この記事をまとめると
■近年のクルマは空力重視で流線形のモノフォルムが主流になっている
ハイブリッドの代名詞! 名車プリウスの歴史や最新型のスペック・販売価格を紹介
■プリウスを例に取ると世代を追うごとにAピラーを寝かせ空気抵抗低減を追求
■空力向上の代償としてダッシュボードは前後に長い設計となった
空力性能の追求がボディデザインを変えた
最近のクルマとひと昔前、たとえば2000年前後のクルマを見比べると、明らかにボディフォルムの違いがあることに気付くだろう。トヨタ・プリウスを例に挙げて見比べてみることにしよう。
2000年ごろのプリウスといえば、まだ初代NHW10/11型(1997~2003年)の時代で、ひと口でそのフォルムを表現するなら、一応3ボックスセダンながらリヤデッキ部は申し訳程度の長さで、2.5ボックスと表現してもよいデザインで仕上げられていた。
一方、5世代目となる現行ZVW60/MXWH60型(2023年~)を表現するとどうなるだろうか。サイドビューを眺めると、フロントエンドからリヤエンドまで、ひと筆書きのようなみごとな弧を描いている。従来のような〇〇ボックスという表現を使おうとすれば、キャビン部とフロントデッキ/リヤデッキ部(というより該当する部分がない!)の境目がないことから、ワンボックスといういい方もできてしまう。
もちろん、正統な意味でいうワンボックスの定義がほかにあることはよく知られるとおりで、直方体のフォルムをもつワゴンやバンを指し、文字どおりひとつの箱としてデザインされているクルマを表している。これが、プリウスのようないわゆる流線形のボディ形状は、今風にいうならモノフォルムという言葉がより正確な表現になるだろう。
さて、初代から現行の5世代目となるプリウスのデザイン変遷を見ると、代を重ねるごとにAピラー(フロントピラー)の傾斜角が浅くなり、ついには現行型のようにフロントフード(ボンネット)とフロントウインドウの角度がほぼ同一となり、サイドフォルムを眺めると、段差のないひとつの弧を描くようなデザインで作られている。
では、なぜフロントピラー(=フロントウインドウ)の傾斜角は浅くなってきたのだろうか? いうまでもなく、空気抵抗軽減のためである。WEB CARTOPでは再三触れてきたが、空気抵抗の軽減は燃費性能の向上につながり、それは速度が上昇するにしたがって顕著になる特性がある。簡単にいえば、時速50km/hと100km/hの走行では、速度の変化は倍となるが、空気抵抗は4倍に膨れあがってしまうのだ。その変化のしかたは2次曲線で尻上がり。これが150km/h走行(日本では非合法な速度だが)ともなると50km/h走行のじつに9倍の空気抵抗になるのである。
プリウス最大の特徴、というより唯一無二の特徴といってもよいが、その真価はハイブリッドシステムである点に尽きる。世界初の量産ハイブリッド車として、その燃費性能のよさが最大のアピールポイントとなってきた。そして現代では、その経済性よりもむしろ二酸化炭素の排出量低減のほうに大きな意味があり、社会的にも重要視されている。
ダッシュボードの長大化は空力特性進化の証
そんなプリウスにとって、燃費性能の向上に直結する空気抵抗の軽減は必要不可欠、避けては通れない重大なテーマである。
話は横道にそれるが、燃費性能の進化を命題とするプリウスは、内燃機関(ガソリンエンジン)の熱効率向上もテーマとしてきたモデルで、かつては長らく32~33が定説となっていた熱効率を一気に40を超えるレベルに引き上げ、さらには50を目指そうという勢いで改善が進められてきた。熱効率とは、燃料をどれだけエネルギーとして使うことができるか、という性能評価であるため、高いほど優れることになる。
さて、空気抵抗軽減のため、フロントウインドウの傾斜角を浅くしてきたプリウスだが、キャビンスペースを従来型と同等に確保しようとすると、ふたつの選択肢が生じることになる。ウインドウの取り付け前端位置を従来型と同じとすれば、キャビン位置全体を後退させるか、逆にキャビン位置を従来型と同じにしようとすれば、ウインドウの取り付け前端位置を前方向に移動させるか、という選択肢である。
当然ながら、キャビン位置を後退させる手法は、車体の大型化、重量増につながり現実的ではない。となれば、キャビン位置はそのまま、傾斜角が浅くなったぶんだけウインドウ前端の取り付け位置を前に移動させ、車体の全体サイズを変えずにウインドウの傾斜化を図るという手法がとられる。
さて、キャビンスペースを確保した上でフロントウインドウの傾斜角を浅くすることは、そのままダッシュボードの大型化を意味することになる。なぜなら、ダッシュボード内に収められる各種メーター類やグローブボックスは、視認性や操作性の関係から前席との距離をこれまでと変えることはできず、その場合、前方に移動したフロントウインドウ下端までを覆うダッシュボードの上面を大きく(前後に長く)せざるを得なくなる。
最近のクルマ、いい換えれば空力性能を考慮してフロントウインドウの傾斜角を浅くしたモデルが、軒並み前後に長いダッシュボードデザインとなっているのはこのためだ。
プリウスも含め、空気抵抗軽減(=燃費性能の向上)のため、フロントウインドウの傾斜角を浅くしたフォルムは、フロントエンドからテールエンドまで空気がスムースに流れるスマートでスタイリッシュなフォルムで恰好はよいが、ドライバー席からウインドウ下端までが遠くなり、また手も入りにくくなったことから、ウインドウ内側の拭き上げが少々むずかしくなったことが唯一の難点といえるかもしれない。
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みんなのコメント
ひとことで済むことやろ。
それと、ダッシュボードの奥が拭けないのが唯一の欠点だと言うけど、それは大したことではない。
むしろ、目の前にフロントウインドウの上部が迫ってきていることの心理的圧迫感の方が大きな問題だと思うが。