◆70万円切りで登場したAMT搭載の250
スクーターとして一般的なCVTタイプではなく、トランスミッション(変速機構)を装備していながらもクラッチ操作を自動化している。シフトチェンジはハンドル左にあるシーソーボタンにて自分でやってもいいし、任せてしまうのもあり。
クラッチレバーが備わっていないことから、AT限定普通二輪免許で乗れる。Vツインエンジンを心臓部に持つクルーザースタイルにしながら、69万8000円という車体価格を含めてお手軽すぎやしないか!? 新登場のQJモーター『SRV250A』だ。
【画像】クラッチ操作を自動化したQJモーター『SRV250A』
ホンダEクラッチ、ヤマハY-AMT、さらにBMWのASAやKTMのAMTなど、ここ最近のバイク業界では、クラッチレバー操作を必要としない新技術が続々と投入されている。
そこにきて、中国メーカーのQJモーターもだ! AMT(オートメイテッド・マニュアル・トランスミッション)と名付けられた独自開発の新機構は、ライダーの左手に代わってモーターがクラッチ操作をしてくれる。
ベースとなっているのは、日本バイクオブザイヤー2025外国車部門にて、最優秀金賞を獲得した『SRV250』。水冷V型2気筒エンジンを搭載する車体はクルーザースタイルで、軽二輪クラスにて圧倒的人気を誇るホンダ『レブル250』の牙城を少しでも崩せるものか気になったので乗ってみた。
◆車体はレブルを意識した!?
『SRV250A』の実車を目の当たりにすると、サイズ感はレブル250と同等。数値を比較すれば以下の通りとなっている。
■SRV250A
全長2110mm
全幅850mm
全高1100mm
ホイールベース1400mm
車体重量167kg
シート高690mm
フロントタイヤ120/80-16
リヤタイヤ150/80-15
■レブル250Eクラッチ
全長2205mm
全幅810mm
全高1090mm
ホイールベース1490mm
車体重量174kg
シート高700mm
フロントタイヤ130/90-16
リヤタイヤ150/80-16
低く身構えた車体はハーレーダビッドソンの『スポーツスター』を意識しているのだろうか、燃料タンクや楕円型のエアクリーナーケース、右2本出しのエキゾーストシステムなどからそう想起させるが、やはり大きさは250ccクラスだ。
ステップボードはフォワードコントロールの位置にあるが、ライディングポジションはコンパクトで、膝が伸びってきってしまうことはない。ミッドステップにすれば窮屈になってしいまいそうで、足をおろしたちょうどいいところにフットレストが備わっている。
ちなみに、マニュアルミッションのベース車両『SRV250』はステップバーを採用。『SRV250A』では前後セパレート式のシートをダブル仕様とし、64万8000円というさらにリーズナブルな価格設定としている。
足つき性に不安はなく、身長175cm/体重66kgの筆者がまたがると、両足のかかとまでベッタリと地面に届くことも報告しておこう。
クラッチ操作は必要ないが、ハンドル左にはレバーがある。これはリヤブレーキのためのものだ。
前輪ブレーキを右手、後輪ブレーキを左手で操るのはスクーターと同じ。連動式ではなく、それぞれを独立してコントロールできる。
制動力に不満はなく、対向4ポットキャリパーと280mmディスクローターを組み合わせたフロントブレーキを強く効かせても倒立式フォークがしっかりと踏ん張ってくれた。
フットコントロールは左右どちらにも付いていないから、ボード上の足もとは自由度が高い。Uターンの際など小さく右回りする際に、右足を出しつつ後輪ブレーキを操りたいのならレバー操作は便利と言える。
◆変速も自動制御が積極的に介入
AMTにはシフトチェンジを自動でやってくれるDモードと、変速を自分の意思でできるMモードがあり、切り替えはハンドル左のD/Mボタンを押すだけ。大型のTFTメーターは見やすく、スイッチ操作しながらモードの状態が絶えず把握できた。
左手人差し指でシーソーボタンのプラス側を引けば、ニュートラルから1速に入り、さらに押し続ければシフトアップしていくボトムニュートラル(N→1→2→3→4→5→6)になっている。その逆に親指でマイナス側を押せばシフトダウン。少し走れば、すぐに慣れてしまう。
街乗りをする分には、クラッチミートに違和感はなく、アクセルを開ければスムーズに車体が動き出す。
Dモードにしておけば4000rpmを超えたあたりでシフトアップし、Mモードであっても回転が上がらなければ高いギヤは受けつけられない。つまり、高いギヤを使ってトコトコと走らせるといったことは不可。トルクバンドにしっかりと入った状態をいつでも保つ。
◆Vツインサウンドに迫力あり!!
意外だったのは、Vツインエンジンのサウンドが250ccとは思えないほど野太く、迫力があること。4000rpmまで回転が上がらないとシフトアップできないので、市街地を走っていると乗っているライダー自身も音がデカイと感じるほどだ。
ギヤを上げるタイミングを遅らせて、加速力を存分に発揮させるSモードもさらに設定することができる。高回転を積極的に使う味付けとなり、スロットルレスポンスがシャープになるなどの印象は感じられなかった。
また、シフトダウンは2500~3000rpmでされ、やはりMモードであっても回転数によってギヤを落とす許容範囲が制御されている。エンジンブレーキが過剰に効くことを避けた設定だ。
◆中国メーカーがどこまで食い込めるか!?
AT免許で乗れ、ビギナーにもありがたいクラッチレス仕様だが、既存ユーザーやリターンライダーにとっても大きな魅力となるのは間違いない。冒頭で報告した通り、多くのメーカーで導入が進み、市場でも受け入れられている。
2017年の発売以来、セールストップを続けるレブル250にも2025年式からEクラッチ仕様が設定(2025年3月発売)され、そのメディア向け試乗会では発売後1か月の速報値として、購入者の8割以上に選ばれていることが明かされた。
つまり、クラッチレス化したモデルの需要は高まっている。それをQJモーターがこうして早くもラインナップに加えることができたことは、今後の強みとなっていくだろう。
昨春のモーターサイクルショーでは、400cc4気筒「SRK400RS」を発表して大きな話題となった。中国発のメーカーがどれほど太刀打ちできるか、今後は目が離せない存在になっていきそうだ。
四輪車ではホンダがミニバンのフラッグシップ『オデッセイ』を中国製としているし、BEVメーカーであるBYDの躍進は目覚ましい。
アメリカンブランドのハーレーダビッドソンやテスラでさえ、一部機種を中国にて生産。QJモーターはイタリアンブランドのベネリに加えて、ハーレーの『X350』と『X500』をOEM生産しているメーカーだけに、実力をめきめきとつけている。決して侮れないことは言うまでもないだろう。
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。
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みんなのコメント
中国メーカーを選択する積極的な理由が見当たらない。
よく分からないメーカー。
誰が買うんですかね?
マシントラブルが死亡事故に直結するバイクで中国メーカーのものを買おうとは流石に思いません。
後々も心配ですし。