現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 乗ってわかったホンダの新型「フィット」の○と×

ここから本文です

乗ってわかったホンダの新型「フィット」の○と×

掲載 更新 29
乗ってわかったホンダの新型「フィット」の○と×

4代目となる新型フィットに試乗した。最初に言ってしまえば、ホンダ独創のセンタータンクレイアウト採用のプラットフォームを3代目フィットからキャリーオーバーしつつ、劇的な進化を遂げた、なによりも「心地良さ」を新たな価値とした新型だ。

それはスタイリングを見ても明らか。全体的なシルエットはどう見てもフィットだが、3代目までのシャープな顔つきから、柴犬をモチーフにしたというやさしく親しみやすい顔つきになっている。

ガソリン車は先代より圧倒的に静かになったホンダの新型「フィット」クロスターグレード試乗レポート

そしてグレード展開も新しく、BASIC、基本のHOME、NESS、CROSSTAR、LUXE 5つのタイプを用意。特にSUVテイストあるCROSSTARは見た目のクロスオーバー感だけでなく、最低地上高を標準車の135mmから160mm(FFの場合)に高めているのが特徴だ。4WDであっても本格的な悪路走破性を目指したものではないが、アウトドアライフをたのしむ際の雪道、ちょっとしたジャリ道などの走りやすさを念頭に置いた仕様となる。

室内はモダンで明るい、リビングルームのような空間だ。特筆すべき点は数多くあるのだが、先代までのフィットと比較してまず印象的なのが、薄くほぼ水平のすっきりしたインパネデザイン、シンプル表示の大型TFT液晶メーター、2020年に登場するホンダのEV、ホンダeに採用されたものと同じ、視覚的の抜け感にも貢献する2本スポークステアリング、そして斜め前方視界をまったくジャマしない(その存在に気づきにくいほどの)極細Aピラーだ。実際に運転席に座ると、まさにクルマらしからぬ、ロマンスカー最前列のようなパノラマ視界。新鮮な運転感覚をもたらしてくれる。



合わせて、筆者が先代フィットのウイークポイントのひとつだと感じていた前後席のかけ心地も劇的に向上。その理由は、新シート=ボディースタビライジングシートの採用だ。従来の便利すぎるダイブダウン格納、チップアップ機能はそのままに、先代のSバネ式からMAT面構造を用い、骨盤を安定させる機能を持たせ、シートクッション厚はアコードのシート並みの、先代比で前席が対30mm、後席で+24mmの厚みとしているのだ。実際、前後席ともに、ファブリックシートであれば、お尻がふんわり沈み込むようなソファ感覚の心地よいかけ心地を実現している。先代の運転席は座面が前下がりしているような印象で、かけ心地が平板だったことからすれば、大歓迎すべき点だと思えた。

ホンダセンシングの機能も大きく進化した。単眼カメラ+フロント4個、リヤ4個の合計8個のソナーによって、コンビニのガラスをも検知可能になっている。しかも、ドイツのアウトバーン、国内高速道路3万キロを走り、テストを重ねたというACC(アダプティブクルーズコントロール)は、これまでの約30~115km/hの作動から、ついに渋滞追従可能な0~135km/h対応になったのと同時に、レーンキープ性能も格段に向上。日本の高速道路のほとんどの本線カーブをしっかりとトレースできるというし、高速出口のカーブも制限速度以下であればACC ONのまま走れるというのだから高性能だ。これは、単眼カメラの性能が著しく向上したことが理由だそうだ。実際、ACCでホンダのテストコースの高速コーナーを、車線中央をキープしたまま、120km/hでクリアできた経験がある。

さらに、コネクティッド機能も充実。新時代のコンパクトカー、ファミリーカーとして、専用車載通信モジュールによる「ホンダコネクト」を日本初搭載。コネクテッドサービス「ホンダトータルケアプレミアム」も開始した。さらに、セキュリティーアラームの作動時には、ALSOKのガードマンを現場に急行させるサービスも用意しているから心強い。

そのホンダコネクトは、専用車載通信モジュールに加え、ホンダの純正アクセサリー企画・開発部門のホンダアクセスが用意する9インチナビゲーションを装備することで、前席頭上に、エアバッグ展開時には自動度通報、任意でもあおり運転被害時などに通報できる赤いSOSボタンと、青いトラブルサポートボタンを用意。前席頭上にそのようにふたつの”安心ボタン”を備えているクルマなど、ほぼないに等しく、絶大なる安心感とともにドライブを楽しむことができるというわけだ。

パワーユニットは、ズバリ、メインのi-MMDを大幅に小型化した(インサイトの同システムに対して)、1.5Lエンジン+2モーターハイブリッドシステムのe:HEV(イーエイチイーブイ)、および1.3Lのガソリンエンジンを揃えるが、ここでは、そんな新型フィットの、を搭載した、最上級グレードである本革シートも標準装備されるe:HEV のLUXEに試乗した。



走り出しはもちろんモーター走行だから、とにかく静かで滑らかかつ伸びやかに加速する。多くのシーンで基本はモーター走行、エンジンは発電を担うのがe:HEVで、クルージング状態ではほぼモーター走行。例えエンジンが始動しても、エンジンノイズの透過音がきわめて小さく、それを気づかせないのもさすがである。パワーフィール的には、ホンダのエコモードスイッチと言えるECONをオフにしても穏やかなものだが、無論、市街地、高速道路で加速力不足を感じさせることなどない。

試乗中、おおっ、と思わせたのは、アクセルオフ、下り坂でのトランスミッションの制御。ダラダラと望まない加速を抑えた減速、あるいは速度保持の制御を賢く行ってくれるため、扱いやすいパワーステアリングの操舵感とともに、実に走りやすいのだ。

そして先代オーナーなら大感動するはずなのが、乗り心地。フィット3も最終型はかなり乗り心地が洗練されてきたものの、やはり、持ち前のしっかり感演出のための?硬さはぬぐい切れてはいなかった。が、新型は、15/16インチのタイヤサイズを問わず、路面を問わず、フラットで、新型のコンセプト通りの心地よい、マイルドな乗り心地に徹している。シートの分厚いクッション感を持つかけ心地の良さとの相乗効果で、コンパクトカーらしからぬ、もっとずっと上級、大型のクルマに乗っているかのような快適感をもたらしてくれるのだ。



実燃費は、一般道中心でエアコンON、ECON OFFの状態で20km/L以上を記録。経済性も文句なしの先進のコンパクトカーに進化していることは間違いない。購入時には、くれぐれも、つながる安心のホンダコネクトをフル装備することを推奨する。毎日の生活、ドライブがより安心に満ちたものになるからだ。

なお、1.3Lガソリンモデル、およびCROSSTARの試乗記は、別途、お届けしたい。

ホンダ・フィット
https://www.honda.co.jp/Fit/

文/青山尚暉

モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ラリージャパンで国沢光宏が躍動! 二つの顔を持つ紳士がルーテシア ラリー5で激走
ラリージャパンで国沢光宏が躍動! 二つの顔を持つ紳士がルーテシア ラリー5で激走
ベストカーWeb
『危ねぇ知らなかった!』危険回避! 知らないと怖いブレーキパッドの交換タイミング~カスタムHOW TO~
『危ねぇ知らなかった!』危険回避! 知らないと怖いブレーキパッドの交換タイミング~カスタムHOW TO~
レスポンス
ソニー、移動をエンタメに変える「MR Cruise」事業化…あらゆる車両に搭載可能に
ソニー、移動をエンタメに変える「MR Cruise」事業化…あらゆる車両に搭載可能に
レスポンス
「前を走るパトカー」“追い越し”て大丈夫? 抜かす派VS抜かない派で賛否両論!? 「やっちゃダメ」な要注意項目とは
「前を走るパトカー」“追い越し”て大丈夫? 抜かす派VS抜かない派で賛否両論!? 「やっちゃダメ」な要注意項目とは
くるまのニュース
日本人初の快挙! moto2チャンピオン小椋藍がトライアンフ トリプル トロフィーを受賞
日本人初の快挙! moto2チャンピオン小椋藍がトライアンフ トリプル トロフィーを受賞
バイクのニュース
【10年ひと昔の新車】ボルボ V60 オーシャンレース エディションは、世界一周ヨットレースを記念したスペシャルバージョン
【10年ひと昔の新車】ボルボ V60 オーシャンレース エディションは、世界一周ヨットレースを記念したスペシャルバージョン
Webモーターマガジン
孤高のミニバンSUV、デリカD:5に「BLACK Edition」新登場、定番の「CHAMONIX」には新たに8シーターを設定
孤高のミニバンSUV、デリカD:5に「BLACK Edition」新登場、定番の「CHAMONIX」には新たに8シーターを設定
カー・アンド・ドライバー
ダイハツの「“すごい”コペン」登場! 軽規格超えた「ワイドフェンダー」×770ccエンジン搭載! 2L並みパワーでめちゃ速い「デカいコペン」 どんなマシン?
ダイハツの「“すごい”コペン」登場! 軽規格超えた「ワイドフェンダー」×770ccエンジン搭載! 2L並みパワーでめちゃ速い「デカいコペン」 どんなマシン?
くるまのニュース
トヨタの「高級スポーティミニバン」がスゴい! 「走りが楽しい」反響多数!? 王道「アルファード」と異なる「個性」に注目! ヴェルは何が違う?
トヨタの「高級スポーティミニバン」がスゴい! 「走りが楽しい」反響多数!? 王道「アルファード」と異なる「個性」に注目! ヴェルは何が違う?
くるまのニュース
「スゴい事故」発生も…「夏タイヤ履いてるなんて信じられんッ!」 批判の声多数! 夏タイヤで雪道走ると違反? 正しい交換時期の目安とは
「スゴい事故」発生も…「夏タイヤ履いてるなんて信じられんッ!」 批判の声多数! 夏タイヤで雪道走ると違反? 正しい交換時期の目安とは
くるまのニュース
ついにその瞬間がやってきた!!!!! シビックベースの70年代風GTカー[ミツオカM55]が限定100台800万円で販売!!!!! 即売必至か?
ついにその瞬間がやってきた!!!!! シビックベースの70年代風GTカー[ミツオカM55]が限定100台800万円で販売!!!!! 即売必至か?
ベストカーWeb
「富士山登山鉄道」断念、でも代わりは“トラム”なの!?  後継には「電動連節バス」しかない3つの理由
「富士山登山鉄道」断念、でも代わりは“トラム”なの!? 後継には「電動連節バス」しかない3つの理由
Merkmal
入場無料! [レクサスRZ]に[新型アウトランダーPHEV]も!! 千年の都が舞台[京都モビリティ会議]が12月7日(土)にやってくる
入場無料! [レクサスRZ]に[新型アウトランダーPHEV]も!! 千年の都が舞台[京都モビリティ会議]が12月7日(土)にやってくる
ベストカーWeb
FIA F2参戦のロダン、最終戦でFIA F3王者フォルナローリを起用。フォーミュラE参戦のマローニの代役
FIA F2参戦のロダン、最終戦でFIA F3王者フォルナローリを起用。フォーミュラE参戦のマローニの代役
AUTOSPORT web
快適ボックスシートから広々フルフラットへの変更も簡単! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
快適ボックスシートから広々フルフラットへの変更も簡単! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
もう[トヨタ]が開発してるだと!!!!!!!!!!! 次期型[GR86/BRZ]は1.6Lターボ+ハイブリッドでほぼ確定か!?  
もう[トヨタ]が開発してるだと!!!!!!!!!!! 次期型[GR86/BRZ]は1.6Lターボ+ハイブリッドでほぼ確定か!?  
ベストカーWeb
トヨタWRC、大荒れのデイ2を好位置で乗り切る。ラトバラ代表は「明日もトリッキーになる」と警戒/ラリージャパン
トヨタWRC、大荒れのデイ2を好位置で乗り切る。ラトバラ代表は「明日もトリッキーになる」と警戒/ラリージャパン
AUTOSPORT web
ARTグランプリ、ホンダのフランス法人とパートナーシップを締結。CR-VとZR-Vが提供される
ARTグランプリ、ホンダのフランス法人とパートナーシップを締結。CR-VとZR-Vが提供される
AUTOSPORT web

みんなのコメント

29件
  • 5つもタイプを作ってしまったことが仇になってしまった。コストダウンのために中国産の部品を多用することになってしまったのだが、今回の新型コロナウイルスのためその調達が滞っていると聞く。せっかくの新型車の納車はかなり遅くなりそうで残念です。
  • CMでみるとマリオのクリボーがたくさん並んでるみたい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

213.8284.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

9.8199.8万円

中古車を検索
フィットハイブリッドの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

213.8284.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

9.8199.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村