いよいよ12月10日(火)に、F1第24戦アブダビGPが行われたヤス・マリーナ・サーキットで、今年最後のポストシーズンテストが行われる。
日本人にとって、このテストの最大の注目点は、レッドブルのマシンを走らせる角田裕毅だろう。
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当初、このテストは形だけのものだと思われていた。というのも、1チームが2台走らせるポストシーズンテストは2台で目的が異なるからだ。グランプリ経験2戦以下のドライバーが走らせるマシンはタイヤ、セットアップが自由に行える通常テストであるのに対して、レースドライバーが乗り込むもう1台のマシンは、ピレリのタイヤテストとして行われるからだ。
通常のタイヤテストは、セッションが開始してから2セット目のタイヤまでは路面状況に合わせてセットアップの微調整が行えるが、3セット目以降のタイヤはセットアップの変更はトラブルなど特別な状況が発生しない限り行えない。
しかも、走行プランもピレリが定め、ショートラン、ロングラン、プッシュ&クール&プッシュなど細かく指示される。したがって、ドライバーのパフォーマンスを正確に見ることは難しく、角田もアブダビGP前日の12月5日(木)に、こう語っていた。
「たぶん、ただのタイヤテストだと思います。タイヤテストなので、どんなタイヤで走るかもわからないですし、エンジンもフルパワーではないので、なんとも言えないですよね」
ところが、タイヤテストを行うピレリのF1タイヤ責任者であるマリオ・イゾラは「今回のポストシーズンテストはインシーズンのタイヤテストとは異なる」と語る。
「全チームに同じセット数のタイヤが供給され、その範囲内でチームは自由な走行プランを組み立てられる。2025年に向けた空力パーツのテストは行えないが、セットアップの変更は可能だ」
エンジンに関しては、ホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎(トラックサイドゼネラルマネージャー)によれば、「新たな仕様を試すことができないよう新品のパワーユニットを投入することが許されない以外は、通常のテストと同様」だと言う。
気になるエンジンモードに関しては、「現在はグランプリの週末の金曜日の段階で土日にも使用するモードをすべて搭載していて、あとはセッションごとにステアリング上のダイヤルで変更しながら走ってもらっています。テストも同様のモードを搭載することになると思いますが、テストなので基本的には金曜日のフリー走行で使用するモードで走行してもらうことになると思います」(折原GM)ということだ。
昨年のポストシーズンテストでもレースドライバーの自己ベストタイムが3日前の予選を上回る者がいなかったのは、それもひとつの要因だと考えられる。
昨年のポストシーズンテストでレッドブルのマシンを走らせたペレスの自己ベストタイムは1分24秒715(117周)で、3日前の予選は1分24秒171だった。テストでは予選よりコンマ6秒ほど遅かったことになる。
そうなると、今年のアブダビGPの予選でのペレスのタイムは1分23秒264なので、これにコンマ6秒加えた1分23秒8あたりが、ひとつの目安となる。
角田のテストでのタイムが1分23秒8台であれば、テストしては合格と見ていいだろう。さらにペレスの予選タイムである1分23秒264を上回ると、レッドブルの首脳陣に与えるインパクトはかなり大きなものになることは間違いない。
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