昨年10月にマイチェンしたスバルのフォレスター。現行モデルになってラインナップから消えていたターボが復活した。
ところが、今年に入ってからの売れゆきはというと、1月は前年同月比102%をかろうじて確保したものの、2月の前年同月比は75%にダウン。3月の前年同月比は104.9%と前年割れは回避したものの、マイチェンによる新型車効果が表れずに、販売は伸び悩んでいるといっていいだろう。
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待望のターボモデルも復活したにもかかわらず、フォレスターの販売が伸びないその理由は何なのか? クルマそのものの出来の問題? 価格? そのほかに要因があるのか?
文/片岡英明 写真/ベストカー編集部
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■フォレスターは海外でも人気の高いスバルの主力車種
1997年に誕生したジャストサイズのSUVがフォレスターだ。オンロード、オフロードを問わず走りの実力が高いことが評価され、今ではレヴォーグ、インプレッサとともにスバルの屋台骨を支える基幹車種へと成長している。
特に北米市場ではアウトバック、XVを凌ぐほどの人気者だ。また、北米以外の地域にもファンが多く、世界100カ国を超える国で愛されている。
現行モデルは2018年7月にデビューした。フォレスターとしては第5世代で、9月にはマイルドハイブリッドの「e-BOXER(eボクサー)」を加えている。
2018年にデビューした現行型『フォレスター』(MC前)。この5代目からSGP「スバル・グローバル・プラットフォーム」が採用されてボディ剛性が大幅にアップ、操安性、安全性、乗り心地が格段に向上した
エクステリアは、誰が見てもフォレスターとわかるキープコンセプトのデザインだ。ボディはひと回り大きくなり、全幅は先代より20mm広がって1815mmとなった。
インテリアも手堅いデザインだが、質感を高めている。主力グレードは運転席に8ウェイパワーシートをおごり、後席にもシートヒーターを装備した。
現行モデル登場時のパワートレーンは、伝統の水平対向4気筒を2つ用意している。ターボ搭載車は姿を消し、自然吸気エンジンだけの設定だ。
ひとつは2.0LのFB20型直噴エンジンに10kWの電気モーターを組み合わせたパラレル式マイルドハイブリッドのeボクサーである。もうひとつは、直噴方式に進化させた2.5LのFB25型水平対向4気筒DOHCエンジンだ。トランスミッションはリニアトロニックと呼ぶCVTを組み合わせた。
■待望のターボ復活! で売上倍増のはずだった!?
だが、登場から3年目を迎えた2020年10月にマイナーチェンジを行い、グレード構成を一新している。2.5Lエンジン搭載車が整理され、ハイブリッド車のeボクサーが主役の座に就いた。粋にドレスアップした「X-ブレイク」もeボクサーに換装している。
アウトドア志向を強め、オレンジの差し色をワンポイントにしたフォレスター「X-ブレイク」。17インチのオールシーズンタイヤや撥水カーゴフロアボードなどを装備する
そして新たに加わったのが、新型レヴォーグに搭載された新世代の1.8L水平対向4気筒DOHC直噴ターボを移植した「スポーツ」だ。
1.8L DOHC 直噴ターボ“DIT”を搭載したフォレスター「スポーツ」。最大トルク30.6kgm/1600-3600rpmと低回転からトルクがあり加速が気持ちいい
このマイナーチェンジを機に、運転支援システムのアイサイトはアップデートされている。待望のターボ搭載車を復活させ、アイサイトなどの安全装備も充実させた。だからフォレスターはさらに魅力を増し、好セールスが期待されたのである。
ちなみに新型コロナウイルスが蔓延し、生産や販売が制約された2020年の新車販売台数は、前年比74.3%の2万4056台だった。乗用車部門のランキングではマツダCX-5に続く31位だ。月平均で2000台くらい安定して売れている。
マイナーチェンジし、ターボ搭載車を加えた2021年1月のランキングは乗用車部門のランキングで26位、販売台数は2222台だ。前年同月比102.3%と、微増となった。
だが、2月はグッと落ちて33位になり、1837台の登録にとどまっている。新型コロナの影響が出てきた年との前年同月比75.0%だから、スバルとしても想定外の不振と感じているはずだ。
■販売不調の理由は同門の『レヴォーグ』にある?
その理由はいくつか考えられる。ターボ搭載の「スポーツ」を投入したが、先代のフォレスターの主役は2.0Lエンジン搭載車で、ターボ搭載のXTは少数派だった。
現行モデルの前期型には2.5Lエンジン搭載車があったが、この時も半数以上がマイルドハイブリッドのeボクサーを積む2.0Lのアドバンスが占めていたのである。
代を重ねるごとにターボ搭載車は存在感が薄れ、多くの人は環境性能でリードするeボクサーを選ぶようになったのだ。また、数少ないターボ派は、設計が新しく、ジャーナリストに走りと安全性の評判がいいと太鼓判を押されている新型レヴォーグに目を向けるようになった。
2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したスバル『レヴォーグ』。電制サス、アイサイトX、SGP、1.8Lダウンサイジングターボとスバルの最先端を盛りこんでいる
同門のスバル一族に手強いライバルが出現したのである。これもフォレスターの販売が伸び悩んでいる理由のひとつだろう。
また、頼みのeボクサーも、トヨタのハイブリッド勢やマツダのディーゼルターボ勢と比べると、経済性、燃費、そして存在感においても水をあけられている。乗り方によっては、燃費面でターボ搭載の「スポーツ」と大差ないなど、魅力は今一歩だ。
アイサイトやハンドリングのよさに魅力を感じながら、時代が求めるエコ性能においては中途半端だから、積極的にフォレスターを選ぼうとする人が少ないのである。魅力のひとつだった価格の割安感も薄れてしまった(ターボ車は328万9000円で、シリーズ中最も高価)。
■日本人は『フォレスター』の真の魅力を再確認せよ!!
実際に走らせれば、フォレスターは非凡な実力の持ち主だ。高速道路でもワインディングロードでも背の高さを意識させない安心感のある走りを披露し、身のこなしは軽やかである。
スバルのクルマは、水平対向エンジンの特徴を生かした「シンメトリカルAWD」と低重心で高い基本性能をもっている。さらに長年蓄積したAWD技術をあわせて優れた走行性能を発揮する
狙ったラインに無理なく乗せることができ、コントローラブルだ。「X-MODE」はオフロードや雪道で頼もしい走りを見せる。乗り心地のよさも特筆できるところだ。リアルワールドでの安全性能もクラストップレベルにある。
だが、真の魅力が伝わりづらいクルマであるのも事実だ。デザインはRAV4やマツダCX-5より無骨で、好き嫌いがハッキリと別れる。インテリアもレヴォーグのように先進的なデジタルコクピットではない。アウトドア派にはいいが、都会派は敬遠するデザインなのである。
日本では販売が伸び悩んでいるが、ホンモノ志向の強い海外では販売が好調だ。北米市場において2021年1月~3月期のスバルの新車販売台数は、前年同期と比べて22.8%増の16万426台だった。そのうちの約3分の1をフォレスターが占め、アウトバックとともに稼ぎ頭になっている。
歴代のフォレスターはモデル末期まで安定して売れ続けていた。現行のフォレスターは大ヒットにはならないが、これからも安定して売れ続けていくはずだ。アイサイトが劇的に進化すれば、大ブレイクする可能性までも秘めている。
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みんなのコメント
e-BOXER よりダウンサイジングターボの方が高いんだもん。
そのくせモリモリハイパワーって訳でもないから、従来のXTを求めていた層には響かなかっただけでは?