『GQ JAPAN』の編集者・イナガキ(29歳)が、ひょんなことから中古のフェラーリを購入した! 勢いで買ってしまったフェラーリのある生活とは? 今回は、TOKYO SUPERCAR DAY 2020への展示にかんするお話の後編。
360オウナーたちとの出会い
10月31日(土)~11月1日(日)におこなわれたスーパーカーの展示イベント「TOKYO SUPERCAR DAY 2020(東京都・お台場)」に、わが360モデナを展示した話を綴っている。今回はイベント中の出会いについて述べる。
前話:Vol.77 愛車をイベントに展示しました(中編)
会期中、ボクはずっと360モデナに張り付いていたわけではない。やらねばならいことがあったため、結構な時間、離れていた。ただ、初日の午後は少し時間が出来たので、クルマの横にあったベンチに座り、原稿をノートパソコンで打っていた。
Hiromitsu Yasuiボクのことを、その顔で認識できる人はいなかったようで、それなりの数の人がわが360モデナを見たり、写真を撮ったりしていたけれど、話しかけられることもなく仕事に没頭することができた。
ところが、そうやって1時間ぐらい経ったとき、「連載されているオーナーさんですか?」と、声をかけられた。思わずびっくり! 連載記事中の写真にチラッと映っていた姿を覚えていてくださったらしい。ありがたい話だ。ほかにも声をかけてくれた人が数人いた。“身バレ”しないだろうなぁ~、と考えていたが、甘かった。
Hiromitsu Yasui驚いたのが、数人のうち半数は360モデナを所有していたことだ。ひとりは赤い360モデナを所有していた。トランスミッションはボクとおなじF1マチック。クラッチやタイミングベルト交換の話で大いに盛り上がった。
話の最後、「ローマを結局、購入されるんですか?」と、訊かれた。ボクは「納車まで相当に時間がかかるので見送りました」と、先週の記事に記した通りのことを述べた。
Vol.71 フェラーリ・クラシケを取得するぞ! その3
Vol.70 フェラーリ・クラシケを取得するぞ! その2
Vol.69 フェラーリ・クラシケを取得するぞ! その1
すると「あぁ、よかった。ぜひ360モデナを今後も所有し続けてくださいね」と、励ましてもらった。その人は憧れが募り、思い切って360モデナを購入したそうだ。ボクが、“なんとなく”購入したのとはワケが違う。が、おなじ360モデナ・オウナーとして、所有していくうえでの喜怒哀楽を、記事を通して、共有していきたいそうだ。
故障もほとんどなく、整備はすべてディーラー任せ。「愛が感じられない」「自分で整備しろよ」なんて、陰口を叩かれることもあるが、オウナーであるその人はボクの記事を通し、苦労を理解してくれているのだ。“フェラーリを自ら整備するのは無茶である”というのは共通認識だった。
Hiromitsu Yasui次に声をかけてきてくれたのは同年代の360オウナー。氏のクルマは、なんと6MT! 助手席には、タンのレザーにあわせたルイ・ヴィトンのボストンバックが置かれていてオシャレだ。
同年代とはいえ、走行パターンはまるで異なる。がっつり360モデナをエンジョイしているようで、走行距離は5万kmを超えているそうだ。繊細なF1マチックと異なり6MTだから、おもいっきり距離を走れるのかもしれない。故障もほとんどないというから羨ましい。
Vol.62 トラブル発生!?
Hiromitsu Yasuiちなみにふたりとも、整備は専門店や近くの輸入車を扱うショップに依頼しているという。ひとりからは「ディーラーの整備ってどうですか?」と、訊かれたのでありのままを話した。「整備費や部品代などはちょっと高いかもしれないけど、整備は完璧ですよ」と。
すると、「ボクなんかが持ち込んでも大丈夫でしょうか?」と、躊躇気味に尋ねてきたので、「まずは騙されたと思って1度持ち込んでください!」と、背中を押した。やはり、正規ディーラーへの入庫は、相当、心理的なハードルが高いのだろう。
Vol.43 ドアがロックされない!後編
Vol.42 ドアがロックされない!前編
ほかにも新車時から360スパイダーを所有する人からも声をかけられた。はたして、20年近く所有するなかで大変だったことは? 訊くと、それほど大きな苦労はしなかったという。細かなトラブルはあったというが、致命的かつ高額な修理費を要するトラブルはなかったそうだ。
Hiromitsu Yasui買っちゃえフェラーリ! 購入希望者の夢実現をプッシュ
360モデナ・オウナー以外からも声をかけられた。ひとりは光岡「オロチ」のオウナーだ。なんと、山口県から自走で来たという。オロチを所有する人に会ったのは始めてだ。しかも同年代だった。
オロチを所有する上での苦労を訊くと、それほどないらしい。エンジンもトヨタ製だからトラブルはほとんどナシ。維持費もリーズナブルという。
オロチにかんするエピソードを聴いたあと、急に「写真、撮ってもいいですか?」と、リクエストされた。「どうぞ!」と、クルマから離れると、なんと「いや、イナガキさんも一緒でお願いします」とのこと。有名人でもあるまいし、ボクなんかが一緒に映ってもしょうがないのでは? と、遠慮したものの、「そんなことないですから!」と、押し切られた。恥ずかしいが、ちょっと誇らしい。1年以上連載を続けてよかったなぁ、と、しみじみ思う。
Hiromitsu Yasuiポルシェ「ボクスター」のオウナーからも声をかけられた。ボクより年下のその人は「575Mマラネロ」が憧れという。「今買うべきですかね?」と、相談されたので、「ぜひ買うべし!」と、購入をプッシュした。欲しい時が買い時、というのがボクのモットーだ。明日がどうなるかわからないからこそ、買えるときにかったほうがよい。
「購入資金はどうしましたか?」と、訊かれたので、自由返済型ローンについて話した。すると、「あ、ボクでも買えないこともないんですね!」と、驚いていた。もちろん「返済額は自由だけど、残債が多いと最後の支払いが大変だから、計画的にね」と、つけくわえた。
Hiromitsu Yasuiイベント開催に感謝!
数人のオウナーと話し、いずれも「連載を読んでいますよ。頑張ってくださいね」と、激励されたのが嬉しかった。まさか声をかけられるとは思ってもいなかったので、なおのこと嬉しい。連載を1年以上続けてきて、本当に良かった。
TOKYO SUPERCAR DAY 2020に展示した結果、多くの出会いや発見があった。機会を提供いただいことに感謝したい。
はたして、イベント開催への思いや苦労などはいかに? イベントを主催・運営する「一般社団法人 日本スーパーカー協会」の代表理事・須山泰宏氏と事務局長の山里真元氏に訊いた。
Vol.75 フェラーリ・クラシケを取得するぞ! その5
Vol.74 フェラーリ・クラシケを取得するぞ! その4
Hiromitsu Yasui――TOKYO SUPERCAR DAYは今年で何回目ですか?
須山 TOKYO SUPERCAR DAYとしては3回目です。前身の「スーパーカーの日フェスティバル」を含めると今年で6回目になります。
――今年は新型コロナウィルス感染拡大で開催が危ぶまれたそうですね。
山里 当初、夏と秋に2回開催する案もありました。とくに夏の開催は、お台場の各施設からも声をかけられたのでぜひ実施したかったのですが、感染者が急増したため、残念ながら開催には至りませんでした。
Hiromitsu Yasui――準備期間が相当短かったと聴きました。
山里 例年より圧倒的に短かったです。1カ月弱しかありませんでした。マクラーレン・スピードテイルといったハイパーカーの展示にくわえ、大型クルーザーの試走を企画したので、調整が大変でした。ちなみに、個人所有の船が、お台場の桟橋に停泊出来たのは画期的なことなんです。
――目指すはクルマ文化の醸成だそうですね。
山里 はい。イギリスで開催されているグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードのようなイベントを目指しています。イベント規模は年々大きくなっていて、通常は借りられない公園での開催から東京モーターショーとのコラボレーション、そして今回のお台場開催に至りました。3つの商業施設をまたいでの展示は、われわれとしては快挙です。
――スーパーカーを見た多くの子どもたちの目が輝いていました。
須山 子どもたちが自らの足でスーパーカーが見られるようなイベントになっています。子どもたちの多くは、スーパーカーが展示されているディーラーや、オウナーズミーティングには気軽に行けません。彼らが、スーパーカーをおもいっきり楽しめるきちんとした場所の提供も、われわれの責務であると考えています。
Hiromitsu Yasui――200台もスーパーカー&ハイパーカーが集まったと聞いてびっくりしました!
須山 2日間で計200台が参加しました。当初の想定台数を上まわる申し込みがあったものの、できる限り参加希望者を受け入れたく、枠を拡げました。
――運営スタッフは、ほぼ“ボランティア”なんですよね?
山里 夜のガードマン以外は全員ボランティア・スタッフです。ナンバー隠しや参加者向けのIDなどはすべて手作りです。コストを抑えることで、ひとり3000円の出展価格が実現しました。ちなみに、デックス東京ビーチのウッドデッキに敷いた約350mの養生シートも、われわれで敷いたんですよ。
Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasui須山氏と山里氏の話を訊き、TOKYO SUPERCAR DAY 2020の開催が奇跡だったように思う。時間がないなか、イベントを作り上げた関係各位に敬意を表したい。
今後も機会があれば、ほかのイベントに360モデナを展示するかも。そのときは、多くの努力や苦労のもとに開催されていることをしっかり認識したうえで、エンジョイしたい。
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