かつて日本でも販売された「デュアリス」の後継SUVが、いま日産車で世界3位の超売れっ子SUVになっていた!! 見た目もサイズも魅力的な海外専売車の全容とは?
売れ線のひとつであるSUVは、国産各社ともに力を入れるカテゴリーだ。サイズや用途の異なるモデルを揃えるメーカーも多い。その一方で、その流れに消極的なのが日産だ。
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かつては、本格クロカンの「サファリ」を頂点に、多彩なSUVを揃えたが、国内は事実上、エクストレイルの一択で、近々発売の噂のある新生「キックス」に注目が集まる。
しかし、海外に目を向けると、日産も様々なSUVを展開しているのがわかる。そのなかで、日本にジャストと思える一台が、ローグスポーツ/キャシュカイだ。
実はこのモデル、2019年にグローバルで日産車3位となる58万6000台を販売した人気車でもある。
文:大音安弘
写真:NISSAN、編集部
【画像ギャラリー】日本で販売も絶版に! 日産 デュアリス&最新ローグスポーツ/キャシュカイ
かつて鳴り物入りで日本上陸した初代キャシュカイ
日本でも2007~2014年まで発売されたデュアリス。物凄く売れたわけではなかったが、隠れた実力派SUVとしてその評価は高かった
日産 キャシュカイは、日本とも縁のあるモデルだ。欧州生まれのコンパクトなクロスオーバーモデルとして、2007年5月に「デュアリス」の名で発売。
2代目エクストレイルとプラットフォームなどの基本を共有するモデルだが、ボディサイズをやや小ぶりとし、街乗りを意識したスポーティなスタイルが与えられた。
性能面では、欧州仕込みの走りの良さがセールスポイントで、ZFザックス製の「ハイスピードダンピングコントロールショックアブソーバー」を採用したことも話題となった。
デビュー当初は、日本仕様も英国工場で生産する輸入車であったが、欧州での人気が爆発。発売から、わずか8か月で生産が10万台を突破する絶好調となる。
そのため、日本向けの納期遅れ、当時、懸念されていた為替リスクを考慮し、2007年12月には、日本仕様の生産が九州工場へと移管された。
その後も欧州でのキャシュカイの人気は衰えることを知らず、欧州の日産車で、4年連続のトップセールスを記録。2008年には、ホイールベースを延長した7シーターの派生モデル「シャシュカイ+2」を追加する。
日本では販売されなかったキャシュカイ+2。後席ドア以降の形状が異なり、全長をストレッチさせ、7人乗りとしている様子がわかる
2011年には、世界累計販売台数も100万台を突破し、そのうち約76万台が欧州でのセールスであった。
その一方、日本の販売は、出だしこそ好調であったが、徐々に苦戦を強いられるようになる。結果的には、2014年の初代の販売終了と共に撤退してしまう。
早々に、英国製というバッチが外れたことの影響は定かではないが、やはりSUVらしい雰囲気を持つ兄「エクストレイル」と2010年投入の個性派クロスオーバーの弟「ジューク」の板挟みとなり、存在感が薄れてしまった感は否めない。
また当時の記憶を振り返ると、複数回のリコールが実施されており、その影響も懸念される。何はともあれ、たった1世代で消えてしまったのだ。
日本で絶版後はエクストレイルの弟分として世代交代
最新モデル「ローグスポーツ」の2020モデル
写真はキャシュカイ。横から見るとエクストレイルより小型なフォルムが印象的。中身はローグスポーツと同様だ
欧州では絶好調なキャシュカイは、その期待に応えるべく、新生代プラットフォームを採用した第2世代モデルを、2013年11月に英国で発表。2014年2月より、欧州での販売を開始した。
同年11月には、欧州を中心に海外向けの生産も担う英国工場で、キャシュカイの歴代累計生産台数が、200万台を突破。当時、中国や日本での生産分を含めた累計生産台数が250万台であったことを考えると、欧州での高い人気を伺わせる。
そんな2世代目は、先代同様、2013年9月のフランクフルトショーで、ワールドプレミアを迎えたエクストレイルと基本を共有するが、やや小ぶりのサイズをキープ。
新世代の日産デザインのアイコン「Vモーションシェイプ」を取り入れたスタイルは、まさにミニ・エクストレイルというべき、そっくりなスタイルであったが、先代の大人しい雰囲気から一変。やんちゃさを秘めたクールな装いとなった。
先代の「+2」は、エクストレイルに吸収される形となり、消滅。しかし、それも新キャシュカイの若々しいキャラクターを強めることになる。
現行型で北米進出 ローグスポーツとして躍進
ローグスポーツのリアスタイル。基本的に中身はキャシュカイと同一だが、北米ではこの車名で売られ、その車名を示すネームプレートもリアハッチに
2017年春より、新市場となる北米への導入を開始。その際、名称を「ローグスポーツ」とした。これは、米国の日産車で、最も人気のある「ローグ」の派生モデルと位置づけであった。
ローグとは、北米向けのエクストレイルのこと。元々、初代ローグもエクストレイルとプラットフォームを共有するモデルの1つで、ムラーノの弟分的なポジションの都会派クロスオーバーであった。
しかし、車種統合により、第2世代から、現行型エクストレイルが、そのポジションを受け継いだ。
最新となるローグスポーツ2020年モデルのスペックを紹介すると、全長4387mm×全幅1836mm×全高1595mm、ホイールベースが2647mmとなる。
少しワイドとなるが、トヨタC-HRに近い寸法だ。パワートレインは、2.0Lの4気筒DOHCエンジンを搭載。最高出力141hp/6000rpm、199Nm/4400rpmを発揮する。トランスミッションはCVTで、FFと2WDの選択が可能だ。
キャシュカイ(左)とエクストレイル。並べるとサイズ感の違いがわかる。日本では小型SUVも人気なだけに注目だが、エクストレイルとの棲み分けはやや難しいか
本家ともいえるキャシュカイは、エンジンバリエーションが豊富。ガソリン車は、140ps/240Nm仕様と160ps/270Nmと、性能の異なる2種類の1.3Lの4気筒DOHCターボエンジンを設定。
ディーゼル車は、いずれも4気筒のクリーンディーゼルターボとなるが、115ps/285Nm仕様の1.5Lと150ps/340Nmの1.7Lを設定する。
トランスミッションは、全車で6速MTを基本とするが、1.3Lガソリンと1.5Lディーゼルでは7速DCT仕様が、1.7LディーゼルではCVTがそれぞれ選択できる。
意外にも4WD車は1.7Lディーゼルのみ。エンジンが選べるのも嬉しいが、MT設定の充実ぶりに、欧州でのMT文化がまだ根強いことを感じさせる。
なぜ先にローグスポーツを紹介したかといえば、意外にもローグスポーツも日本製。エクストレイルとセレナを生産する日産自動車九州で、生産されている。そうなれば、日本導入も、夢ではないように思える。
しかし、登録車となる新生キックスの投入が目前と噂される今、その導入は、過去の前例もあるだけに、かなり厳しいと言わざるを得ない。
もしヴェゼル、C-HRに続くタイミングで導入されれば、新たなライバルとして、面白い展開になったかも。
◆編集部よりひと言
直前で著者が指摘しているとおり、トヨタにはRAV4やC-HRがある。
ただ、それでもライズを発売して大ヒットし、そのうえ新型ハリアーも発売するという流れを見ていると、日産もエクストレイルやキックスに加えてこのローグスポーツも日本市場にぜひ送り込んでほしいと思わずにはいられない。……売れるでしょこれ。
【画像ギャラリー】日本で販売も絶版に! 日産 デュアリス&最新ローグスポーツ/キャシュカイ
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みんなのコメント
日産は少しは反省したかなぁ??
「日本では出さない戦略」もほどほどにしてほしい。