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【MotoGP】マルケスの王者らしくない予選戦略、とやかく言うのはもう諦めたほうがいい? モルビデリ「これが今のMotoGP」

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【MotoGP】マルケスの王者らしくない予選戦略、とやかく言うのはもう諦めたほうがいい? モルビデリ「これが今のMotoGP」

 レプソル・ホンダのマルク・マルケスは、近年ホンダで苦しいシーズンを過ごす中、他のライダーの後ろを走ってタイムを稼ぐという予選戦略を度々実施してきた。批判も多いこの行為だが、フランコ・モルビデリ(ヤマハ)はそれらの批判はもう諦める時が来ていると示唆した。

 速さを見せているライダーの後ろにポジショニングして、引っ張ってもらうという行為は、以前からその時々で見られてきた。ただ近年はその戦略を、MotoGPクラスで6度も王者に輝いているマルケスが行なって来たことで、物議を醸す事態となった。

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 マルケスがホンダで非常に苦しんでいることは周知の事実だ。こういった予選戦略をとることで、より良いグリッドを獲得しようとすることは、まだ理解できる範疇とも言える。

 もっともマルケスが速いライダーの後ろを走る戦略を取るのは、今に始まったことではないということも思い出しておく必要がある。そして2019年のマレーシアGPでファビオ・クアルタラロ(当時ペトロナスSRTヤマハ)の後ろでプッシュした際には、ポジショニングのためにゆっくり走ったことでタイヤの熱が逃げてしまい、大クラッシュに発展して肩を脱臼するなど、しっぺ返しを食らう事例もあった。

 先日行なわれたMotoGPマレーシアGPでは、マルケスは予選Q1でモルビデリの後ろで走ることを狙っていた。ただポジションを巡ってコース上でふたりが相当なスロースピードになる場面や、モルビデリがコースを指差すようなシーンもあった。結局この時はモルビデリはQ2には進めず、マルケスもアウグスト・フェルナンデス(GASGAS)を追い抜こうとした際にクラッシュという形で終わるという、なんとも不完全燃焼な予選となった。

 なおマルケス側は、こうした戦略を取ることはよくあることだと、問題視していないという主張を以前同様に口にしている。

「自分自身に自信を持てず難しい瞬間にあるライダーがふたりいれば、そういうことも起こりうる。彼(モルビデリ)はプッシュしていなかったし、僕もプッシュしていなかった。FP2ではいいリズムがあったから残念だったよ」

「でも、僕がプッシュしようとした際には、彼が僕を追いかけていた。それでアウグストに早くに追いついてしまって、残念だったけどターン2でギャップがなくなった。それ自体は普通のことだし、彼は彼のゲームをしているんだから受け入れるよ。でも追い抜いて行こうとしたときにクラッシュしてしまったんだ」

 マレーシアGPでこうした走行位置を巡るイザコザに巻き込まれたモルビデリは『ゲーム』という言葉を用いて、昨今のMotoGPで見られるリスペクトの欠如した状況全体を総括している。

「以前は、MotoGPにおける“ノン”リスペクトな瞬間はレースのラスト3周くらいだったと思う」

 モルビデリはそう語る。

「今となっては、そういった(ノンリスペクトな)瞬間が、基本的に週末全体に広がっている。週末の1周目から(レースの)ラストラップまでね」

「ファビオ(クアルタラロ/チームメイト)が(マレーシアGPの)FP2で見せた激しい反応もそうだ。彼はそのラップでタイムを縮めていなかったけど、すでにQ2進出範囲だった。僕は縁石に乗っていたのに、彼の反応は激しかった。これはつまり、プレッシャーが非常に大きくて、相手に対するリスペクトが全然ないことを表している。相手は敵なんだ。『グルルル』と怒っているわけだ。これが今のMotoGPの姿なんだ」

「これがこのゲームのやり方だ。僕はルールを作ったり皆の振る舞いをコントロールすることはない。ゲームの自然な進みに合わせてプレイしていく必要がある。コース外ではさほどだから、落ち着きを保てるよ。でもコース内では金曜の1周目からタフなゲームになることは保証できる」

 そしてマルケスは「これは昔もあったことだし、今も起きていることだ。そして将来起きることでもある」と語る。

「来年、皆が僕のことを追いかけてくれるようになることを願ってるよ! そうなれば良い兆候だし、僕は受け入れるだろう。でも遅いライダーが速いライダーを追いかけるなんてのは、普通のことだ」

「昔もこんなモノだったよ。例えば(アンドレア)イアンノーネや他のたくさんのライダーに何百回も追いかけられたものだ。僕はプッシュしていてスピードもあり、自信があった」

「今は、プッシュできていないから、この問題を解決できればと思っている。だけど(ホルヘ)マルティンや(フランチェスコ)バニャイヤ……特にバニャイヤは今回、予選でずっと引っ張っていた。これもゲームの一部だし、話したいことは話せばいいだろう。でも、皆がやっていることなんだ」

 マルケスのこうした判断に合意しないことは難しい。なによりこの件に関する怨嗟の声はライダーに向けられるべきではない。彼らはルールの範囲内で行なっているためだ。

 MotoGPクラスでは、誰かのアタックラップを妨害しない限り(いわゆる無責任なライディング)問題となることはない。実際、マルケス以外のライダーもマレーシアGPの予選Q2ではバックストレートでポジションを巡って相手を待つ姿が見られていた。そんな中で最終的にぶっちぎりでポールポジションを獲得したのはバニャイヤだった。

 こういった行為を取り締まるためのガイダンス(オフィシャルルールではない)はすでにMoto2とMoto3では存在している。特にMoto3での安全性の大きな懸念を受け、最低セクタータイムが規定されている。

 違反したライダーにはロングラップペナルティが与えられ、段階的に罰則が強くなる。MotoGPクラスへ向かう前の若手ライダーにこうした行為を行なってほしくないというのならば、MotoGPクラスでも類似のシステムを適用すべきではないかという疑問もあるだろう。

 しかし、いずれにせよMotoGPクラスにこうした規定が無い以上、ライダーを責めるべきではないだろう。彼らはルールの中で戦っているのだから。

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