ウラカンSTO、それは新たな時代に向けたランボルギーニの決意表明
驚愕のパフォーマンスだった。操って面白いとか、スリリングだというレベルをもはや超えている。富士スピードウェイで試したウラカンSTOは、これまでのどのスペシャルなランボルギーニ製市販モデルとも違う、まさに別格のパフォーマンスを見せつけた。インパクト抜群のスタイリングから、圧倒的なパフォーマンスを想像できていたつもりだった。しかし、予想を遥かに超えていた。ランボルギーニは、来る電動化時代に向けて、そのスーパーな性能を今後はサーキットモデルでアピールするのだろう。STO(=スーパートロフェオ・オモロガータ)はその先駆けだ。
先駆けという意味では、ランボルギーニには既にエッセンツァSCV12というサーキット専用モデルを発表している。エッセンツァSCV12は、GT選手権用のマシンを開発・製造しワンメイクレースのスーパートロフェオシリーズの運営も手掛けるランボルギーニのモータースポーツ部門、スクアドラ・コルサと、デザイン部門のチェントロ・スティーレのコラボレーションで生み出された世界限定40台のマシンだ。
ウラカンSTOも同様のコラボから誕生した。つまりスクアドラ・コルセが開発したレース仕様のスーパートロフェオに限りなく近い性能を持つロードカーを作るべく、チェントロ・スティーレが開発の初期段階(およそ3年前)からエンジニアリングに深く関わったのだ。デザインチームの仕事は高性能になればなるほどエンジニアリングと密接に関連するという見本のようなプロジェクトだった。
すべてがサーキット指向。STOは速さとハンドリングを徹底
サーキットで速いマシンを作るために何が最も重要か、という質問に対して、ランボルギーニエンジニアリング部門のトップであるマウリツィオ・レッジアーニは「一にも二にもコーナリング性能が重要、そのためには車体全体のバランスにこだわらなければならない」と即答した。車体の基本パッケージが決まっている以上、その意味するところは明白である。噛み砕いて言えば出力、加減速、ハンドリング、重量という4つの項目をバランスよく仕立てることに尽きる。そしてハンドリングと重量はチェントロ・スティーレの深い関与がなければ改善できない。つまり空力と軽量化である。
チェントロ・スティーレのトップであるミッティア・ボルカートは、「私たちがコファンゴと名付けたフェンダー一体型のカーボン製フロントカウルは軽量化と空力を両立した最も特徴的なパートでしょう。そしてこれはミウラというとても重要な歴史のオマージュでもありました」と胸を張った。
珠玉のV10は640hpをマーク。速さは驚愕レベル
ドライバーの背後に縦置きされているのはもちろん5.2ℓのV10自然吸気エンジン。最高出力640hp、最大トルク565Nmというハイスペック。7速DCTを組み合わせ、駆動方式にリア駆動(2WD)をチョイスしたのはスーパートロフェオ譲りである。トップスピードは310km/h。加速パフォーマンスで4WDのウラカンEVOにほんの少し劣るものの、それ以外の全域において“高性能”だ。
その他の注目点として、ドライビングモード(=アニマ)とブレーキ、タイヤを挙げておく。アニマにはスタンダードモデルとは名称が違う三つの特性、“STO”、“トロフェオ”、“ピオッジア”を用意。普段乗りには“雨”という意味のピオッジアが最適だろう!またブレーキには量産ロードカーとして初めてCCM-RというF1由来のブレンボ製システムを装備。タイヤは日本のブリヂストン製ポテンザ・スポーツを装着する。
サーキットを駆け抜けて。何より驚いたのは正確なハンドリング性能とダイレクトなエンジンレスポンスだった。この二つが揃ったことで、凄まじく速いラップを刻むことができる。コーナリングはとにかく安定の一言。はっきり言って筆者レベルの腕では振り回すどころではない。それどころか直線で280km/h以上に達するハイペースで走っても汗ひとつかかなかった。まさにスーパーな走り。レーシングドライバーでなくてもサーキットで速く、安全に操ることのできる生粋のマシンである。
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みんなのコメント
よく加速して止まって曲がる車でしたね〜。サーキット遊び用に一台欲しいと思っちゃいました。
フェラーリと違ってオーナーに乗って楽しんでもらう方向に舵を振ってるランボルギーニ、好きですね〜。