F1チームとその関係者は、F1の商業権を保有するリバティ・メディアが来季2025年のチャンピオンシップで、今シーズンと同じ計6回のスプリントイベントを開催することを発表したあと、安堵のため息をついた。
実際、これらのスプリントイベントのうち5つは、今年と同じトラック(上海、マイアミ、COTA、インテルラゴス、ロサイル)で開催される。唯一の例外であるレッドブルリンクはスパ・フランコルシャンにその座を譲り、ダブルレースプログラムから外れた。代わって週末に2レースが行われるベルギーのイベントでは、わずか14周のスプリントレースが開催される。これはF1スプリントでは過去もっとも少ない周回のレースとなる。
2025年F1スプリントカレンダーが決定。6戦で実施、オーストリアに代わり、ベルギーが復活
F1の会長兼CEO(最高経営責任者)であるステファノ・ドメニカリは、早ければ2025年にもスプリントレースの数を12レースに倍増させるキャンペーンを行っていたため、小規模チームを中心にほぼすべてのF1関係者の周辺には、かなりの緊張感があった。
ドメニカリの動機は、つねにそうであるようにF1の収益を増やすことにあった。スプリントイベントのプロモーターは皆、ふたつめのレースを行うために500万ドル(約7億9200万円)から1000万ドル(約15億8500万円)の追加料金を支払うことになるため、彼は開催ラウンドを増やそうとしたのだ。しかし、現場で働く人々にとって幸いなことに、このイタリア人はこれ以上提案の受け入れ先を見つけることができなかった。
オーストリアGPがスプリントレースをやめたという事実は非常に重要だ。なぜなら、レッドブルリンクのオーナーはつねに土曜日のレースのために追加料金を喜んで支払っていたからだ。しかし、2023年と2024年の両年において、スケジュールにスプリントレースを追加しても収益の増加が見られなかったという事実は、オーストリアの飲料メーカー、つまりレッドブル社にとってF1に追加料金を支払い続けるインセンティブがなくなったことを意味した。
また興味深いことに、バーレーンとサウジアラビアは、宗教上の祝日であるラマダンとの衝突を避けるため、両国とも2025年シーズンは開幕戦ではなく4月に開催日を移したものの、スプリントレースの開催案は辞退した。自国のプロモーションのために資金を惜しみなく注いでいる国々でさえ、グランプリ・プログラムにふたつめのレースを開催する機会を辞退するのであれば、スプリントレースを開催することによる商業的利益や知名度上のメリットがないことは明らかだろう。
また、チームにとってスプリントイベントは、メカニックとエンジニアの作業時間を大幅に増加させるものだ。とくに今季はパルクフェルメのルールが変更され、スプリントレース終了後からメインイベントの予選までの間に調整作業ができるようになったため、それが顕著になっている。
もちろん、スプリント予選後の金曜日の夜からスプリントレースが終わるまで、マシンがパルクフェルメ下にあることにはわずかなメリットがあるが、本戦の予選前にやらなければならない作業量は大幅に増加している。
スプリントイベントの数が増えることなく年6回が維持されたことで、チームはグランプリ・クルーのためにすでに導入しているローテーション・システムを拡張する必要がなくなり、コストを現在のレベルに維持できるようになった。これはとくに、このフィールドにある4つの小規模チームにとっては必須事項だ。
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