10月21日午後の衆院本会議で高市早苗氏が第104代首相に指名された。女性初の首相、そしてクルマ好きの首相はおそらく初めてのことではないだろうか。高市首相は、約22年間、A70型スープラに乗り続けた大のクルマ好きとして知られる。2022年に行われたスープラのレストア完成セレモニーでは自ら運転、運転もすごくお上手だったとのこと。そこで今回はA70スープラ(高市早苗号)のレストアの模様と、クルマ好きの心がわかる高市首相に、改善してほしい自動車関連税制を挙げてみた。
文:ベストカーWeb編集部/写真:高市早苗事務所、西川淳、奈良トヨタ
【画像ギャラリー】A70スープラに約22年乗り続けた「日本初のクルマ好き総理」誕生!!! ガソリン税&軽油引取税の暫定税率廃止……高市次期総理に臨むこと(9枚)
歴代首相の中で一番クルマ好きな(おそらく)首相誕生!
10月21日午後に行われた首相(首班)指名選挙にて、第104代首相に選出された高市早苗氏。日本の県政史上、女性初の首相となる。と同時に、これまでの首相のなかで、一番クルマ好きな首相(おそらく)になるのではないだろうか。ちなみにカワサキZ400GPに乗っていたバイク好きでもある。
そこで今回は、改めて高市早苗さんが乗っていたA70スープラを紹介するとともに、今後、クルマ好きの一人として、高市早苗さんに見直してほしい自動車関連税制を挙げてみたい。
まずは高市さんが乗っていたA70スープラ(高市早苗号)を紹介していこう。グレードは2.5GTツインターボリミテッドのワイドボディで4AT仕様だ。1990年にA70スープラ最後のマイナーチェンジが行われ、そのタイミングで登場した追加グレードでもある。
2022年2月、この1991年式のスープラを、高市早苗さんに当時新車で販売した奈良トヨタグループが正式にレストレーションすることが発表された。
プロジェクト名は「STスープラ80」。STとはもちろん高市早苗さんのイニシャル。70なのに80となるのは、奈良トヨタが今年80周年を迎えることにちなんだものだ。
発表会には高市早苗さんがビデオメッセージを寄せられ、「自分で買った初めての新車だったので、思い入れも深い。(新幹線の)終電が間に合わなかった際には議員会館から奈良まで乗って帰ったこともある。レストアされたスープラに再会できることを心から楽しみにしています」とのことだった。
スープラ高市早苗号のレストレーションは、奈良トヨタグループ社員のなかから有志を募って、10人からなるプロジェクトチームが立ち上げられた。奈良トヨタが高市さんのスープラを買取り、「創業80周年事業STスープラ80レストアプロジェクト」として、レストアを手掛けることをなった。
ボディカラーはスーパーホワイトパールマイカに同色系サイドモールカラーが組み合わされている。インテリアカラーは非常に珍しいマルーンで、本革+エクセーヌのオプショントリムだ。オドメーターは7.7万kmを指していた。
選挙事務所に飾るため、ある程度磨かれたのだろう。10年以上も不動であったにしては、パッと見た目にキレイな状態だ。アシもしっかり立っている。
TOMS’のステッカーやパナソニックのカーナビ、そのダイバーシティアンテナ類、輸出仕様(っぽい)リアサイドマーカーなど、クルマ好きが乗っていた個体という雰囲気が全身から発散されている。室内には当時のカタログまで残されていた。よっぽど気に入って乗っておられたのだろう。けれどもホイールセンターやモール、ウィンドウフレーム、ミラーベースなどボディ以外の塗色部位にはペイントの剥離や劣化が目立っていた。
インテリアのコンディションは年式相応だ。ダッシュボードの割れがひどく、珍しいカラーだけにレストアの難所になりそう。ステアリングホイールやインナードアノブなどよく使う場所もかなり劣化していた。翻ってあまり人を乗せたことはないのだろうか、特に後席などは新車のようだ。
2022年10月29日にA70スープラの完成セレモニー開催
レストア開始から約2年半あまり経った2022年10月29日、A70スープラの完成セレモニーが奈良トヨタ田原本本社で行われた。高市早苗さんが公務の合間を縫って出席された。
奈良トヨタの菊池社長や担当したメカニックに感謝をするとともに「今日はスープラが動く、走るということでとても楽しみにしておりました。エンジンをかけるだけということでしたが、念のために運転免許証と眼鏡も持って参りました。エンジンをかけるのを楽しみにしています」と挨拶した。
除幕式の後、なんとレストアされたA70スープラのハンドルを自ら握ってパレード。スープラのCDデッキにはスタッフのはからいで高市さんが当時聞いていたB’sの「ALONE」が流れ、「なら歴史芸術文化村」までの約10kmをドライブ。
「なら歴史芸術文化村」ではクルマに抱きつき「持って帰る」、記念写真後には「最後にもう1回乗ります」とエンジンをかけたそうだ。
実に微笑ましいエピソードで、スープラ愛に満ち溢れていることがわかる。このスープラは奈良トヨタが買い取ってレストアしているため、高市さんがオーナーではなくなっているが、いつか買い取って乗ってほしい……。
県立畝傍高校の5年後輩で、以前にインタビュー取材したことのある奈良県出身のモータージャーナリストの西川淳氏は、
「高市先生は親父の最後の教え子(高校)だったこともあって、我が家のアイドル的な存在です。いつかは頂点に立たれることだろうと思っていましたが、総裁選3回目にしてついに勝たれた際には、喜ぶというよりもちょっと震えてしまいました。これはえらいことになったぞ、と。
親父が最も聞きたかったニュースだったと思うので。女性初はもちろん、クルマ好きとしても初の総理総裁でしょう。何度かお話させていただきましたが、心の底からクルマが好き(そしてバイクとハードロックも)でいらっしゃいます。
実は完成した白いSTスープラで走り出された際に、僕は別の赤いスープラ(これも奈良トヨタがレストア)ですぐ後を追走したのですが、運転もすごくお上手。
SPの乗った覆面パトカーが必死になってくらいついていました(笑)。ちなみに私もSTスープラをドライブしたことがあるんですが、GTクルーザーとして現役レベルの走りを取り戻していました。
若い頃は国会が終わってそのままスープラで奈良の地元まで世を徹して走るなんてこともしょっちゅうだったそう。そういう意味では最適なクルマ選びをされていたんですね。
先生のスープラが世に出るきっかけとなった冒頭の写真をいただいた際には処分の方法などいろいろと相談されたのですが、そのまま保存してもらえてよかった。
今、こうして見事に蘇り、奈良の“まほろばミュージアム”でみなさんに見ていただけるのですから。クルマ好きの心も十分にご存じの高市先生ですから、取りすぎだといわれている自動車関連税制の見直しにも是非とも取り組んで欲しいと思います。クルマ好きのみなさん、期待して応援しましょう」。
ちなみにスープラを展示している「まほろばミュージアム」では高市早苗さんが総裁になられた10月4日から、来館者数は増加し続けており、10月19日までで2300人ほど来館いただいたいます。総裁前と比べますと10倍ほどお越しいただいております」(奈良トヨタ・利根川優介さん)。
ガソリン税と軽油引取税の暫定税率はどうなる?
高市首相が誕生したばかりで、新内閣が進める政策はまだ不透明だが、総裁選期間中に高市氏は「ガソリンと軽油引取税の暫定税率撤廃の方向を確実なものにしたい。臨時国会の間に法改正する」、「自動車税環境性能割を2年間に限定して停止する」と発言している。
日本維新の会と連立合意した際には、25.1円のガソリン暫定税率廃止、17.1円の軽油引取税の暫定税率廃止が明言しているので、関連法案提出は臨時国会中に行われる見込みだ。
代替え財源はどうするのか? 金融所得課税の増税や法人税の租税特別措置の見直しという案も浮上している。さらに年末に行われる2026年度の税制改正大綱にて、自動車関連税制の見直しで調整するという声もあるが、ガソリン暫定税率廃止の付け替えによる増税となれば、本末転倒だ。
2022年10月から代替え案として浮上している走行距離税に関しては、地方在住者と電車などの公共交通が発達している都市圏在住者との不公平感が生じるのは明白。公共交通機関の乏しい地方部ほど、世帯当たりの保有台数が多く、負担も重い。自動車は、37道県で半数以上の人が通勤・通学で使用し、特に地方の子育て世代のほとんどが送迎で使用しており、生活の足として欠かせない。
当然、大型トラックなどの物流業界、バスやタクシーといった交通機関など長距離走行が必須となる事業者も税額が大きくなり、場合によっては深刻な経営ダメージを招いてしまう。
加えて、車両には走行距離を集計する機器を設置しなければいけない。車両に付いているオドメーターは距離を偽造される可能性があるため、海外では、GPS機器と連動した走行距離レコーダーなども利用されているが、その負担額は膨大……といった理由から代替え税としては実現する可能性は低い。
2025年10月4日、自工会は、2026年度の税制改正大綱における要望として、車体課税については、取得時は環境性能割は廃止し、消費税に一本化。保有時は「重量」ベースで課税標準を統一し、「環境性能」に応じた増減の仕組みにするなど、改革案を示した。 さらにガソリン暫定税率と同じく残存する暫定税率扱いの自動車重量税の廃止も掲げている。
自動車盗難を根本的に防ぐ法改正が急務!
早くなんとかしてほしいと切に訴えたいのは、ランクルやアルファード&ヴェルファイア、プリウスなどを中心に年々急増している、自動車盗難問題である。自動車盗難は年間6000件にもなるが検挙率が44%と低く、違法な手段や経路ですぐに国内外へ流通してしまうため、取り戻すことも難しい。
自動車盗難が急増している要因の一つは、自動車盗難の罪が軽すぎることだ。自動車盗難は万引きと同じ窃盗罪が適用。車上狙いなどの自動車盗は「窃盗罪」に該当し、法定刑は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」と量刑が軽いため、盗難防止の抑止力になっていないのだ。厳罰化が急がれる。
また盗難自動車の保管・解体のほか、不正輸出の拠点ともなっているヤードも大きな問題になっている。ヤードとは自動車解体業者が廃車される中古車を貯蔵し解体する施設で、ヤードを規制できるのは自治体の条例しかない。千葉県をはじめ、茨城、愛知、埼玉、三重、群馬の6ヵ所、市町村では3ヵ所制定されているが、全都道府県にまたがる条例はない。驚いたことに、保有台数が多い東京都と神奈川県には規制する条例がないのだ。提出条例のない地域のヤードに逃げてしまえば終わり。
国民民主党は2023年5月、2025年5月には日本維新の会と共同で国会にヤード法案(自動車盗難対策法案)を提出したが、いまだ成立していない。この法案は国や地方公共団体に対し、自動車窃盗等の取り締まりの強化・迅速化に加えて、違法ヤードの運営抑止、盗難自動車並びにその部品の流通・輸出の防止等を責務として定めるもの。ぜひ早急に成立してほしいものだ。
日本車の文化を守るため旧車を保護する法律をぜひ!
さらに、旧車を長く乗り続けるクルマ好きの心を理解してくれそうな高市総理に要望したいのは、自動車税、自動車重量税の13年経過の重課税廃止だ。環境性能の高い最新車を優遇するというのはわかるのだが、CO2排出ということを考えれば、適切にメンテナンスをしながら一台に長く乗り続けるのもエコだと思うのだが……。
新規登録から13年経過したクルマの自動車税の重課割合は15%。1000cc以下は4500円、1000cc~1500ccは5500円、1500~2000ccは6000円上乗せされる。
自動車重量税は、新規登録から13年を経過してからの重課割合は自動車税よりはるかに大きく、39%も重課。1トン車は3200円、1.5トン車は9600円、2トン車は1万2800円重課。さらに、新規登録から18年を経過したクルマでは、13年経過以降の税額より約10%重課される。
世界に目を向けてみると、ドイツでは「オールドタイマー」と呼ばれる制度が施行され、税金や車検制度上の優遇処置が設定されている。なかでも製造から30年以上経過した乗用車両については、「Hナンバー」と呼ばれる制度により優遇税制が受けられる。「H」とはドイツ語の“Historisch”、日本語では「歴史的」のHを意味する。「Hナンバー」の取得には高いオリジナル状態を維持していることが要求される。
「Hナンバー」を取得すれば、排気量にかかわらず、年間の自動車税が一律に約190ユーロ(1ユーロ:170円換算で3万2300円、2025年10月時点)に抑えられ、「Hナンバー」車両は都市ごとに設定されている環境規制にしばられることがない。
さらに「シーズンナンバー」という期間限定のヒストリックカー用ナンバーも用意され、年間の税金を12ヵ月で割り、使用月間分を掛けた額を支払うことで取得でき、「Hナンバー」と「シーズンナンバー」を組み合わせて、使用期間ぶんを税金として支払うこともできる。
英国では現行販売車両の自動車税の課税基準は、CO2排出量と使用燃料の種類に応じて設定され、CO2排出量が少ないほど税金は安く、排出量100g以下は免税。一方、初年登録から40年以上経過した自家用車両は自動車税および車検(車両登録)が免除となる。
フランスではCO2排出量により環境規制が厳しくなる傾向はあるとはいえ、自動車税に関しては、主に排気量を基準に課税する「課税馬力」を採用。基本的には車齢に関係なく課税され、ヒストリックカー(含むクラシックカー)のくくりは存在しない。一方、新車に比べて旧い車両は登録時にかかる費用が安くなり、10年落ちの車両であれば新車の半額程度になるようだ。
2年に一度の車検が必要とされ、費用は新旧車ともに50ユーロ以下(8500円)。25年以上前のクルマに対しては、保有台数が多ければ多いほど割安になる。またナンバープレートとは別に、フロントガラスに車検合格のステッカーを貼っておかなければならない。
ほかの欧州諸国でも、イタリアでは自動車税は燃費基準によって定められ、20年以上経過した車両は減税対象となり、30年以上で免除となるなど、総じて欧州では国によって違いはあれど、製造からおよそ20年以上経過した車両は、現状では自動車税が緩和される傾向にある。
日本でも、旧車愛好家や地方で長く同じクルマを使い続けるユーザーの声を取り入れ、13年超課税を廃止し、整備状態や排出基準で評価する制度への転換が必要だと思う。
さらに、欧州のように「ヒストリックナンバー」制度を導入し、文化的価値を持つ車両を優遇する枠組みを設けることで、日本独自の自動車文化を守るべきではないだろうか。
今後、高市新政権が自動車関連の政策をどう進めていくのか、決まり次第、報告していきたい。
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それに負けない規模の減税を期待したいですね