この記事をまとめると
■クラウンスポーツはSUVのカテゴリーに分類されている
「4WDは高くて買えない」ケースじゃなくても積極的に「2WDのSUV」を選ぶメリットとは
■トヨタには似たようなキャラクターとしてハリアーも存在している
■パフォーマンスを求めるならクラウンスポーツでコスパを求めるならハリアーだ
人気の似たモノ同士を徹底比較
トヨタの人気SUVを購入する際、クラウンスポーツとハリアーが比較されることが多いという。「えっ、ハリアーが都市型SUVということはわかるけど、クラウンスポーツもSUVなの?」そんな疑問をもつかもしれないが、トヨタのHPでは、クラウンスポーツもしっかりSUVに分類されているのである。実際、スポーツを名乗るSUVは世界中に存在し(レンジローバースポーツなど)、クラウンスポーツはピアノブラック仕上げとはいえ、SUVのお約束であるホイールアーチモールディングをまとうなど、クラウン・クロスオーバー同様、SUV仕立てのスポーツモデルなのである。
まず、両車の基本スペックから紹介しよう。どちらもともにTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)、GA-Kプラットフォームを使用する。
2023年10月に発売(2025年7月に一部改良)されたクラウンスポーツは全長4720×全幅1880×全高1565~1570mm。ホイールベースは2770mm。駆動方式は4WDのみ。最低地上高はハイブリッドが160mm、PHEVが155mm。パワーユニットは以下のような構成だ。
・ハイブリッド:2.5リッターエンジン(186馬力・22.5kg-m)+モーター(フロント120馬力・20.6kg-m/リヤ54馬力・12.3kg-m)
・PHEV:2.5リッターエンジン(177馬力・22.3kg-m)+モーター(フロント182馬力・27.5kg-m/リヤ54馬力・12.3kg-m)
価格はハイブリッドが510万円~、PHEVが765万円~だ。
2020年6月発売(2025年6月に一部改良)のハリアーは全長4740×全幅1855×全高1605~1625mm。ホイールベースは2690mm。駆動方式は2WDと4WDが揃い、最低地上高は190~195mm。パワーユニットは以下の3種類がある
・ガソリン車:2リッターエンジン(170馬力、20.7kg-m)
・ハイブリッド:2.5リッターエンジン(177馬力・22.3kg-m)+モーター(2WD:120馬力・20.2kg-m)(4WD:フロント120馬力・20.2kg-mリヤ54馬力・12.3kg-m)。
・PHEV(4WD):2.5リッターエンジン(177馬力・22.3kg-m)+モーター(フロント182馬力・27.5kg-m/リヤ54馬力・12.3kg-m)
以上のようなスペックだ。価格はガソリン2WDが371万300円~。ハイブリッド4WDが451万1000円~。PHEVは547万300円~となる。
つまり、パワーユニットのバリエーションが幅広く、クラウンスポーツに対してリーズナブルなモデルが選べ、全幅がやや狭く、最低地上高に余裕があるのが、「トヨタの上級サルーンに匹敵する乗り心地と車内の静粛性を追求した」ハリアー。よりプレミアムな位置づけで、全方位隙なしのエクステリアデザインをまとったフェラーリを思わせるルックス、そしてクラウンのなかでも走りを含めて飛び抜けてスポーティなキャラクターをもつのがクラウンスポーツということになる。
だから、両車の選択は難しくない。かつてのクラウンのような走行感覚×流行りのSUVのルックスを望むならハリアー。トヨタの高級スポーティカー×SUVの走りに振ったキャラクターやルックスに惚れたのであれば、迷うことなくクラウンスポーツだろう。何しろクラウンスポーツは走りにかかわる部分も特別で、ボディの結合剛性を高めるレーザースクリューウェルディング、専用のサスペンションセッティング、DRSと呼ばれる後輪の向きを前輪と逆向きまたは同じ向きに制御できる4輪操舵システム、コーナリング中の旋回性能を高めるACAと呼ばれるアクティブコーナリングアシストなどを採用・搭載している。
ドライブモードセレクトとしてECO/NORMAL/SPORT/CUSTOMとEVドライブモードを備えるほか、運転席にはボディの風の流れの乱れを低減する除電スタビライジングシート、ボディ底面にはエアロスタビライジングアンダーボディを採用する凝りようなのである。もっとも、インパネなどを含むインテリアデザインそのものは先に発売されたクロスオーバーとほぼ同一。色使いなどがスポーツ専用となる。
クラウンスポーツを外から見て、いかにも後席は狭そう……と感じるのは、そのスポーツカールックからも無理はない。が、実際にはそうともいえない。身長172cmの筆者のドライビングポジションを基準にして後席に着座すると、ハリアーは頭上に150mm、クラウンスポーツはサンルーフ付きでも170mmとむしろ余裕がある。膝まわり空間にしても、ハリアーの200mmに対してクラウンスポーツは220mm(クラウン・クロスオーバーは270mm!)と、わずかながらも上まわっているのだ。
このあたりは格上のクラウンならではの絶妙なパッケージングといっていいだろう。
コスパのハリアー! 走りのクラウン!
ただし、ハリアーとクラウンスポーツではパッケージングの考え方に違いがあり、それが際立つのがラゲッジルームだ。クラウンスポーツは後席使用時で奥行き920mm、幅1020mm、天井高685mm、容量397リットル。
対してハリアーは奥行き975mm(PHEVは890mm)、幅979mm(PHEVも同)、天井高700mm(PHEVも同)、容量409リットル(PHEVは408リットル)と、9.5インチのゴルフバッグ3個を収納できる余裕と広さがある。
とはいえ、ゴルファーならハリアー……と断言するのは早合点。3名乗車なら、クラウンスポーツでも後席片側をフラットに倒せばゴルフバッグ3セットの積載が可能だからだ(後席すべてを倒せば4セットOK)。
走行性能について、まずは日常や都市部での扱いだが、全幅の広さを度外視すれば、意外にもクラウンスポーツの扱いやすさは悪くない。というのは、最小回転半径がハリアーの5.7mに対して、クラウンスポーツは235/45R21という大径ワイドなタイヤを履きながらも、DRS(Dynamic Rear Steering)と呼ばれる後輪操舵システムによって5.4mというクラウンらしい小まわり性が低速域で発揮されるからだ。
ワイドな車幅にもかかわらず、走りやすく、駐車しやすいと感じさせるのは、その後輪操舵システムによって小まわりが利くとともに、前左右の視界のよさと歴代クラウン最上のレスポンシブな操縦性によって、ステアリングを切ると間髪を入れずにノーズが向きを変え、そこに遊びがないからだろう。いわゆる人馬一体の動きをしてくれるのである。
だから首都高のキツいカーブでも、ライントレース性はすこぶる優秀。車体のロールは最小限で、まさにオン・ザ・レールのコーナリングを味わわせてくれるのだ。高速走行時の直進安定性、車線変更時の安定感・安心感も文句なし。車内の静かさは120km/h制限の高速走行でもクラウン基準というべきレベルにある。エンジンを高回転までまわしてもエンジンノイズは抑えられ、そのノイズも決して耳障りではないから、ロングドライブでも疲れにくいのである(スポーツなんだからもっとエンジン音を聴かせろ! という声もありそうだが)。
加速力については、シフトノブ手前にあるモードセレクターでSPORTモードにセットすればメーター盤面がレッドになり、クラウンスポーツの名に恥じない痛快な加速力をジェントルに発揮する。乗り心地はさすがに市街地では21インチタイヤのタイト感があるものだが、高速走行になると一転。上質な欧州車感覚のあるストローク感が心地よく、車内の静かさとともにロングドライブでの疲れにくさをさらに高めてくれる印象だ。
筆者は以前、調光パノラマルーフを初採用したハリアーに試乗した際、「SUVのカタチをしたクラウン」(2020年当時)と評したことがあるように、クロスオーバーSUVながら、ガソリン車でも想定外に軽快で気持ちよく走り、静粛性もハイレベルだった。ただ、エンジンを高回転までまわすシーンでは、エンジンノイズの車内への侵入がやや目立ち、SUVのカタチをしたサルーンとしてはやや物足りなかったことを覚えている。主力車種のハイブリッドモデルは、出足からのモーターによるウルトラスムースな加速感と、車速を問わない車内の静かさが印象的だ。
タイヤはベースグレードのGのみ18インチで、そのほかは基準サイズとなる19インチとなるのだが、意外にも19インチのほうがロードノイズが抑えられ、静かな印象を受ける。また、ガソリン車よりハイブリッドのほうが、走りの質感、重心の低さによるカーブや高速レーンチェンジでの低重心感覚、安定感で上まわることも確かである。
そんな両車の比較から浮かび上がる特徴をまとめると、やはりパワーユニットや駆動方式の選択肢の多さ、ラゲッジルームの使いやすさ、そしてコスパ(予算重視)でガソリン車も選べるのがハリアー。一方、アグレッシブなデザイン、走りのスポーツ度や気もちよさ、プレミアム感、デビュー年次による新鮮度で選ぶならクラウンスポーツ、ということになるはずだ。
おすすめのグレードは、クラウンスポーツならPHEVに対してWLTCモード燃費で勝り、175万円安いハイブリッドのSPORT Z(590万円)、またはそのクラウン70周年記念車であるSPORT Z “THE 70th”(597万円)。ハリアーは、2WDに対して19インチタイヤのやや硬めの印象が低減し、一段とスムースな乗り心地になるハイブリッドZのE-Four=4WD(499万700円)だろうか。
その上で、ハリアー・ハイブリッドZのE-FourとクラウンスポーツのSPORT Zの価格差は90万9300円。装備差もあるなかで、それを大きいとみるか、小さいとみるか……。ハリアーは今夏、一部改良が行われるとの情報もあるので、その情報を先取りしてから決断してもいいかもしれない。
もうひとつの注目点は、ハリアーのフルモデルチェンジがそう遠くないことと、今回の一部改良でガソリン車が廃止されるか否か。いずれにしても一部改良で価格アップは避けられず、ハリアーをリーズナブル(とくにガソリン車)に手に入れるなら、早めに動いたほうがいい。
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みんなのコメント
ハリアーはかつてのマークII的な存在で、本当によく走ってますね。