■EVに抱く固定概念を覆す! 目指すは「次世代のEVスタンダード」
日産は2025年6月17日、第3世代となる新型「リーフ」をグローバル向けに発表しました。およそ8年ぶりのフルモデルチェンジとなります。
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EV(電気自動車)の草分け的存在として2010年に初代モデルが登場して以来、15年間にわたり世界で約70万台を販売し、推定累計走行距離は約280億kmに達する実績を持つリーフが、これまでの経験を活かし大きく進化しました。
新型リーフは、EV所有者はもちろん、ガソリン車からの乗り換えを検討するユーザーも視野に入れ、航続距離の大幅な向上や充電速度の改善、EVが生活の一部としてライフスタイルを充実させる技術を搭載しています。
2025年秋に米国から販売開始予定で、その他の地域にも順次展開されるとし、日本でも2025年中の発売予定だといいます。
新型リーフの商品企画を担当した日産の遠藤 慶至 チーフ プロダクト スペシャリストは、その狙いについて次のように説明します。
「今回の3代目リーフは、常識を覆す新時代のクロスオーバーEVというコンセプトで開発しました。
ガソリン車から乗り換えていただくための様々な技術を搭載しています」
多くのユーザーがいまだEVに対して持つ「航続距離が心配」「充電性能が不安」といった概念(常識)を覆したいのだと遠藤氏は話します。
新型リーフのボディサイズは、欧州/日本仕様で全長4350mm×全幅1810mm×全高1550mm、北米仕様で全長4405mm×全幅1810mm×全高1557mm。ホイールベースは2690mmです。
現行の2代目リーフ(全長4480mm×全幅1790mm×全高1560mm:日本仕様)よりも少しコンパクトになりながらも、室内空間は同等の広さを確保したといいます。
エクステリアデザインは、日産が掲げるデザイン言語「タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム」をさらに発展させたもので、スリークでありながらも大胆なクロスオーバースタイルを採用しています。
デザインを担当した田勢 信崇 プログラム デザイン ダイレクターはこう話します。
「我々が目指したのは、次世代のスタンダードとして多くのお客様に受け入れてもらえる、それでいて決して中庸ではない強いアイコニックな存在感です」
もっとも特徴的なのは、初代・2代目のハッチバックスタイルを改め、空力性能を徹底的に追求するため新たに採用した流麗な「ファストバック(リア部が寝かされたクーペ風形状)」シルエットです。
フロントは彫刻的でEVらしいグリルレスのバンパーが特徴で、サイドビューはファストバックのようなシルエットが滑らかにリアデッキへとつながり、風をスムーズに後方へ流します。
日産初となるフラッシュドアハンドルや最適化されたホイールアーチモールディングの効果も奏功し、フラットな外観を実現しました。
このように空力を徹底的に考慮したデザインによって、米国および日本仕様で空気抵抗係数(Cd値)0.26、欧州市場向けの一部仕様では0.25という、同クラスとしては優れた空力性能を実現しています。
開発を担当した磯部 博樹 チーフ ビークル エンジニアは、ファストバックスタイルを採用した過程について、次のように説明します。
「空力性能を追求していく中で、ファストバックのシルエットが必然的にできあがりました。
当初プロジェクトが始まった時はもっと四角いクルマだったのですが、とにかく空力を突き詰めていった結果、このスタイリングになりました」
ホイールは空力性能を高めつつ、大胆でモダンなスタイルを表現した3種類を設定。フルカバー付き18インチスチールホイール、18インチアルミホイール、235/45R19タイヤを装着した19インチアルミホイールが用意されています。
エクステリアカラーは個性豊かな8種類のカラーコンビネーションで展開され、上位グレードではコントラストの効いたブラックルーフとの組み合わせも選択可能です。
■外から見る以上に広々した室内空間を確保
新型リーフのインテリアは、広々とした空間が特徴です。
プレミアムクロスオーバーEV「アリア」で初採用されたEV専用の「CMF-EVプラットフォーム」を採用し、フラットなフロアに加えて空調ユニット(HVAC)をモータールーム(ボンネット内)に配置することで、開放感ある前席の足元空間を実現しています。
インストルメントパネルは横に広がるフローティングデザインにより、落ち着いたミニマルな雰囲気を演出。これまでセンターに配されていたシフトノブをインパネ側に移動し、プッシュボタン式シフターを採用したことで、さらに開放感が高まっています。
またセンターコンソールがないことでオープンな空間となり、ストレージボックスも十分に確保されています。
オーディオ&インフォテインメントシステムには、12.3インチまたは14.3インチのデュアルスクリーンを統合したモノリススタイルのデザインを採用。
メーターの背景デザインは最大5種類を用意し、その中にはリーフ専用の「Engawa(縁側)」デザインも含まれています。
デザイン担当の田勢氏は、その狙いについて次のように話します。
「日本の建築思想である縁側は、内と外の空間を自然に繋げることを目的としており、その哲学をディスプレイにも反映させています」
64色から選択できるアンビエント照明と組み合わせることで、オーナーの気分や好みに合わせた空間演出が可能です。
なおコネクテッドサービスには新たにGoogleビルドインを採用。常に最新の情報を得られるほか、スマートフォンとのワイヤレス連携や各種アプリの利用、車外からの空調コントロールなども可能としました。
さらに室内の頭上には「調光パノラミックガラスルーフ」を採用しました。電子調光技術によりガラスの透明度をボタンひとつで調整することができます。
ガラス部には赤外線(IR)反射コーティングを採用することで高い遮熱効果を実現し、年間を通じて快適な室内環境を提供します。
また通常のガラスルーフ車に備わるサンシェードを廃止したことで、クローズした時も頭上空間をより高くとれる利点もあるといいます。
シートは前席、後席ともにゼログラビティシート構造を採用。後部座席は6:4の分割可倒式で、ISOFIXタイプのチャイルドシートにも対応しています。
ラゲッジスペースは、北米および日本仕様で最大420リットル(VDA方式)、欧州仕様では独自のトランク構造により最大437リットルの容量を実現しました。
■車載バッテリーの熱管理や外部給電機能も新たに搭載
パワートレインは、温度調整機能を備えたリチウムイオンバッテリーが2種類用意されています。
52kWh(使用可能電力量52.9kWh)の「B5」と75kWh(使用可能電力量75.1kWh)の「B7」の2種類で、B5が最高出力130kW(174hp)・最大トルク345Nm、B7が最高出力160kW(214hp)・最大トルク355Nmを発揮します。
従来、個別の部品で構成されていたモーター、インバーター、減速機を一体化した新開発の「3-in-1 EVパワートレイン」は、2代目モデルより10%小型化されています。
モーターのローターに斜め構造配置を採用し、磁力の変化を滑らかにするとともに、高剛性モーターマウントによってモーターの振動を従来比で75%低減したといい、これら日産独自のモーター制御技術により、静粛性の向上とよりスムーズな走行性能を実現しました。
また75kWhバッテリー搭載のB7モデルは、北米EPA基準で最大303マイル(日本、欧州はWLTC基準で600km以上)の航続距離を実現しました。
最大150kWの急速充電に対応しており、150kWの急速充電器に接続した場合、10~80%まで最短35分で充電することができます。
15分の急速充電で約250km以上の航続距離を回復することも可能です。
くわえて、クルマ全体の冷熱システムを一括制御するエネルギーマネジメントシステムを新たに採用しています。
普通充電時に車載充電器(OBC)から発生する熱を利用してバッテリーを温め、寒冷時の回生性能を向上させることや、バッテリーの熱をエアコンの暖房に活用するなど、発生する熱を可能な限り有効活用することで高効率化を図っています。
さらにこの仕組みを活用し、ナビゲーションと連動した「ナビリンクバッテリーコンディショニング」も採用しました。
開発担当の磯部氏はその機能について「目的地を設定すると、ルートの負荷を判断し、負荷が低いと予測される場合は冷却モードを自動で調整してエネルギーを節約します」と説明します。また夏場の急速充電時にも効果を発揮するといいます。
このほか、リアサスペンションも従来のトーションビーム式からマルチリンク式を新採用するなどし、乗り心地や操縦安定性も高めました。
先進運転支援技術(ADAS)では、前のクルマが減速しドライバーがアクセルペダルを戻すと、システムがなめらかにブレーキを制御して速度を落とし、ドライバーの減速操作をサポートする「インテリジェントディスタンスコントロール」を新開発しました。
先行車がゆっくりと停止した場合には自車もそれに応じて停止まで制御する技術で、加減速を繰り返すシーンでドライバーの負荷を軽減します。
さらに、先進のカメラ技術を用いた「インテリジェントアラウンドビューモニター」を搭載。車両周囲を車外の様々な仮想視点から確認できる「3Dビュー」、クルマの前方や交差点などの見通しの悪い場所で左右を確認できる「フロントワイドビュー」や目視できないフードで隠れた路面の映像を表示する「インビジブルフードビュー」を搭載しました。
また高速道路での運転をより快適にするために、インテリジェントクルーズコントロールとステアリングアシストを組み合わせた「プロパイロットアシスト」も搭載。日本向けには「プロパイロット2.0」が搭載されます。
新型リーフは、ゼロエミッションな移動手段としての役割に加え、「V2L(Vehicle-to-Load)」機能を通じて、災害時やアウトドアアクティビティなどのライフスタイルをサポートします。
室内と荷室にそれぞれ120V(日本仕様は100V)のコンセントを搭載しており、合計最大1500Wの電力を使うことができるため、キャンプなどのアウトドアシーンで電化製品を使用できます。
また、充電ポートに接続するV2Lアダプターから外部への電力供給も可能となりました。
日本仕様では「V2H(Vehicle-to-Home)」機能も継続して採用されており、V2H機器と接続することで、車両のバッテリーから家庭へ電力を供給したり、太陽光発電の電力を車両に蓄電することも可能です。
なお新型リーフの生産は当初、日本の栃木工場およびイギリス北東部のサンダーランド工場でおこなわれます。価格などの詳細は、販売開始時期に合わせて各市場にて発表される予定だといいます
※ ※ ※
新型リーフは、2010年の初代発売から15年の間に蓄積した膨大なデータと経験を全て注ぎ込み開発されました。
EVの草分け的存在から、新時代のスタンダードとなるクロスオーバーEVへと進化し、ガソリン車からの乗り換えを促進する存在となりそうです。(くるまのニュース編集部)
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みんなのコメント
メリットは 走り、乗り心地、メンテナンス費用など…
一気500キロ走れない事にはなにも困りませんよ!
1日に何百キロも走らないから外での急速充電は年に数回程度しか必要ないので急速充電の時間も気にならないのです。
そもそも休憩=充電です。