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【コラム】それぞれの”こだわり”と”好き”という「個性」の先にあるウェルビーイング

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【コラム】それぞれの”こだわり”と”好き”という「個性」の先にあるウェルビーイング

周りはどうあれ自分自身の感性こそが「個性」
流行に逆らうことだけが個性ではなく
「好き」には何がしかの理由があるものである

※本記事は雑誌『CAR and DRIVER』(2025年6月号)の巻頭コラム「from Editors - カー・アンド・ドライバー編集部の視点」より抜粋し一部加筆したものです

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雑誌という存在が持つ「個性」とはなにか

 Webメディア全盛の時代、雑誌の魅力はどこにあるのか、ということを機会あるごとに話しているのだが、それは何であるか、読者のみなさまはそれぞれの価値観をお持ちだと思う。作り手として、これが魅力だ、というのは本稿では言及しないが、雑誌に載ったコンテンツには絶対的な特長があることはお伝えしておきたい。

 それはなにかというと、雑誌など出版物は「後世に“そのまま”残るコンテンツ」であることだ。手元で保管・コレクションされることに加えて、国立国会図書館法によって規定されている、いわゆる“納本制度”によって、国レベルで収集と保管が約束されているということである。

 みなさんが日々閲覧されている多くのWebメディアのコンテンツは、いつでもどこでも、タイムリーにアクセスできることで重用されている。が、それはあくまでも「いま公開されているコンテンツ」に限られていることは、意外と認識されていない。

 もちろん、国立国会図書館でもウェブアーカイブという収集活動も行われてはいるが、Webサイトの技術的な特性からいって、“完全な保存”は事実上難しいし、閲覧に際しても、その当時の閲覧体験を再現することは難しい。

 対して、本や雑誌については、原本または誌面の見た目そのものが記録されており、掲載されている広告など含め、発売当時の雰囲気や時代感を感じることができるのが雑誌の個性なのだ。

自動車専門メディアという「型」を拡張する

 私たちカー・アンド・ドライバーも例外ではなく、かつては新車情報、とくにバイヤーズガイドであることが最も意識された誌面作りを行ってきた。しかし、現代のメディア活用の実態が時代とともに大きく変化してきたことを受け、現在の編集方針としては、「最新情報のタイムリーな提供」よりも「編集部独自の視点によるストーリー提供」にその比重をシフトしている。

 ファッション誌が時折クルマに関する特集企画を設けることがあるが、そこには個性的な切り口や表現で「クルマ」、そして「人」が多く登場し、スタイル軸で紹介されている。

 私たち自動車専門メディアは「クルマ」が主役であることが事実である以上、モノ軸としての紹介が多いが、それにしてもスタイル軸という観点はもう少しばかり足してみよう、とも私たちは考えている。

「新しい」よりも「好き」なクルマに注目してみよう

 いまも昔も、一部を除いてほとんどの自動車専門メディアが取り扱う情報の多くは「新車」に関する情報である。こと最近デビューした、あるいは何がしかの変更が加えられたと、自動車メーカーが広報活動を通じて設けられた取材機会で得られた情報を、編集部独自の何らかの示唆や解釈などが加えられ、ときにほぼ原文のまま、Webではニュースとして、雑誌では編集記事として、まるで決められた”型”にはまるかのように、毎日発信され続けている。

 そのうえで、今月号の雑誌『CAR and DRIVER』( 2025年6月号)は巻頭企画に「超・個性派」というテーマを設定した。これは、端的にいえば、前述の”型”に対する「逆張り」な発想で持ち上がったものだった。あえて、直近のニュース情報として多く発信されている車種ではないクルマについて、編集部独自でピックアップしてみようじゃないか、ということである。

 まるで天邪鬼のように聞こえるかもしれないが、そうではなく、スポットライトがあまり当たっていないが、私たちからみて「好き」と思えるクルマを紹介しよう、というのが本当の意図だった。「好き」であること、それこそが個性である、と考えているし、それを選ぶことがクルマ好きならではのウェルビーイングだ、ともいえるだろう。

好きだった初めての愛車は、まさに「個性の塊」だった

 個人的な話になるが、筆者の「初めてのマイカー」はプジョー206SWという、日本でも人気を博した3ドアハッチバックの206ではなく、荷室部分をストレッチして5ドア化され、車種名に謎の「SW」という記号が付加された、極めてマイナーな車種だった。もちろん(?)5MTを選び、色もペルセポリス・ゴールドという、陽が当たれば美しい金色となるが、曇天ではなんとも言及しがたい色合いとなる独特なカラーで、まさに超・個性派、「クセ強」そのものだった。

 当時、若干23歳の若造が、初めての愛車でいわゆる「ガイシャ」(しかも新車)を買いに行く、という、一見「贅沢なチョイス」ではあったが、当時の乗り出し価格は約230万円程度。いまどき、国産の軽自動車でも上級グレードを選ぶとこれくらいかかるし、「輸入車あるある」な低金利ローンの力で、実は総支払額は比較対象としていた日産キューブキュービックよりも安かった、なんてことも大きな後押しになっていた。

 ここでお伝えしたいのは、とにかく「好き」だと思ったのであれば、それを躊躇なく選ぶことに「遊び」があり「愉しみ」がある、ということだ。実際、私もプジョー206SWを初めてのマイカーに選んで本当によかったと心から思っている。

 運転が楽しかったし、燃費も悪くなく、荷室もあって実用的だった。当時一番の趣味だったスノーボードにも行けて、長距離移動も難なくこなしてくれた。唯一の不安要素だった故障も大きなものはなく、振り返れば満足感しかない、自身の人生に大きな彩りを与えてくれた1台だった。ちなみに、次に乗り換えたのがプジョー407SWとこれまたマイナー車種で、約5年間と自身の最長保有期間記録をいまも守り続けている。

「好き」で選ぶ、それはきっと、幸せをもたらしてくれる。

文/山本善隆(CAR and DRIVER / FM STATION 統括編集長)
<プロフィール>やまもとよしたか/東京都生まれ。ITコンサルティング会社でシステム開発、自動車Webメディア編集部等を経て、企業の戦略立案・事業開発・マーケティング支援業務に従事後、2020年に独立。2021年より現職。クルマを運転している時間が一日の中で最も好き。1995年以降は大のF1ファン。2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

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