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真紅のアストン「本物志向」新型ヴァンテージが公開 出力30%アップ、さらなる高みへ

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真紅のアストン「本物志向」新型ヴァンテージが公開 出力30%アップ、さらなる高みへ

進化したヴァンテージ登場 華やかにジャパンプレミア

本国英国でのワールドプレミアから間髪を入れず、新型アストン マーティン「ヴァンテージ」がジャパンプレミアされた。

【画像】グリーンではなく真紅をまといアンベール 新型ヴァンテージのジャパンプレミアをもっとみる 全13枚

都内で開催された記者会見に参加して実車を見たが、新型を名乗っても申し分ないという印象を持った。

実質的には先代モデルをリファインだが、ヴァンテージという商品が目指す方向性として、明らかに高みを目指している。内外装の出来栄え、エンジンを筆頭とした各種スペック、さらに同席した現役レーサーたちのヴァンテージにかける想いから、ヴァンテージの進化を実感する良き機会となった。

ジャパンプレミアの冒頭、登壇したアストン マーティン・アジアリージョナルプレジデントのグレゴリー・アダムス氏は、アストン マーティンの本拠地である英国シルバーストーンで、新型ヴァンテージを公開されたことを告げ、その興奮をこの場に直接伝えようとした。

さらに、1950年の「DB2」から脈々と受け継がれてきた、ヴァンテージの系譜についても触れた。

その上で、新型ヴァンテージはモータースポーツへの挑戦をベースに造り込まれた、次世代スポーツカーであると強調。

新型ヴァンテージの商品コンセプトは「エンジニアード・フォー・リアル・ドライバーズ」である。

新型を名乗るにふさわしい進化 驚異の出力30%アップ

アンベールされた新型ヴァンテージは、ブランドを直接イメージするブリティッシュグリーンではなく、あえてレッド系カラーで登場。

そこには、74年に渡るヴァンテージの歴史と知見に裏打ちされた、アストン マーティンへの信頼を持ちながら、ドライバーが日常ドライブからサーキット走行に至るまで、いつも心の中にスポーツカーに対する熱い想いを抱いて欲しいという、アストン マーティンからのメッセージであると、筆者は受け取った。

ボディ寸法は全長4495mm×全幅2124mm(ミラーを含む)×全高1275mm、ホイールベースは2705mm。最低地上高は94mm。

エンジンは4.0L V8ツインターボ。驚くべきは、最高出力が先代モデルでなんと30%増の665ps、トルクも15%増の81.58kg-mへ到達。ZFの8速ATと組み合わせて、最高速度325km/h、0-100km/h加速が3.5秒を実現した。

当然だが、これだけの性能拡大に伴い、各種の冷却システムの見直しにも着手。ラジエターに対しては補助クーラーを2機増設し、補助の外部オイルクーラーの表面積を従来比で2倍とした。

これだけの大パワー・大トルクを的確に路面に伝えるため、ローンチ・コントロール・システムを新たに採用した。

ヴァンテージ刷新 なぜ、このタイミングに?

大パワー・大トルクに適応するためタイヤは21インチ化。

さらに、インテリアはコネクテッド技術とクラフトマン美学によるラグジュアリー性をさらに高めた。

ジャパンプレミアに参加した、現役日本人レーサーたちは「エンジンの大幅強化でも、ヴァンテージの持ち味である前後50:50のバランスの良さから、乗りやすくかつ攻めやすい出来栄えが期待できる」と、ポテンシャルの高さを評価した。彼らはこれまで、英国でレーサーとしての腕を磨き、また日本国内外ヴァンテージでのレース参戦経験がある。

では、なぜアストン マーティンはこのタイミングでヴァンテージ刷新を行ったのか? ここからは筆者の私見を交えて考察する。

ひとつの理由は、ブランドイメージを、F1を筆頭としたモータースポーツに大きく振るためだ。

2021年、アストン マーティンはF1コンストラクターとして61年ぶりに復活を遂げた。

そのアストン マーティンF1が、今回の新型ヴァンテージ、さらには新型ヴァンテージGT3と直接的なつながりがあることを、新型ヴァンテージのプロモーション動画で強調している。

新型ヴァンテージを操るのは、もちろんフェルナンド・アロンソである。

理由のもう1つは欧州規制の変更か

もうひとつ、ヴァンテージ刷新の理由は、欧州連合による欧州グリーン欧州ディール政策による電動化規制の変更が考えられる。

政策パッケージ「フィット・フォー・55」では当初、「2035年に欧州域内で販売する乗用車と小型商用車の新車100%をZEV(EVまたは燃料電池車)」に限定するとしていたが、ドイツの反対により「合成燃料を使用した内燃機関も含む」と変更された。

これが、欧州域外である英国、さらにヴァンテージの需要が多いアメリカなどの電動化規制にも大きな影響を及ぼしたといえる。

こうした規制の変更は、新型ヴァンテージの開発と時期的にダブっているが、合成燃料の使用が認められたことで、新型ヴァンテージをハイパワーなエンジン車という商品性を強く打ち出すための、アストン マーティンとして最終決断に至ったものと推測される。

さらに言えば、富裕層向けのハイエンドブランド分野では近年、ハイパーカーからSUVまでのフルラインアップ化が加速しており、そうした中でアストン マーティンとしてはF1やGTカーなどトップクラスモータースポーツにおける「本物志向」を貫く姿勢を、新型ヴァンテージを通じて示した。

新型ヴァンテージは、ヴァンテージの歴史に裏打ちされた、本物の次世代スポーツカーである。

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