この記事をまとめると
■タイではダブルデッカーへの縛りが厳しくなっており勾配のある7ルートを通行禁止に
最高の眺望と堂々たる佇まい! 消滅が惜しすぎる2階建てバス「エアロキング」は人生一度は乗りたいバスだった
■事故防止策と事業者負担の間で対立が表面化したことが背景になる
■規制の厳しい日本においては連節バスが輸送力増強策として注目されつつある
タイでお馴染みの光景が消滅の危機
先日タイ現地からの報道として、ダブルデッカー(2階建てバス)の運行事業者が100台にも及ぶダブルデッカーを率いてデモを行ったと伝えていた。なにが起こっているのかと調べると、勾配がきつくダブルデッカーバスの事故を誘発するとされる7つのルートについて、所管大臣である運輸大臣がダブルデッカーバスの通行禁止を命じ、それに抗議するデモが行われたとのことであった。
対象は日本でいうところの貸切(観光)バスだけではなく、都市間を結ぶなどする路線バスも含まれている。2025年3月にタイ国内でダブルデッカーバス横転による交通事故で多数の死者が出たことにより、この命令が発せられたようである。
この措置により、ダブルデッカーバス事業者は禁止ルートを避けて迂回運行することとなり、余分に燃料費を負担することになったり、利用者の減少も招いているという。それゆえ運行事業者も今回の抗議活動に至ったようである。
タイに限らず、東南アジア各国の貸切や都市間を結ぶ長距離バスなどでは、日本での昭和のころの「トラック野郎」を思い起こすようなにぎやかな外装が名物となっている。バンコク市やその近郊をタクシーなどで移動していれば、輸送効率も考えているのか長距離路線バスは多くがダブルデッカータイプとなっているようで、よくダブルデッカーバスに遭遇することがあった。
多数の犠牲者を出した事故が発生したのだから、当然世論を意識しなければならない。管轄官庁が事故防止策として指定した同様の事故が発生する可能性の高いルートでのダブルデッカーバス走行禁止を命じることは、政府が早急に対策を講じているという世論へ向けたメッセージ効果も高いだろう。
ただ事業者からすれば、燃料費が世界的に高値安定化しているなか、運行事業者としては輸送効率の高いダブルデッカーバスを導入するのは自然な流れにも見える。事業者側からすれば「ダブルデッカーというだけで事故リスクが高いというのはおかしい」となるし、客観的ファクトに基づいて命令が出たかも定かではない。
これを機に、単なる事故防止だけではなく運行管理全体にメスを入れようとしているような報道も見受けられるが、利用者としてはとにかく安心安全に目的地に到着することができる体制づくりを望むばかりである。
世界で幅広く見られるダブルデッカーバス
ダブルデッカーバスといえば、ロンドンバスが有名なところ。いまでは中国BYD(比亜迪)のBEV車両も導入されており、長年ロンドン市民の生活移動手段として活躍している。そのほか香港でも長らくダブルデッカーバスが街なかを走っており、こちらも車両電動化が進んでいる。
アメリカ・ネバダ州ラスベガスでも、ダブルデッカータイプの路線バスが観光客の市内観光での移動手段として重宝されている。そのほか筆者は、マレーシアでもダブルデッカータイプの路線バスに乗ったことがある。夕方の帰宅ラッシュ時だったためか乗降にやや難があるようには見えたものの、1回の運行でより多くの乗客を輸送できるという面で効果があるのは異論のないところだろう。
日本では、市内路線バスとしてのダブルデッカーバスの運行は筆者が知る限り行われていないが、高速路線バスや観光バスとしては活躍している。日本では車両について3.8mという車高の上限規制があり、これがダブルデッカーバス普及の足かせとなっている。それでも2010年までは三菱ふそうがダブルデッカーバスをラインアップしていたが、いまでは国産ダブルデッカーバスは存在せず、スウェーデンのスカニア社が販売するのが「日本で唯一の2階建てバス」となる。
市内路線バスに限っていえば、全国的に利用者の減少傾向に歯止めがきかないことや、運転士不足などもあって減便や路線廃止が相次いでいるが、沿線に企業や大学、高校などが多くある路線では利用者がかなり多い。
そのような路線では、輸送力増強のために大型路線バス2台で同時刻運行することも多いようなのだが、昨今の運転士不足でそれもままならず、ダブルデッカーの代わりとして連節バスの導入が目立ってきている。こちらはいすゞと日野の合弁バスメーカーである「Jバス」がラインアップし(いすゞ・エルガデュオ/日野ブルーリボン・ハイブリッド連節バス)、さらにメルセデス・ベンツ シターロの連節バスも国内で活躍している。
連節バスはトレーラートラックのような牽引車両ではないので、大型二種免許があれば運転可能なのだが(まっすぐ走るほうが大変らしい)、運行開始するのにはさまざまなハードルが存在する。そもそも全長12mという日本の保安基準をオーバーすることもあるので、そのような場合は問題なく走行できるルートに限定して運行が認可されることになる。
また、地域の警察によって細かい判断も異なるようで、場所によっては先導車を走らせないと運行することができないというところもあると聞いている。車両導入にあたっては、すでに導入している事業者の協力により運転士の研修を行うとも聞いたことがある。
バス利用者の減少が目立つこともあり、今後は大型から中型へダウンサイズするといった動きが目立ってくるともいわれるが、前述したように沿線環境によっては大量輸送能力が求められるケースも依然として存在する。また、自家用車がなければ日々の移動に困るといった地域であっても、いまの若年層では運転免許を取得しないことも多く、路線バス利用への回帰現象がすでに一部地方都市で発生しているケースもあるとのこと。
とはいうものの、ダブルデッカーであれ連節バスであれ、つくづく日本という国は細かい規制の多い国だと痛感させられる。理由なく規制が設けられているとは思えないのだが、なにか新しい発想で取り組もうとするとさまざまな規制が立ちはだかるのは、バスだけではなく「日本あるある」的光景といえよう。
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みんなのコメント
それよりも「~聞いている」ってしっかり調べもしないで記事を書くってどういう神経してるのか?