■VWのEVアーキテクチャーはデファクトスタンダードを目指す
2019年7月12日、フォルクスワーゲンとフォードが衝撃的な発表を行ないました。両社が「自動運転と電気自動車の分野において手を結ぶ」というのです。
自動運転については、すでにフォードが投資している自律走行を開発企業のArgo AI社に、フォルクスワーゲン・グループも参画するという内容。これによりArgo AI社の資本はフォードとフォルクスワーゲンで過半数を占めるということです。つまり、同社の自律走行技術はフォードとフォルクスワーゲンの2社が独占できるというわけです。
もうひとつの電気自動車についてのコラボレーションは、電動化に突き進む自動車メーカーの流れを大きく変えそうな動きになります。すでにフォルクスワーゲン・グループでは電気自動車のプラットフォーム「MEB」について、外販することを視野に入れていると発表していますが、フォードがその第一号になるというわけです。パリ協定の関係からCO2規制が厳しくなる欧州において、フォードはMEBを利用した新型モデルを、2023年を目途にローンチするといいます。その規模感は60万台といいますから、けっして試験的なものではありません。待ったなしのゼロエミッション化に向けて、フォルクスワーゲンのアーキテクチャーを利用することで時間とコストを削ることを選んだのです。
こうしたフォードとのコラボレーションについて、フォルクスワーゲン・グループCEOのヘルベルト・ディース氏は「MEBを業界標準として確立したい」と強い言葉で、その成果への期待を口にしています。フォルクスワーゲンとフォードの販売台数を合わせると約1670万台(2018年)にもなります。そのすべてにMEBが適用できるわけではありませんが、両社の規模を合わせると世界最大のスケールになることは間違いありません。規模の拡大はスケールメリットを生みますし、グローバル生産におけるサプライチェーンの整備においても有利に働きます。世界1位のフォルクスワーゲン・グループと世界6位のフォードがコラボレーションすることには生産拠点や販売エリアでのカバレッジが広がることからも意味があるといえます。もちろん、スケールメリットによる業界標準(デファクトスタンダード)化は、自動運転の分野においてもプラスになるでしょう。いずれにしても、先行者利益を取りやすい状況につながると考えられます。
なお、自動運転と電気自動車に加えて、小型商用車やピックアップトラックの分野においてもアライアンスを結ぶことを発表しています。フォルクスワーゲンとフォードが協力することにより、このカテゴリーにおいてもマーケットリーダーになることが予想されます。すなわち、スケールメリットによるコストダウンが期待できるわけです。その期待値についてヘルベルト氏は「数億ユーロの規模になるであろう」と言っています。こちらは2022年頃には、その成果が市販モデルとして登場する予定ということです。
自動運転と電気自動車という自動車業界の最新トレンドの分野においてコラボレーションを発表したフォルクスワーゲンとフォード。その圧倒的な規模を利用して、自動車業界のゲームチェンジャーとなってしまうのでしょうか。高いレベルで自律走行のできる電気自動車が早々に登場、エコシステムとしてデファクトスタンダードになるようなことがあれば、所有からシェアリングへの移行が急速に進み、自動車のビジネスモデルが根本から変わってしまうかもしれません。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
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