新型フェラーリ「ルーチェ」が、遂に発表された! 同社初の完全なるEV(電気自動車)市販モデルは期待の1台だった。現地で見たモータージャーナリストの大谷達也がリポートする。
新型フェラーリ・ルーチェの特徴
1.ローマで発表する意義2.シンプルでありながら個性的なデザイン3.驚異的な力強さ4.総評【フェラーリ関連記事】1.ローマで発表する意義
フェラーリ初のEV、ルーチェが現地時間の5月25日夜遅くにローマで発表された。
ちょうど79年前にあたるこの日、そして同じローマで、フェラーリの名を冠した初のモデルである「125S」がローマGPと呼ばれるレースで優勝した。これが現代にまで連なる栄光の歴史の第一歩となったわけだが、EVという新たな歴史を刻むことになったフェラーリが、それから79年後に同じローマで第一歩を踏み出すのは、大きな意義を感じずにはいられない。
もっとも、ルーチェを発売したからといって、今後デビューするすべてのフェラーリがEVになってしまうわけではない。
それどころか、昨年10月にマラネロで行われた機関投資家向けのキャピタル・マーケッツデイにおいて、フェラーリは2030年断面でのEV比率が20%となることを言明。2022年のビジネスプランで掲げた40%から大幅に目標を下方修正するとともに、エンジン車やハイブリッド車を今後も作り続ける姿勢を鮮明にした。
2.シンプルでありながら個性的なデザイン
発表されたルーチェのスタイリングは、かねてより報道されていたとおりジョニー・アイブとマーク・ニューソンが率いるクリエイティブ集団“LoveFrom”が手がけたもの。アップルの最高デザイン責任者だったアイブが初代iMacや初代iPhoneを手がけ、工業デザイン界に衝撃を与えたことは皆さんもご存知のとおり。なるほど洗練された曲面で覆われ、大きなガラスエリアが設けられたルーチェのエクステリア・デザインは、いかにもアイブの作品らしく、シンプルでありながら個性的な仕上がりを見せる。
インテリアについては一部がすでに発表されているが、操作系はiPhoneやiPadに似ているようでいて、決定的に異なる部分がある。
それは、iPhoneやiPadとは異なり、クルマのコントロール系はドライバーが運転中に操作するものであるという前提に立ってデザインされたこと。一部にトグルスイッチやダイヤルといった物理スイッチが用いられたり、トグルスイッチの下にアルミ製のバーを設けて手のひらを支えるようにしたのは、すべて運転中に操作することを考え抜いた結果。
いっぽうで、かつてとは比べものにならないくらい機能が豊富になった現代の自動車を、物理スイッチだけで操作するようにすればコクピット周りは航空機さながらの複雑な様相を呈し、操作性とデザイン性が損なわれる。そこで、物理スイッチとして残す部分と、タッチディスプレイ式スイッチで操作する部分は慎重に区別され、それぞれにとって最適な操作性を実現したという。
3.驚異的な力強さ
ルーチェの最高出力は1050ps。0-100km/h加速:2.5秒、0-200km/h加速6.8秒と最新のスーパースポーツカーさえ凌駕する動力性能を実現。また最高速度は310km/hと、EVとしては異例の速さを誇る。これはフロント:30,000rpm、リア:25,500rpmという超高回転型のラジアル・フラックス型永久磁石モーターによって可能になったスペックだ。
なお、モーターの出力は減速機を経て車輪を駆動するため、モーター自身の最大トルクはフロント:280Nm、リア:710Nmでも、駆動輪のトルクとしてはフロント:3400Nm、リア:7750Nmと驚異的な力強さを発揮する。
ルーチェの駆動系でもうひとつ注目されるのが、4輪を4基のモーターで独立して駆動する点にある。エンジンとは比べものにならないくらい反応速度が速いモーターで、4輪をダイレクトに駆動するため、エンジン車とは別次元のトルクベクタリングが可能となり、2260kgとされる車重が信じられないほど軽快なハンドリングを実現した模様。
そのほかにも4輪アクティブ・サスペンション、後輪は左右独立で操舵できる4WS、ブレーキトルクベクタリング、ABS evoなどを装備。これらもEVの常識を覆すアジリティを実現するうえで大きな効果を発揮するものと見られる。
バッテリー容量は122kWhと量産型EVのなかでは際立って大きく、航続距離は530km以上になる見込み。グランドツーリズモとして十分以上の性能といえる。またバッテリーには800Vテクノロジーを採用。許容できる最大の充電電力は350kWで、ロングツーリングに必要な高速充電性も確保されている。
そのあまりに美しい音色からフェラーリ・ミュージックと称されたエンジン・サウンドをEVのルーチェは発することができないが、そのかわりに、技術陣は電動アクスルの近くに振動を拾い上げるセンサーを装着。ここで得た電気信号にフィルターとイコライザーをかけることで、EVでありながら美しい音色を奏でることに成功したとフェラーリは主張する。ここで彼らがこだわったのは、ホンモノであることと、それが機能として役立つという点。また、リアルなモーターの振動をベースとしていることから深い味わいのサウンドに仕上がったことも重要なポイントといえる。
4.総評
ルーチェの開発に最新鋭の技術を惜しみなく投入したフェラーリだが、冒頭で述べたとおり、EVは彼らが提供するアーキテクチャーのひとつに過ぎず、今後もエンジン車やハイブリッド車を作り続けるそうだ。
つまり、ルーチェはEVという新たな選択肢を顧客に提供するものであって、ドライビング・スリルを追求する彼らの姿勢に変わりはないというから、“ティフォシ”たちは大いに安心していいだろう。
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みんなのコメント
まさかポ〇シェや牛みたいなことしないわな??