意外と出来てない!?基本のステアリング操作を1から解説!
運転の基本となるのはアクセル、ブレーキ、ステアリングの操作です。この3つの操作が上手に連携すると運転が非常にスムーズに行えるようになります。そして、3つの操作を連携していくために最も大切なのがステアリングの操作です。今回はステアリング操作を中心に、運転の“基本のき”をわかりやすく解説します。
その1:ラインの取り方、ステアリングの切り方
“ステアリングを切ってコーナーを曲がる”というごく普通の行為だけでも、じつは奥深い要素が含まれています。
まず、どこでステアリングを切り始めて、どこでステアリングを戻し始め、どこで完全に戻すのか? というラインの取り方。同乗者に快適に乗ってもらうためにも、ステアリングを切り始めるタイミングは早いほうが(手前が)いいでしょう。切り遅れている印象があると不安になります。ステアリングを早めに切って、遅めに戻すとコーナーそのものを大きく回ることになります。急カーブよりもゆるいカーブのほうが安心感は高まるわけです。
次はステアリングの切り方。「入口で一定の舵角まで切り→中盤はその舵角を保持→出口で戻す」という操作方法よりも、「コーナーの半径に合わせるようにステアリングをゆっくり切り込んで、同じようにゆっくり戻していく」という操作方法のほうが快適なドライビングができます。
右コーナーに入っていくとしましょう。コーナーの入り口で右にステアリングを切り始めます。クリッピングポイントまでは右にステアリングを切り足し続ける印象です。このとき、切り増す速度を一定にします。そして、クリッピングポイントから出口(直進状態になるポイント)までも同じように、切り戻す速度を一定にしてステアリングを戻していきます。
「入口からクリッピングポイント」と「クリッピングポイントから出口」が一定の円弧上にあるなら、クリッピングポイントを境に完全に逆の動きになるのが理想です。また、ステアリングを切り始める直前にアクセルペダルを少しだけ戻し、フロントタイヤに荷重をかけると、クルマの動きがより理想的になります。
その2:直線を長く取るライン取りのコーナリングの問題点
手前からステアリングを切って、クリップをかすめて、出口までを大きなコーナーとするライン取りは、コーナリングしている距離が長くなります。それよりもできるだけコーナー奥まで入って、ステアリングを素早く切って曲がり、ステアリングを素早く戻して加速するのはどうでしょう?
ジムカーナのように180度ターンをしなくてならないのであれば有効かも知れませんが、一般道では不要な運転方法です。ステアリングを素早く切ると、それと同時に素早くクルマが曲がっていくと思っている人もいますが、コーナリングフォース(タイヤが曲がろうとする力)の発生まではタイムラグがあります。モータースポーツ用のタイヤはそのタイムラグが短いのですが、一般道用のタイヤはタイムラグが長めです。ステアリングを切る速度(転舵速度)が速いとタイムラグも大きくなります。
スポーツ走行の理想的な転舵速度はコーナリングフォースを無駄なく発生させることができる速度です。それよりも速いと、コーナリングフォースが出てくるまでの時間がかかりすぎてしまいます。同様にステアリングの切りすぎもコーナリングフォースをジャマします。適切な転舵速度と適切な転舵量が、もっとも効率よくコーナリングフォースを引き出します。
その3:ステアリングの持つ手の位置のベストは9時15分
ステアリングの持ち方、ステアリングの切り方についてはさまざまな意見があります。ここでは最も一般的と思われる方法を紹介しましょう。まず持ち方は9時15分をおすすめします。3時と9時の位置を持つという考え方で、持ち替えたときも3時と9時の位置しか握りません。つまり180度で持ち替えます。この考え方だと切り増ししていったときも同じ位置を握っているので、左右に何度切っているのか把握しやすく、戻すときも正確に戻しやすくなります。
たとえば10時10分に持った状態から左に180度切ろうとすると、右手は8時の位置まで動かさないとなりません。できればステアリングは持ち替えずに操作するほうがいいので、ストレスなく180度切ることができる9時15分が理想なのです。
ステアリングの下側の8時20分をポジションにすると1回の転舵量は増やせますが、やはり持ち替えたときの手の位置が定めにくいので、9時15分のほうがバランスは良いでしょう。
絶対にやってはいけないのが内掛けハンドルです。現代のクルマのステアリングにはエアバッグが装備されています。ステアリングを外から持っているときはエアバッグが展開しても手首の関節は動きやすい方向に押されステアリングから手が外れますが、内掛けハンドルの状態では関節が逆方向に反るように押され手が外れにくい状態です。エアバッグの展開速度は最大300km/hにもなるので、骨折の危険性はもちろん、最悪の場合は手首が断裂する危険もあります。
著者:諸星陽一
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