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ロータス仕様にV6エンジン版も フォード・コルティナ Mk1からMk5まで5世代比較 後編

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ロータス仕様にV6エンジン版も フォード・コルティナ Mk1からMk5まで5世代比較 後編

駆動系の多くがMk3から流用されたMk4

現オーナーのロジャー・チナリー氏が、フォード・コルティナ Mk3購入への経緯を振り返る。

【画像】英国の定番乗用車 5世代のフォード・コルティナ 同時期の名車 BMC ADO16シリーズも 全82枚

「古いフォードを売りたいという女性から、経営するアフォーダブル・クラシック社に電話があったんです。彼女は、コルティナ以外に詳しいことはわかっていませんでした。2ドアのGXLだとは予想していませんでしたよ」

「インテリアの状態は良かったものの、ボディは修理が必要でした。その時にブラウンからメイズ・イエローへ塗り替えています。エンジンはフォード・カプリ用の2.8Lへ載せ替え、5速MTに変更し、パワステを追加してあります」

初期のコルティナ Mk3は、サスペンションノイズや乗り心地に不満も出た。しかし、チナリーは少し大げさだと考えている。

「確かに乗り心地は硬めですが、初期のスプリングの方が印象は優れていると思います。後期モデルはスプリングがソフトになりましたが、ボートのように揺れも小さくありません」

YKH 129Jのナンバーで登録されたコルティナ GXLは、今でもウエストラインが美しい。オレンジというカラーが、一層印象を強めている。

Mk3登場から6年が経過した1976年、フォードはコルティナ Mk4を発売。駆動系はMk3からの流用が多かったものの、ドイツ人デザイナー、ウーヴェ・バーンセン氏のクリーンなスタイリングで新世代感を醸し出した。

フォードがパワフルな仕様を計画しているという噂は、ケルン・ユニットと呼ばれた2.3L V6エンジンで叶えられた。GLとS、ギアというグレードのオプションに設定された。

V6エンジンのMk4 2.3Sは476台のみ

1970年代後半になると、英国企業の経営部門は会社からの貸与車両として、大型サルーンの下級グレードではなく、小型サルーンの上級グレードを中間管理職へ充てがうようになっていた。そこにケルン・ユニットはハマるとフォードは考えた。

V6エンジンを積むコルティナ 2.3Sには、4速MTのみの設定。ホイールはスポーティで、ボディも勇ましい。しかし、排気量が大きくパワフルが故に自動車保険も高かった。結果的には、476台しか製造されていない。

現存は2台といわれ、ALY 331Sのナンバーを付けたサイモン・ホア氏のクルマは、その1台のようだ。彼が購入したのは2016年で、丁寧にレストア済みだ。「工場出荷時の色はローマン・ブロンズという茶色。買った時はイエローでした」

彼は2.3Sをオリジナルカラーで塗り直すことを決め、シグナル・アンバーをチョイスした。1978年だけ選べた特別なカラーだ。

V6ケルン・ユニットは力強く、滑らかに回転する。パワーステアリングが標準装備という点も、2.3Sの強みだった。そのかわりフロントが重く、テールは流れやすいという。

上質なエンジンの印象はスポーティな性格付けより、オプションにオートマティックが設定されていた、ギア仕様の方が似合っていたといえる。とはいえ、魅力的なMk4であることに変わりはない。

オレンジとブラックのツートーン・インテリアに、ドライビングランプという組み合わせのコルティナは、今でもドライバーの気持ちをそそる。台数が売れなかった過去が残念に思える。

新型シエラのつなぎ役といえたMk5

コルティナ Mk4の寿命は2年と短かった。その頃、フォードは1982年に発売されるシエラの開発をスタートさせており、つなぎ役としてMk4へ大幅に改良を加えたMk5を1979年8月から提供した。

ルーフラインを変更し、グラスエリアを拡大。フロントグリルを改め、装備が見直され、充分に考え抜かれたバージョンアップといえた。モデル末期の1982年には、スポーツホイールと上質な内装、電動ドアミラーなどを装備したクルセイダーも追加されている。

見た目はスマートで、後輪駆動で、フォード自慢の高音質プッシュボタン・ラジオも採用。当時の企業の貸与車両を管理していた人には、ベターなチョイスに映ったことだろう。実際、クルセイダーの人気は低くなく、3万台以上をラインオフしている。

最後まで英国市民の支持を集めたコルティナは、1982年7月22日までに427万9079台が生産された。新型のシエラは同年9月に販売が始まったものの、保守的な層からはMk5の在庫へ注文が寄せられたという。

ただし、晩年には在庫処分として3割引きで販売されており、コルティナ・クルセイダーはシエラ 1.6Lより手頃でもあった。レナード・ギルダーシルバー氏がオーナーの、ライトブルーのMk5もそうして売られたのかもしれない。

市民の暮らしに浸透していた各世代

「2.0Lエンジンは、オートマティックとの相性が良いですね。とても優れた高速クルーザーです。スーパーマーケットやガソリンスタンドでは、懐かしんで多くの人が集まってきます。出発するのが大変な時もあるほどです」。とギルダーシルバーが笑顔で話す。

コルティナ・クルセイダーが特定の年齢層に響く理由は、何といっても1980年代という時代を色濃く反映しているからだろう。ロックバンド、アダム&ジ・アンツの楽曲がラジオから聞こえてきそうだ。

BBA 18Yのナンバーで登録されたMk5は、ベロアのインテリアから巨大なグローブボックスまで、当時のファミリーカーの匂いで満ちている。ブルーのボディにあしらわれたレッドとホワイトのピンストライプは、現代の駐車場でも不足ない存在感を放つはず。

日本における日産ブルーバードやトヨタ・カリーナのような、英国ファミリーカーの定番といえたフォード・コルティナ。市民の暮らしに浸透していた様子が、Mk1からMk5まで各世代ごとに感じ取れる。

ロックバンドのトムロビンソン・バンドは、レーシング・トリムで仕立てたグレーのコルティナを所有する喜びを曲にした。俳優のアレクセイ・セイル氏は、「プライベート・ライフ・オブ・フォード・コルティナ」という映画に出演。Mk1を讃えた。

われわれに最適なフォードとして、妥当な内容で妥当な時期にコルティナは提供されてきた。今回揃った5世代を通じ、その事実を再確認することになった。当時のライバルメーカーは、さぞかし悔しがっていたことだろう。

協力:フライング・クラブ・コニントン、アフォーダブル・クラシック社

フォード・コルティナ 5世代のスペック

ロータス・コルティナ(フォード・コルティナ Mk1/1963~1966年/英国仕様)のスペック

英国価格:1100ポンド(1963年時)/7万ポンド(約1155万円)以下(現在)
販売台数:3301台(ロータス・コルティナのみ)
全長:4216mm
全幅:1581mm
全高:1397mm
最高速度:173km/h
0-97km/h加速:10.0秒
燃費:9.7km/L
CO2排出量:−
車両重量:825kg
パワートレイン:直列4気筒1558cc自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:106ps/5500rpm
最大トルク:14.9kg-m/4000rpm
ギアボックス:4速マニュアル

フォード・コルティナ(Mk2/1967~1970年/英国仕様)のスペック

英国価格:982ポンド(1967年時)/1万5000ポンド(約247万円)以下(現在)
販売台数:6万87台
全長:4293mm
全幅:1651mm
全高:1397mm
最高速度:161km/h
0-97km/h加速:11.6秒
燃費:8.1km/L
CO2排出量:−
車両重量:977kg
パワートレイン:直列4気筒1599cc自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:85ps/5200rpm
最大トルク:13.2kg-m/3600rpm
ギアボックス:4速マニュアル

フォード・コルティナ 2000GXL(Mk3/1970~1976年/英国仕様)のスペック

英国価格:1194ポンド(1970年時)/1万5000ポンド(約247万円)以下(現在)
販売台数:112万6559台(Mk3合計)
全長:4267mm
全幅:1702mm
全高:1359mm
最高速度:169km/h
0-97km/h加速:11.0秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:−
車両重量:1061kg
パワートレイン:直列4気筒1993cc自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:99ps/5500rpm
最大トルク:15.3kg-m/3500rpm
ギアボックス:4速マニュアル

フォード・コルティナ 2.3S(Mk4/1976~1979年/英国仕様)のスペック

英国価格:4497ポンド(1976年時)/1万2000ポンド(約198万円)以下(現在)
販売台数:113万1850台(Mk4・Mk5合計)
全長:4343mm
全幅:1702mm
全高:1359mm
最高速度:170km/h
0-97km/h加速:10.0秒
燃費:7.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:1110kg
パワートレイン:V型6気筒2293cc自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:109ps/5000rpm
最大トルク:17.9kg-m/3000rpm
ギアボックス:4速マニュアル

フォード・コルティナ・クルセイダー(Mk5/1982年/英国仕様)のスペック

英国価格:4497ポンド(1976年時)/1万2000ポンド(約198万円)以下(現在)
販売台数:約3万台(クルセイダーのみ)
全長:4379mm
全幅:1702mm
全高:1359mm
最高速度:164km/h
0-97km/h加速:10.3秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:−
車両重量:1008kg
パワートレイン:直列4気筒1993cc自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:102ps/5200rpm
最大トルク:15.4kg-m/4000rpm
ギアボックス:3速オートマティック

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