ビッグモーターの広報部門は騒動後の2023年8月にやっと設置されたわけで、それまでメディアからの問い合わせには基本応じていなかった。しかし、唯一この「テュフ認証」だけは大々的な発表を行ってきたのである。
2019年4月8日のリリースでは、第一弾としてフラッグシップ工場の「多摩店」が非常に高レベルの修理ができる工場に対する「ゴールド認証」(スチール限定)を取得したことを公表。その後、同年6月27日には全29工場がTRJのゴールド認証を取得しており共同記者会見まで開いていた。
ちなみに、TRJ認証のための申請作業については、非常に煩雑な手続きが必要でビッグモーター元社員いわく「認証作業はどこも損保の社員が頑張ってやってましたよ」とのことである。当時はすさまじい数の修理を請け負っていた時期ゆえ、ビッグモーターの社員が認証作業に関わることはほとんどなかったのだ。
ヤナセの板金修理が世界最高といわれる理由
ちなみにヤナセの板金工場もテュフ認証を受けており、こちらは板金塗装工場として日本で初めて世界最高水準のプラチナ認証を2016年11月1日に取得。
2017年10月11日には6拠点がテュフ・ラインランド板金塗装工場認証基準の「プラチナ」/2拠点が「ゴールド」の認証を取得しており、直営9拠点すべて認証取得となっている。なお、テュフ認証は2年ごとに更新が必要で、ヤナセはきちんと認証の更新をしているがビックモーターは2019年以来、更新はしていない模様。
ヤナセの板金修理の品質は国内最高、いや世界最高水準にあるとされる。
全国9か所のコントロールセンターを中心に、全国約300か所の協力工場をネットワーク化。独自のWebシステムとネットワークで、事故車修理において、自動車メーカーが提供している車両本来の性能復元を目指し高品質なサービスを提供。
ヤナセグループに入庫する車両だけではなく、損保各社や各ディーラー各社からの修理依頼にも対応し、輸入車を中心に年間6万台以上の修理実績がある。
その証拠にヤナセオートシステムズでは、ヤナセが正規代理店となっているメルセデス・ベンツやBMW、GMなどのブランドの他にフェラーリ、ランボルギーニ、テスラなどの「メーカー認定工場資格」を取得している。板金塗装といっても単に外側を綺麗に仕上げればいいというものではない。本来持つ走行性能を100%復元する作業も必須なのである。
ビッグモーターの板金はヤナセの高い品質水準にこたえられるのか
ヤナセ広報担当者に「ビッグモーター社の板金工場がヤナセの下請けとして機能するようになるのか?」と確認したところ「ビッグモーター社の件は、これからのことは判りませんが、これまでのところご案内のような協働のお話は全くありません」との回答であった。
ビックモーター内でもまだ上層部のみが知る情報らしいが、もう一つ。ヤナセの協力工場として機能するにあたって重要なことがある。それは、協力工場で構成される「ヤナセ・ザ・ボディショップ・ネットワーク」に加盟するための厳しい条件をクリアできるのか? というところだ。
特に注目すべきは「コンプライアンスに関する項目」の中の以下2点である。
・道路運送車両法に定める「認証工場」道路運送車両法に定める「認証工場」または「指定工場」であること。
・官公庁に対する諸手続を加盟工場、自らの責任で行い、消防法などの公的基準を満足していること。
実はビッグモーターではこの数か月の間に本社のある多摩店(東京都)/つくば店(茨城県)/古賀店(福岡県)などの板金工場を閉鎖している。ビックモーターの板金工場は大手損保の入庫紹介が停止した2022年6月以降、入庫が激減。毎月1億5000万円ほどの赤字を出し続けており、売り上げ激減による工場閉鎖や人員削減も相次いだ。
しかし、2月に閉鎖された多摩/つくば/古賀の3工場の閉鎖については売り上げ激減と共に別の理由もある。
それは、消防法などの法令違反の疑いがあるということだ。詳細は明かされていないが、それが真実ならヤナセのネットワークには当然加盟できない。ということで、いったん閉鎖し、法令関係への対応を済ませたあと再び板金塗装工場として再開するのではないかと予想される。
多摩店の工場は2月半ばに閉鎖されるという話を聞いていたので、閉鎖前の2月上旬に行ってみた。板金工場はしっかり稼働しており、駐車場には修理待ちのクルマ? で埋め尽くされており、明るく清潔な工場の中では何人かが修理作業を行っていた。
その後、3月4日に訪れた際には店のほうは営業時間内であったが、板金工場は完全に閉鎖されていた。シャッターを下ろされ、駐車場には一台もクルマが停まっていなかった。
ビックモーターの板金工場は、設備は素晴らしいものがあるが、実際に現在は人員からして全く足りてない。また中には非常に高レベルの板金塗装技術を持った作業員も残っていると聞くが、全国展開する工場で高品質の修理を提供するには圧倒的に数が足りていない。
新会社となって大々的に板金塗装の作業員を募集すると思われるが、そこからヤナセの要求を満たす高品質な作業がおこなわれるまでには相当厳しいトレーニング、コンプライアンスの徹底含めて多くの高いハードルと向き合うことになりそうだ。
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みんなのコメント
右から左に事故車動かして儲けをかすめるだけ
仕事内容なんてどうでもいいんだよ