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改良版ホンダZR-Vが初ポールも、絶好調カローラクロスが1-2制覇/TC2000第4戦

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改良版ホンダZR-Vが初ポールも、絶好調カローラクロスが1-2制覇/TC2000第4戦

 アルゼンチンを代表するFF“SUV”ツーリングカー選手権TC2000の第4戦が、東部メソポタミア地方に位置するアウトドローモ・シウダード・デ・コンコルディアで開催され、直前まで改良アップデートが続いていた新生"ホンダYPFレーシング"の『ZR-V』が明らかな戦闘力アップを果たし予選を席巻。王者リオネル・ペーニャが息子のティアゴを従えワン・ツーで並んだ。

 しかし、決勝では開幕から新SUV時代を席巻する盟主トヨタ・ガズー・レーシングYPFインフィニアの『カローラクロス』が逆襲し、エミリアーノ・スタンが大先輩のマティアス・ロッシを引き連れてのワン・ツーを達成。2025年シーズン3勝目を手にしている。

南米からの刺客。リオネル・ペーニャがホンダ・シビックでモンツァ戦に参戦へ/TCRワールドツアー

 前戦6月初旬のロサリオでは、混走する旧規定のセダンを操った“伏兵”マルセロ・チャロッキ(ATレーシング/フィアット・クロノスTC2000)が、新生SUV軍団を撃破する大金星を挙げたが、この快挙を受け6月27~29日のコンコルディアでは、新たにグリッド4台目の『カローラクロス』を追加する陣営サテライト兼マシン製造元でもあるコルシ・スポーツへと電撃加入。元王者ガブリエル・ポンセ・デ・レオンとチームを組み、チャロッキもまた古巣のトヨタで新型SUVをドライブすることとなった。

 これにより空いたフィアット・クロノスTC2000のシートには、兄弟シリーズでタイトル獲得経験のあるマテオ・ポラコビッチが座り、さらに国際的な実績を持つファミリーネームもグリッドに加わることに。

 北米最高峰シングルシーターで奮闘するフンコス・ホリンジャー・レーシング(JHR)を運営するリカルドの息子で、現役イギリスF4ドライバーでもある19歳のレアンドロ・フンコスには、プロ・レーシング・チームが用意するシボレー・トラッカーの1台が託された。

「これは大きなチャンスだ。ツーリングカーでのデビューになると同時に前輪駆動車のような、普段とは違う体験ができるだろうしね。これまで走ってきたコースとはまったく違うので落ち着いて臨みたい」と、事前テストを経て本番に臨むレアンドロ。

 その本番を前に、旧規定ながら同シリーズでは複数のタイトル獲得経験を持ち、北米では父のチームで立ち上げメンバーとして活動したアグスティン・カナピノにも指導を仰いだという。

「アグスティンと話をして、彼はすでに今後の進め方についていくつか重要なアドバイスをくれた。ドライビング、​​ブレーキング、コーナリング、ノーズアングル、タイヤの見た目などについて教えてくれたし、彼の話はすべて非常に貴重なものだったよ」

 こうして迎えた週末シェイクダウンはシボレー陣営が先行したものの、続くFP1からはホンダ陣営が台頭。ファクンド・アルドリゲッティ(シボレー・トラッカー)を0.25秒上回った父リオネルが最速を刻むと、FP2ではフランコ・ヴィヴィアン(シボレー・トラッカー)に次ぐ僅差の2番手に。そして土曜を締め括る予選セッションでは、ライバル陣営がスピンを多発する難コンディションのなか、息子ティアゴのターゲットタイムを上回ったリオネルが今季初、SUV時代最初となるキャリア通算37回目のポールポジションを射止めた。

「ご存知のとおり、このオフ期間の開発で先行していたシボレーやトヨタとは異なり、僕らは独自の方法論で新型モデルを開発してきた。そのため今も懸命に取り組んでいるし、彼らとは大きく異なり、まだ改善すべき点を理解する必要があるんだ」と謙虚な言葉を続けたシリーズ4冠のリオネル。

「第3戦以来、マシンは改善されている。ワークショップでは多くの改良が施され、当初とはフィーリングがまったく違う点で彼らの仕事を称賛したいと思う。そして人生とモータースポーツに感謝したい。成長を続けるこのドライバー(息子ティアゴ)とともに、歴史的かつ夢のようなワン・ツーを達成したのだからね」

 同じく父と予選ワン・ツーを独占したティアゴも「ずっと前からこの瞬間を目指してきた」と喜びの声を挙げた。

「チーム全員の素晴らしい仕事のおかげで、この結果が得られて本当にうれしい。最初の数レースはマシンがうまくハマらず(代表の)セバスチャン・マルティノから『気楽に走れ。この週末に向けてはもっと力がある』と言われ、それを証明できたんだ」

 しかしカテゴリーの上位6位を対象としたリバースグリッドシステムにより、日曜11時20分開始の35分+1周勝負は、ホンダ陣営の親子が3列目5番手、6番手からの発進に。代わってフランコ・モリーロ(シボレー・クルーズ)が最前列スタートを切ることに。

 シグナルグリーンの攻防で首位を守ろうとしたモリーロだったが、ターン1では2番手発進だったデ・レオンのカローラクロスが先行。本家ファクトリーチームのスタンもセダン型のクルーズを悠々とパスしていく。

 さらに最終ラップまで残り10分の時点で、高速右コーナーでギリギリのバランスを保ちながらイン側に切り込んだロッシのトヨタが、モリーロのシボレーと並走。続くブレーキング勝負で表彰台圏内の3番手へと浮上する。

 これで先頭デ・レオンの背後に、スタン、ロッシのTGRA艦隊が続く構図となったところで、コルシ・スポーツで奮闘する首位のカローラクロスはブレーキに異変が生じ万事休す。スタンがロッシとモリーロを従え今季3勝目を飾ってみせた。

「まず素晴らしいマシンを提供してくれたトヨタチーム全員に感謝したい。カローラクロスは非常に良いコンディションだったよ」と振り返ったスタン。

「(マティアス・)ロッシは僕よりも速かったけど、燃料のロスと重量増の影響で彼の方が消耗が激しくなっていたから少し安心し、すべてを冷却する余裕ができたんだ」

 同じく今季未勝利ながら、獲得ポイントでランキング首位を行くロッシも「今シーズンでもっともプレッシャーを感じた週末だった」と明かした。「チームでワン・ツー・フィニッシュを果たすことが重要だった。誰にとっても素晴らしい結果であり、カローラクロスにとっても僕にとっても良いポイント獲得になったね」

 2025年TC2000シーズンの第5戦は、同国コルドバのアルタグラシアに位置するアウトドローモ・オスカー・カバレンで7月18~20日に開催予定だが、現地報道によればこのイベントが開催されるレースウイークまでに新規ブランドの参入が噂されており、同国でフォーミュラを中心に活動するチームが『ニッサン・キックス』の新規定SUVツーリングカーを製作中だと囁かれている。

[オートスポーツweb 2025年07月02日]

文:AUTOSPORT web
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みんなのコメント

4件
  • res********
    南米でこのようなSUVのツーリングカーレースが行われていたなんて知らなかった。
    ZR-V vs カロクロなんて面白いじゃん。
  • ヴァン
    今や箱のレースもセダンやハッチバックでなくSUVなのか。
    スーパーGTもベースになる車が無くなってきたからSUVベースでも良いのかも。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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