異例の価格改定発表
ステランティスジャパンは2025年5月1日、主要6ブランドの14車種を対象とした価格改定を発表した。ガソリン車に加え、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)も含まれる。値下げ幅は最大50万円にのぼる。
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同社は、ブランドと製品の魅力を高めるための施策と位置づける。2025年度内に発売予定の新モデルにも、市場ニーズを反映した価格戦略を採用する方針だ。
物価高が続き、自動車業界も値上げ傾向が強まるなかでの今回の動きは異例といえる。本稿では、ステランティスジャパンが値下げに踏み切った背景を探るとともに、日本市場における今後の販売戦略を考察する。
日本市場での立ち位置
ステランティスグループは、2021年1月にPSA(プジョー・シトロエン)とFCA(フィアット・クライスラー)の合併によって発足した。2024年の世界販売台数は542万台。自動車メーカーとしては世界第5位に位置する。
ステランティスジャパンが日本で展開するのは、
・ジープ
・フィアット
・シトロエン
・プジョー
・アルファロメオ
・DSオートモービル
の6ブランドである。日本自動車輸入組合によれば、これら6ブランドの2024年の販売台数は2万3844台。輸入車市場におけるシェアは7%にとどまった。過去最多だったのは2021年で、販売台数は4万2485台。シェアは12%に達していた。
2025年第1四半期(1~3月)の輸入車新車登録台数では、
・BMW
・メルセデス・ベンツ
・フォルクスワーゲン(VW)
など欧州勢が上位10位を独占。一方、ステランティスジャパンの各ブランドはいずれもトップ20圏外だった。
販売基盤の拡大に苦戦するなかで、相対的に健闘しているのはジープのみである。残る5ブランドはいずれも年間販売台数が1万台に届いていない。なかでもDSオートモービルは、ブランド立ち上げから10年余りと歴史が浅く、日本での認知度は十分とはいえない。現状を打開するには、顧客が不安を抱く
・アフターサービスの質向上
・正規ディーラー網の整備
が急務だ。特に高価格帯モデルでは、価格に見合ったサポート体制がブランド選択の決定要因となる。ブランド認知の低さと並び、最大の障壁となっている。
欧州 vs 日本の価格差と市場感覚
本社をオランダに置くステランティスは、欧州市場において競争力のある価格戦略と各種補助金制度の活用により、一定の成果を挙げている。2024年の欧州新車販売では、シェア約17%で2位を維持。販売台数は174万2073台に達した。
一方、日本市場では事情が異なる。
・輸送コスト
・認証取得にかかる費用
・マーケティング経費
などが価格に反映され、車両価格は割高となっている。さらに、直近では円安による為替変動が価格に転嫁され、競争力の確保が難しくなっている。
ただし、為替は足元でやや安定の兆しを見せている。加えて、日本政府が検討を進める関税非課税枠の活用も視野に入る。こうした状況を踏まえると、従来の価格設定を正当化するのは難しくなってきた。
今回の価格改定は、こうした外部環境の変化を受けた判断とみられる。
値下げに踏み切った理由
では、なぜこのタイミングで値下げに踏み切ったのか。背景には複数の要因があるとみられる。まず挙げられるのが在庫圧縮だ。ステランティスグループ全体で在庫の最適化が急務となるなか、値下げはその一環と考えられる。
加えて、EVやPHVの販売が伸び悩んでいる現状もある。今回の値下げでは、アルファロメオ・トナーレ(PHV)が50万円、フィアット・600eラプリマ(EV)が30万円と、エンジン車やディーゼル車よりも値下げ幅が大きい。電動車の販売テコ入れを狙った措置といえる。
さらに、新モデル投入への備えという側面もある。在庫を整理し、新車導入の受け皿を整える狙いがうかがえる。
値下げは一時対応か、構造転換の序章か
今回の値下げは、一時的なプロモーション施策とはいい難い。全ブランドから14車種が対象となっており、選定範囲の広さがその理由を示している。
円安基調が続くなかでの値下げには、利益を削ってでも販売台数を確保したいという企業姿勢が透けて見える。これまでのステランティスジャパンは、プレミア価格を維持することでブランド価値を訴求してきた。価格以上の価値を前面に出す、戦略的な価格設定が特徴だった。
しかし今回の動きは、そうした従来路線からの転換を示唆する。異例ともいえる広範な値下げは、実利を優先する戦略へのシフトと捉えられる。値下げによって市場の間隙を突き、販売最優先の姿勢へと大きく舵を切った可能性が高い。
最後の打ち手か、新たな布石か
今回の値下げを悲観的に見れば、日本市場からの撤退を見据えた在庫整理とも受け取れる。円安や原材料価格の高騰により、収益確保が難しい日本市場への投資継続が再検討されている可能性がある。
日本市場は販売規模が小さく、収益性も低い。このため、
「追加投資に見合うリターンが期待できない」
という判断があっても不思議ではない。市場撤退に向けた準備の一環として、今回の値下げが実施された可能性は否定できない。
一方で、販売回復に向けた地ならしという見方もある。2025年中に予定されている新モデルが、どのような価格帯で投入されるか。そこにステランティスジャパンの進路を占う分水嶺がある。
これまで、フォルクスワーゲンやBMWは価格を維持しつつ、新モデルを次々と投入して付加価値を訴求している。一方、スズキやホンダといった日本車メーカーは、一部車種を海外から輸入し、円高の影響を受けながらも価格を据え置き、国内市場での防衛に注力している。
こうした状況を見ると、ステランティスが値下げという正面からの戦略に出たことには違和感を覚える。これはある種の賭けともいえる。差別化戦略がもはや機能せず、限界に近づいていることの表れと受け取られる。
価格戦略の行方に何を見出すか
一般に、商品が値下げされることは消費者にとって歓迎すべきだが、企業にとってはブランド価値の毀損や陳腐化を招くリスクもある。
ステランティスジャパンの値下げは「最後の賭け」として、成功への一歩となるのか、それとも終焉の始まりなのか。
単に値下げを歓迎するだけではなく、その行き先を見極める必要がある。今後注目すべきは、値下げによって販売が上向くかどうかだ。それが値下げの成否を決定づける重要な指標となる。
この視点から、ステランティスジャパンの販売動向を注視し、ブランド再定義が成功するかどうかを見守りたい。
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