予選Q2敗退のサインツJr.、元凶は試験中の「タイヤ割り当て」と批判。フェルスタッペンやハミルトンも否定的｜F1ハンガリーGP

　F1第12戦ハンガリーGPの予選で、カルロス・サインツJr.（フェラーリ）はQ2敗退という厳しい結果に終わった。彼はその要因のひとつに、今回試験的に施行されているタイヤ割り当てルールの影響を挙げている。

　今回のハンガリーGPでは、”ATA”と呼ばれるレースウィークエンドにおけるタイヤの割り当てに関して実験的な取り組みが行なわれている。通常のグランプリでは、各ドライバーにつき13セットのタイヤが持ち込まれるが、今回は11セットに削減。さらに予選で使用するタイヤが、Q1ではハードタイヤ、Q2でミディアムタイヤ、そしてQ3ではソフトタイヤを使用するよう義務付けられる、というルールも導入された。

　初日を終えた段階ではドライバー側からはこの新フォーマットについては「走行時間を削らざるを得ない」と批判的な声も上がっていた。

　そして2日目の走行後、サインツJr.は予選を盛り上げようとするF1の思惑によって代償を支払うことになってしまったと振り返った。

「このフォーマットは予選では面白いかもしれないけど、それ以外では退屈でつまらないと思う」と、サインツJr.は言う。

「水曜日にサーキットへ到着して全ての準備を行なって、金曜日にはファンの前を走るよりもガレージで過ごす時間のほうが長くなってしまう。タイヤが無いからだ」

「走るためのタイヤが無ければ、なんで1時間のプラクティスセッションを2回もやる必要があるんだ？」

「間違いなく、何かを見直す必要がある。このフォーマットなのかこのタイヤ割り当てなのか……これを同時にやるのは、どちらか片方しかやってないようなものなんだ」

「刺激を加えようとして、こうなったんだと思う。そして今日、僕はその代償を支払うことになった。でもF1が刺激を加えたいというのなら……必要ないとは思うけど……シャッフルを起こしたいならすればいい。だから僕も予選には文句を言わないけど、フリープラクティスについては少し不満は言うよ」

　試験的なフォーマットの金曜日の走行への影響について、ルイス・ハミルトン（メルセデス）はサインツJr.の見解に同意しており、観客に良いエンターテインメントを提供する役には立たなかったと考えている。

「ああ、よく分からないね。僕らがATAを批判していると言われているけど、むしろファンのことを意識して、セッションあたりの走行時間が短くなるという事実のほうが大きなことだったと思う」

「何年か前にルールが変更されたときも、コース上での時間が減った」

「だから必ずしも金曜日のエンターテインメントにとってベストだったのかどうかは分からない。でも今日（予選）は明らかに素晴らしいエンターテインメントをもたらしてくれた。最初（Q1）をハードでスタートして、次にミディアムで走るのは素晴らしかった。その点で、予選セッションは全体的に楽しめたよ」

　さらに現F1王者のマックス・フェルスタッペン（レッドブル）も同様に批判的な見解を述べている。

「通常のフォーマットが気に入っている。何も問題は無いと思うんだ」と、フェルスタッペンは言う。

「金曜日にルイスが言っていたように、ピット内にこもるのではなく、走ることが重要だと思う。見に来てくれている人達は、グランドスタンドに座るために大金を支払っているのに、あまり走らないとなれば、それは理想的ではないよ」

　またフェルナンド・アロンソ（アストンマーチン）もATAフォーマットに強く反発しており「フリー走行でマシンが走らなかったのは大惨事だ」とも語った。

「ショーにとって何のプラスにもならなかったと思う。観客は金曜日のFP1、FP2、（土曜の）FP3にもチケット代を払っているんだし、走るためのタイヤがなくてガレージにクルマが止まっているのは残念だと思う」