アンドレア・キミ・アントネッリは、メルセデスが2024年のF1シーズンを前に明らかとなったルイス・ハミルトンの離脱にどのように対処したかについて、新たな見解を明らかにした。
2024年2月1日、ルイス・ハミルトンが長年所属したメルセデスを離れ、2025年シーズンからフェラーリへ移籍することが発表された。
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この決断の背景には、メルセデスがハミルトンに2025年以降について確約する契約を提示しなかったことがある。2024年から始まった2年契約には契約解除条項が盛り込まれており、ハミルトンはそれを行使することができたのだ。
しかしそのような契約内容になった理由は、チーム代表のトト・ウルフが10年前にマックス・フェルスタッペンを逃したように、アンドレア・キミ・アントネッリまで手放したくないと考えていたためだった。
とはいえ、アントネッリを2025年にF1デビューさせるという決断は、決して当然の選択ではなかった。
ウルフがハミルトンの離脱を正式発表前に知った時点で、まだ17歳だったアントネッリは、F1直下のカテゴリーであるF3やF2をほとんど経験していなかったからだ。
イタリアF4、ADAC F4、フォーミュラ・リージョナル・ミドルイースト、フォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパをデビューから2年間で制覇した実績は、彼の並外れた才能を示していた。しかし、F3を飛ばして直接F2へ進むだけでも極めて大胆な挑戦だった。
SAPのYouTubeチャンネルの最新動画シリーズ『Significant Figures』でアントネッリは、ハミルトン移籍発表前の2024年1月には、ウルフがすでに自分をジョージ・ラッセルのチームメイト候補の本命として考えていたことを明かしている。
「シルバーストンでF3マシンをテストしていたんだ。F2で走る前にコースを覚えるためだった」
そうアントネッリは語った。
「その日の終わりに、トトからオフィスへ来るように言われた。まずその時点で少し戸惑ったよ。そんなことは普通ないからね」
「オフィスへ入ると、そこにはトトと、レース週末で僕をサポートしてくれているPRマネージャーのローサ(エレーロ・ベネガス)がいた」
「トトはいきなり本題に入った。これはルイスのフェラーリ移籍が発表される前のことだった。彼はこう言ったんだ。『ルイスはフェラーリへ行く。そして我々は来年、そのシートに君を乗せたいと考えている』って」
「僕は本当に『えっ!?』という感じだった。目を見開いてしまったよ」
当時の驚きを、アントネッリはそう振り返る。
「『冗談だろう?』って思ったよ。だって、僕はまだF2を一戦も走っていなかったんだから。まだ自分には証明しなければならないことが山ほどあった。そのシートにふさわしいことを示さなければならなかった。でもトトは、もうその話をしていたんだ」
「『もしチャンスが来たら、準備はできているか?』って聞かれた。僕は『もちろん、準備していなきゃいけません』と答えた。そしてチームも協力してくれた。F1マシンでテストをたくさん走らせてくれたんだ」
当初は、メルセデスがウイリアムズにレンタルする形でアントネッリをF1デビューさせるのではないかとも考えられていた。しかしメルセデスは、かなり早い段階で自らのチームのドライバーとしてアントネッリを起用しようと考えていたようだ。
アントネッリがF2を走った2024年は、決して順調ではなかった。開幕から7ラウンド14レースで表彰台獲得はゼロ。ウルフ自身も、経験不足を考えれば苦戦することは予想していたという。それでもアントネッリはレースで2勝を挙げ、ランキング7番手につけていた2024年8月31日、正式に2025年からのメルセデスF1ドライバー就任が発表された。
しかし、その瞬間も現実味はなかったとアントネッリは語った。
「もちろんものすごく嬉しかった。でも同時に、自分にとってあまりにも大きな出来事で、何が起きたのか理解するまで時間がかかった」
「テラスのサンベッドに寝転んで、ずっと空を見上げていたんだ。ただ起きたことを頭の中で整理しようとしていた」
ウルフは、ハミルトンの突然の離脱によってアントネッリの昇格が予定より早まったことを隠そうとはしなかった。
実際、アントネッリにとってルーキーイヤーとなった2025年は浮き沈みの激しいシーズンとなる。開幕戦オーストラリアGPでは4位、カナダGPではF1初表彰台を獲得した一方で、ヨーロッパラウンドではわずか3ポイントしか獲得できず、苦しい時期を過ごした。その時期は精神的にも大きな負担になっていたという。
プレッシャーとの向き合い方について問われたアントネッリは、率直にルーキーイヤーについて語った。
「昨年が一番そうだった。シーズン序盤は良いスタートを切れたけど、その後のヨーロッパラウンドでは本当に苦しんだ。その時は、プレッシャーに完全に押し潰されてしまった」
「自分を信じてくれた多くの人を裏切ってしまっているように感じた。特にトトだ。僕を起用すると決断してくれた張本人だからね。あの頃は本当に調子が悪くて、うまくいかなかった」
しかし、その状況はチームとの話し合いをきっかけに変わったという。そしてその経験が、ポイントリーダーとして夏休みに入った今の自分を作ったとアントネッリは考えている。
「ヨーロッパラウンドが終わったあと、チームと大きなミーティングをした。そのおかげで気持ちをリセットできて、一からやり直せた。少しずつ自分を取り戻して、シーズン後半は良い走りができた」
「あの苦しい時期を乗り越えられたことが、今年への自信になった。ドライバーとしてだけじゃなく、人間としても自分自身を深く理解できた」
「あのヨーロッパラウンドでは、自分のやっていたことのほとんどが逆効果だった。プレッシャーがかかった時に身体がどう反応するのか。脳がどう反応するのか。集中力を取り戻すには何が必要なのか。週末を通して100%のエネルギーを維持するにはどうすればいいのか。イベントへの対応、ドライビング、あらゆる面で本当に多くのことを学んだ」
2025年のアントネッリと、5連勝を含む計6勝を挙げてチャンピオンシップをリードしている2026年のアントネッリとの違いは劇的だ。もはや、アントネッリを起用したメルセデス、ウルフの判断を疑っている者はいないだろう。
2025年に学んだことについて尋ねられると、アントネッリは笑いながらこう答えた。
「本当に大変だったよ。シーズンが終わる頃には完全に疲れ切っていた」
「チームは僕を守るために素晴らしい仕事をしてくれた。でも、もし小さなチームにいたら、これほど多くのことは学べなかったと思う。学習スピードは信じられないほど速かった。まるで3年分を一気に経験したような感覚だった」
「肉体的にも精神的にも圧倒された。初めてフルシーズンを戦うと、何が待っているのか全く分からない。F1昇格前にはレースシャドーイングも経験していたけれど、それは実際に走るのとは全然違う。あの時は外から見ているだけだったからね」
だからこそ、オフシーズンは重要だったという。
「シーズンが終わって休みを取れたのは本当に良かった。一年間を振り返って、何が良かったのか、なぜうまくいったのか、そして何がうまくいかなかったのかを冷静に分析する時間を持つことができたからね」
2年目にして、いくつもの最年少記録を更新し、チャンピオン獲得に向けてランキングを一歩も二歩もリードしているアントネッリ。戴冠となれば、これもセバスチャン・ベッテルが持つ23歳134日という最年少チャンピオン記録を大幅に更新することになる。
すでにアントネッリを起用するというメルセデスの決断が正しかったことを証明しているが、果たして偉業は成るか。後半戦もアントネッリの走りには注目が集まる。
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みんなのコメント
よくこの才能を見抜いたな