この@DIMEではすでに3代目となる日産リーフの新型の概要について報告させていただいているが、ここでは日産のグランドライブというクローズドコースでのB7グレードのプチ試乗記をお届けしたい(新型リーフは発売前の仕様)。
SUVテイストのファストバックスタイルに
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3代目リーフは日産が15年にわたるリーフ=電気自動車(BEV)で磨いたBEV性能を昇華させた新型であり、BEVフラッグシップのアリア、ベーシックBEVのサクラとともに、メインストリームのBEVとして開発されている。アリアのCMF-EVプラットフォームを用い、先代比で全長が120mm短く、全幅が20mm広く、全高が15mm低く、ホイールベースを10mm短縮したプロポーションは、SUVテイストあるファストバックスタイルとなった。
注目すべきはエアロボディの空気抵抗値で、先代の0.28から0.26まで磨かれ、バッテリーを先代e+の60kWhから78kWhに増強したこともあって、一充電航続可能距離は18インチタイヤを履く車重1880kgのB7 Xで国産BEV最長クラスの702kmを達成!!( 19インチタイヤ、車重1920kgのB7 Gは685km。いずれもWLTCモード)。
なお、90kWh充電設備であれば、15分で200~300km走れる充電が可能だというのだから、充電による待ち時間も大きく短縮されることになり、ドライブプランがスムーズになり、とくに愛犬連れのロングドライブで途中充電する際には(愛犬同伴でPA/SAなどの施設内に入れないため)ありがたみを感じるに違いない。
画像は日産アリア 撮影 雪岡直樹画像は日産アリア 撮影 雪岡直樹その航続距離を支える技術として、寒い時期の航続距離短縮を抑える最適な水冷式バッテリー温度自動制御システムや、ナビ設定でルートに応じたエネルギー最適化ルートの自動設定などが盛り込まれている。ナビルート設定上の最適な充電設備の選択、エアコン使用時のバッテリーの減りにくさの制御も心強い。
先代より広々と感じる室内空間
全長、ホイールベースが短くなった新型リーフの運転席に乗り込めば、おやっ、先代より広々としているではないか。それもそのはず、アリア同様にエアコンユニットをボンネット側に押しやったことで、インパネの奥行きが短くなり、同時に足元も広々(サイドスルー可)。シート前端の濃い色使い(濃紺)もあって、前席足下の、見た目、実際のゆとり感はこのクラスのクルマ最大級と言っていいだろう。
13.3インチの大型デュアルディスプレイは今どき驚くほどではないが、気が利いているのはGoogle搭載の日産コネクトインフォテイメントシステムをタッチ操作する際、インパネ中段のソフトパッドで覆われた平面部分がリストレストのように手を固定して操作できるように配慮されていること。より確実で安定したタッチ操作が可能になるというわけだ。
ただし、先代同等の車両本体価格を目指したためだろうか、インパネ下部、乗員の膝下部分は硬質なプラスチック素材でまとめられ、質感の高いインパネ上部との落差はけっこうある。とくにシフター(P/R/N/D)、D-MODE(ドライブモード)、e-Pedalなどのスイッチ類が並ぶ面もまたプラスチッキーで、なおかつD-MODE(ドライブモード)のスイッチが小さく、素手でも操作性は運転席からの距離を含めよいとは言えず、厚手の手袋をしていたら操作しにくいのでは?なんて思わせる。
気を取り直して前席に収まれば、インパネに先進感とデザイン性の良さがあり、視界は文句なく、シートのかけ心地そのものもなかなか快適だ。
後席にしても、シートサイズは先代の座面長460×座面幅1240×背もたれ高610mmから、新型は座面長490×座面幅1290×背もたれ高660mmのたっぷりサイズに改められ、身長172cmの筆者のドライビングポジション基準で頭上に110mm、前席を立体成型して前席背面に凹みを持たせたことで膝周りに215mmの余裕があるからゆったりだ(数値はすべて実測値)。つま先は前席下に入り、先代になかった後席エアコン吹き出し口が備わったことも、フラットフロアと合わせて後席の快適性を大きく高めてくれるはずである。
が、後席はフロアからシート先端までの高さ=ヒール段差が先代の350mmから330mmに低まっていることから、身長によっては太腿裏がシートに密着しにくい、膝を立てるような着座姿勢になるかも知れない(身長172cmの筆者なら問題なし)。また、後席シートベルトが、やや埋め込まれた位置にあるアンカーに差し込みにくいことも発見してしまった。
日本の道、使い方を意識した快適な乗り心地
さて、一般道を模したコースも含まれるテストトラックの日産グランドライブで、まずは2WD、バッテリーサイズ78kWhの19インチタイヤを履くB7 Gグレードを走らせれば、当たり前だが、静かに、滑らかにトルキーな加速を開始。しかもそのトルクの出方は見事に制御され、唐突感など皆無。気持ちのいい伸びやかな加速力を実現していた。そして足回りを世界の道で鍛えつつ、日本仕様はコンフォート方向に特化したことで、乗り心地は無駄な上下動が抑えられたフラットさがあり、なおかつ一般道を模した段差の乗り越えでもしなやかにいなしてくれるから、このグランドライブの路面では先代を上回るすこぶる快適、上質な乗り味を実現していた。ダンロップのEV用、eスポーツMAXX 235/45R19サイズのタイヤの素性の良さ(乗り心地、静粛性を含む)も効いているはずである。
電動パワーステアリングのスムーズな操舵感も見事だ。自然なモーターパワー、トルクの出方と相まって、走りやすさは文句なしである。D-MODE(ドライブモード)をエコモードにセットしても、加速がやや穏やかになるだけで、街乗りでは十分な加速力を得られるはずであり、スポーツモードにセットすればアクセルレスポンスの高まりとともに俄然、力強い加速力、痛快なパワー&トルクの盛り上がりを実感できることになる。
ちょっとペースを速めても、先代比でボディ=車体ねじれ剛性86%UP、サスペンション剛性前後28%UP、新たにマルチリンクとなったリヤサスの横剛性66%UP、ステアリング剛性28%UPが効いて操縦性も格段に向上。カーブでのロールは穏やかで、狙ったラインに乗せやすく、リヤの踏ん張りもハイレベル。つまり、スポーツカーほどではないにしても、意のままに近い一体感ある操縦性、爽快なモータードライブを味わうことができたのだ。回生ブレーキを制御するe-Pedalにしても減速感(減速Gの立ち上がり)は今やすこぶるスムーズだから、使いにくさなど一切ない。これも主要なコンポーネントを一体化した3 IN 1構造のパワートレーンを持つ新型リーフの走りやすさを後押ししてくれるに違いない。
次に試乗したのはB7 Xグレード、つまりタイヤが18インチになる、WLTCモード航続距離702kmを実現した仕様だったが、タイヤによる走行感覚の違い、乗り心地に関してのB7 Gとの差はごく小さかった。言い換えれば、日本の道、使い方を意識した、シャキっと快適な乗り心地を含め、B7 Gの19インチタイヤで走りを煮詰めたのが、新型リーフということではないだろうか。
そうそう、走り出し、低中速域での車内の静かさはさすが最新の日産BEVというべきものだが、高速走行域ではちょっと気になることがあった。それは風切音とドア周りからのロードノイズの進入だ。これは運転席、助手席で確認した。今後、改善されることを望みたい部分である。
B7 XでWLTCモード最大702kmの一充電走行距離は、これまで電気自動車の所有を航続距離で躊躇していた人のハードルを、実走行可能距離が600km前後だとしても、東京~軽井沢間の往復約360kmはもちろん、遠路、往復500km+は余裕で走れるのだから、一気に下げてくれるはずである。それに加え、78kWhバッテリーを積むB7 Xで518.87万円という(国からの補助金あり)、先代リーフe+ X、60kWhモデル(525.36万円。WLTCモード航続距離最大450km、実航続距離370km程度)と変わらない価格設定は、航続可能距離の延長や装備類を含めた内容の大きな進化からすれば、この物価高の時代に日産はかなりがんばったと言えるだろう。初代リーフから15年。日産の電気自動車への取り組みの本気度が見て取れる3代目新型リーフであると結論づけられる。リアルワールドの公道試乗記については、改めて報告したい。
文/青山尚暉
写真/日産 青山尚暉
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みんなのコメント
またまたシャオミですね、先日も女子大生3人が同様の事故で亡くなったばかり。
所詮安かろう悪かろうの中国製品。ちなみにリーフは2010年の発売以来一度も発火事故を起こしたことがありません。やっぱり安心、安全、高品質の国産車が一番ですね。