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【高い競争力を維持】マツダCX-5 2.0 スカイアクティブ-G 2WDへ英国試乗

掲載 更新
【高い競争力を維持】マツダCX-5 2.0 スカイアクティブ-G 2WDへ英国試乗

自然吸気の2.0L スカイアクティブ-G

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)

【画像】マツダ製SUVと欧州製ライバル 全126枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


マツダが英国でリリースするラインナップの中で最大となるのが、SUVのCX-5 2.0。ちなみに日本なら、さらに大きい7シーターのCX-8も選べる。

ほとんどのガソリンエンジンが、ターボで加給されるような昨今。フォルクスワーゲン・ティグアンのライバルとなる大柄なボディながら、自然吸気エンジンが選べる、数少ないモデルだ。

このCX-5に載るのが、2.0Lのスカイアクティブ-Gエンジン。英国仕様のMX-5、ロードスターが以前に搭載していたユニットとほぼ同じもの。気筒休止システムが追加され、WLTP値でのCO2排出量を8%ほど向上させている。

より高いパワーとトルクを発生する、火花点火制御圧縮着火と呼ばれるシステムを採用したスカイアクティブ-Xではない。軽量なハッチバック、マツダ3や、クロスオーバーのCX-30では選べるのだが。

ご存知の通り、独自のフィロソフィーでクルマづくりを進めているマツダ。いまのところ、CX-5は従来的なガソリンエンジンが継続登用となるようだ。

もしディーゼルエンジンを搭載したSUVがお好みなら、CX-5の中からも選べる。スカイアクティブ-Dと呼ばれる2.2Lユニットで、英国では150ps版と183ps版が選べる。

トランスミッションは、6速MTと6速ATが、すべてのグレードで選択可能だ。ちなみに日本では、6速MTが選べるのはディーゼルのみとなっている。

切れの良いハンドリングとレスポンス

走行性能に優れるSUVでも、カテゴリーの中で、という制限を外すことは難しい。しかしCX-5の場合、ドライバーの努力に見合う、丁度いい重みづけが与えられた正確な操作系がある。ステアリングは切れが良く、レスポンスは期待通り。

新採用の気筒休止システムを活用し、一般的な高速道路の巡航走行で得られる燃費は、15.9km/L前後。都市部も含めた複合的な条件なら、12km/Lから14km/Lほどになる。

豊かなトルクで安楽に走りたいのなら、ガソリン版のCX-5は選ばない方が良い。同じように、長距離で18km/Lを超えるような燃費を得たいドライバーも、ディーゼルエンジンの方が良いだろう。

ただし、ガソリンエンジンのSUVとしてみれば、悪い数字ではない。都市部中心の短距離運転が中心なら、ディーゼルエンジンの燃費とも大きな差はないかもしれない。現実環境で14km/Lの燃費なら、むしろ満足できる結果といえそうだ。

複雑さを増す現代のディーゼルと比べれば、シンプルなガソリンエンジンには良い面もある。アドブルー液を定期的に補充する必要もないし、ターボや微粒子フィルターといった装置もいらない。

車内空間は、このサイズのSUVや大きなクロスオーバー・ハッチバックとして考えれば、充分な広さを確保。荷室も不足はない。ボルボCX40より少し広く、ホンダCR-Vより少し狭いといったところ。

操縦性や乗り心地の洗練度を向上

リアシートの背もたれは、40:20:40での分割可倒式。センター・アームレストは折りたたみ式で使いやすい。カップホルダーだけでなく、USBソケットも付いている。

今回の試乗車は、英国ではスポーツと呼ばれるトリムグレード。レザー内装が標準装備で、ふんだんな安全運転支援システムが付いている。

インテリアの色調はモノトーンだが、スイッチ類やエアコンの送風口に用いられたクロームメッキが、落ち着いた雰囲気を引き立てている。クルマの雰囲気に合い、長時間を過ごすのにも心地良い。

インフォテインメント・システムは改良され、モニターは大きくなった。センターコンソールにはロータリー式のスイッチが残され、歓迎できる。不必要に指で画面を触り、油分や指紋を残す必要はない。

システム自体は、反応や直感性などで優秀とはいえないものの、アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応。独自のプレイリストを再生したり、ネットと連携した機能を利用できる。

マツダは3年前のCX-5発売当初から、徐々に操縦性や乗り心地の洗練度を高めてきている。2017年の時から動的性能は好感触だったが、マツダは最新のCX-5へも見直しを加え、アンチロールバーとダンパー、サスペンション・ブッシュは改良された。

G-ベクタリング・コントロール・プラスとマツダが呼ぶ、トルク・ベクタリング機能のソフトウエアは昨年更新されている。エンジンとブレーキを制御し、タイヤの接地荷重を操作することで、姿勢制御と操縦性の正確さを高めたという。

2020年は、制御ソフトはそのまま。そのかわり、車内の防音性などを改善している。

まだまだCX-5の競争力は高い

アクセルやブレーキの操作へ、G-ベクタリングの介入があったとしても、ドライバーはほとんど気づかない。CX-5の運転は、とても心地良い。

姿勢制御は引き締められ、ドライビング体験は直感的で鮮明。反応は、小さなSUVの平均値より優れているほど。

ただし、路面からの入力をきれいに均すことは得意ではない。鋭い起伏やくぼみがあると、車内にその存在を伝えてしまう。家族との楽しいドライブには、充分に静かで快適な乗り心地ではあるけれど。

欧州ではスポーティなSUVとして新しくフォード・クーガが登場し、衝撃を与えた。スマートなハンドリングを求めるドライバーの、注目を集める存在となっている。

CX-5は、運転に拘りのある人が初めに試乗するモデルではなくなったことは事実。しかし、まだ検討する価値は高い。

比較的軽い車重に、適度にコンパクトなボディを備え、軽快で正確な操縦性を叶えている。爽やかさのあるドライビング体験は、充分な訴求力がある。

価格も妥当で、実用性も悪くない。パッケージングとして全体を見れば、まだまだ強い競争力を保持しているのがマツダCX-5だといえる。

マツダCX-5 2.0 スカイアクティブ-G スポーツ 2WD(英国仕様)のスペック

価格:3万130ポンド(403万円)
全長:4545mm
全幅:1840mm
全高:1690mm
最高速度:201km/h
0-100km/h加速:10.3秒
燃費:13.9km/L
CO2排出量:163g/km
乾燥重量:1505kg
パワートレイン:直列4気筒1998cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:164ps/6000rpm
最大トルク:21.6kg-m/4000rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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