現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【思いのほか早い離婚】メルセデス・ベンツとBMW 相容れない関係鮮明に 自動運転/AI関連で

ここから本文です

【思いのほか早い離婚】メルセデス・ベンツとBMW 相容れない関係鮮明に 自動運転/AI関連で

掲載 更新 4
【思いのほか早い離婚】メルセデス・ベンツとBMW 相容れない関係鮮明に 自動運転/AI関連で

メルセデス・ベンツ、淡々と

text:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】市販車でもバチバチ あなたはどっち派?【メルセデス対BMW】 全97枚

「単なる、タイミングイッシュー(時期的な問題)だ」

メルセデス・ベンツカーズのオラ・ケレニウスCEO(最高経営責任者)は、そう答えた。

だが、その答えを鵜呑みにする業界関係者は少ないだろう。BMWとの関係についてである。

メルセデス・ベンツと、アメリカの大手半導体メーカー「エヌビディア」は日本時間の2020年6月24日午前2時30分から、2社のCEOが独シュトゥットガルトと米シリコンバレーからオンライン参加した共同記者会見をおこなった。

会見の主旨は、エヌビディアが今後、メルセデス・ベンツに対して、自動運転技術などに関わる人工知能など関連するソフトウェアのプラットフォームを総括的に供給する、という内容だ。

2024年までに自動運転レベル2またはレベル3などを含む量産化をおこなう。

この5日前に、メルセデス・ベンツはBMWと自動運転に関する共同開発を一時的に棚上げすると発表している。

今回の会見で、後半におこなわれた報道陣からのメールによる質問で「エヌビディアとの協業が、先に発表されたBMWとの関係解消の原因なのか?」という質問が出た。

その答えが「単なる、タイミングイッシュー」だったのだ。

世界をリードするドイツ大手2社でいま、何が起こっているのか?

ユーザーにとって、それはどう影響するのか?

クルマがスマホ化される日

今回のメルセデス・ベンツとエヌビディアとの会見で、改めて分かったのが、いわゆる「クルマのスマホ化」問題だ。

将来、電動化や自動化が進むと、クルマは単なる動くための箱(ドンガラ)になってしまい、ソフトウェアなどデータを管理するシステムが主役になるという解釈だ。

スマホの四隅にタイヤをつけた風刺画を2010年代中頃からよく見かけるようになった。

もし本当にそうなったら、メルセデス・ベンツもBMWもレクサスもポルシェも中身は大差なく、違いは見た目(デザイン)だけ、という時代がやってくるのかもしれない。

そんな究極論にも通じるような内容の会話が、今回の記者会見では両CEOから聞かれ、筆者としてはかなり驚いた。

むろん、「そうなる」とは発言していないのだが、将来のクルマはデータの書き換えによって様々なアップグレードが可能となる、という話だ。

OTA(オン・ザ・エア)という、スマホのように通信で車載データの書き換えについては、テスラを筆頭に大手メーカー各社が本格的な導入を進めている。

エヌビディアは、単なる人工知能、単なる自動運転、単なるソフトウェアの書き換えではなく、クルマのシステムを統括するレベルの極めて重大は出来事だ、と強調するのだ。

今回の会見、いろいろ観点から意味深な部分が多過ぎる……。

裏にあるのは半導体大手2社の競争

話をメルセデス・ベンツとBMWとの関係に戻そう。

2社が自動運転を含む、車載ソフトウェア関連の共同開発を棚上げにした理由は、2社それぞれが組むソフトウェア系企業が違うから、と考えるのが、自動車業界内では常識的だろう。

BMWは、米半導体大手インテルとの関係が深いのだ。

インテルとエヌビディアはもともと、同じ領域で戦う業種ではなかったのだが、自動運転を筆頭とする「自動車におけるビックデータ」については、ガチンコのライバルとなった。

筆者はその立ち上げ時期から、米シリコンバレー現地で各種の取材をしてきており、現場の生の声や、経営陣の考えなどを直接聞いてきた。

両社は、場合によっては将来に向けた開発で協調することもあり得るとしてきた。

だからこそ、メルセデス・ベンツとBMWも、自動運転での協調を模索してきたはずだ。

自動運転で活用する高精度三次元地図でも、2社は共同出資してる関係にある。

ところが、結局のところ、2メーカーとの関係が深い半導体大手2社を含めた、4社の間で目指す方向が一致しなかったのだと考えるのが妥当だ。

では、今回のメルセデス・ベンツとBMWとの連携棚上げは、ユーザーにとってどのような影響があるのだろうか?

連携棚上げ ユーザーにとって影響は

今回の提携棚上げとは、「一時的に保留し、将来関係が復活することもあり得る」としている。

例えるなら、離婚ではなく、冷却期間を持った別居、といった感じだ。

とはいえ、結婚してから1年強での別居であり、そう簡単に復縁しそうもない。

ユーザーにとっては、自分クルマの車載システムが、他のメーカーとどのように連携していようが、日常生活の中で支障があったり、またはプラス要因になることもないだろう。

EVなど、電動化技術についても同じだろう。

各種の次世代技術が同時進行で一気に進んでいる、クルマの世界。

その中でも、ジャーマン3(ダイムラー、BMW、フォルクスワーゲン・グループ)に関わる連携は、日本を含めて世界自動車産業全体に大きな影響力を及ぼす。

だが、その実態がユーザーには極めて分かりにくい。

今回の、メルセデス・ベンツとBMWの別居で、改めてそう感じる。

こんな記事も読まれています

もしや未来のレジェンドか!?!? 次世代電気自動車「Honda0(ゼロ)シリーズ」が衝撃 しかもほぼそのまま市販モデルになるってマジか
もしや未来のレジェンドか!?!? 次世代電気自動車「Honda0(ゼロ)シリーズ」が衝撃 しかもほぼそのまま市販モデルになるってマジか
ベストカーWeb
ガルウイングにした本当の理由は? AMG初の独自開発「SLS AMG」はメルセデス・ベンツ「300SL」の再来でした
ガルウイングにした本当の理由は? AMG初の独自開発「SLS AMG」はメルセデス・ベンツ「300SL」の再来でした
Auto Messe Web
RB、アイウェアブランド『HUGO Eyewear』とのパートナーシップ締結を発表
RB、アイウェアブランド『HUGO Eyewear』とのパートナーシップ締結を発表
AUTOSPORT web
「見た目」にビビなら買い! 日産ジューク・ハイブリッドへ試乗 内装とデジタル技術をアップデート
「見た目」にビビなら買い! 日産ジューク・ハイブリッドへ試乗 内装とデジタル技術をアップデート
AUTOCAR JAPAN
フォーミュラEが面白い! 日産とシェルの関係や過去のシーズンを知って、今期後半をもっと楽しもう
フォーミュラEが面白い! 日産とシェルの関係や過去のシーズンを知って、今期後半をもっと楽しもう
Auto Messe Web
アストンマーティン代表、ストロールへの裁定は厳しいと語る「しっかりと理解されないまま判定が下された」/F1第5戦
アストンマーティン代表、ストロールへの裁定は厳しいと語る「しっかりと理解されないまま判定が下された」/F1第5戦
AUTOSPORT web
ヨシムラSERTが転倒後に追い上げ優勝、3ART綿貫も3位。TSR、Étoileは無念のリタイア/EWC第1戦ル・マン24時間
ヨシムラSERTが転倒後に追い上げ優勝、3ART綿貫も3位。TSR、Étoileは無念のリタイア/EWC第1戦ル・マン24時間
AUTOSPORT web
ホンダの「V8スポーツカー」!? 500馬力超えの「FRマシン」! “NSX後継機”目された「HSV-010」とは
ホンダの「V8スポーツカー」!? 500馬力超えの「FRマシン」! “NSX後継機”目された「HSV-010」とは
くるまのニュース
アルファ・ロメオ 車名に "ケチ" つけた政治家へ苦言「名前より雇用守る努力をせよ」 中国企業に危機感
アルファ・ロメオ 車名に "ケチ" つけた政治家へ苦言「名前より雇用守る努力をせよ」 中国企業に危機感
AUTOCAR JAPAN
「彼は僕を見てさえいなかった」リカルド、接触時のストロールのオンボード映像を見て激怒/F1第5戦
「彼は僕を見てさえいなかった」リカルド、接触時のストロールのオンボード映像を見て激怒/F1第5戦
AUTOSPORT web
ハースのヒュルケンベルグが10位「最大限の結果を出した。重要な1点」小松代表は「完璧なレース」と喜ぶ/F1中国GP
ハースのヒュルケンベルグが10位「最大限の結果を出した。重要な1点」小松代表は「完璧なレース」と喜ぶ/F1中国GP
AUTOSPORT web
アロンソ「セーフティカーで戦略変更も、良いレースに。1周でいいからトップを走りたかったけどね」/F1中国GP
アロンソ「セーフティカーで戦略変更も、良いレースに。1周でいいからトップを走りたかったけどね」/F1中国GP
AUTOSPORT web
乗って納得の「ロープライス実力派」 ホンダWR-Vは背伸びしない、等身大のパートナー
乗って納得の「ロープライス実力派」 ホンダWR-Vは背伸びしない、等身大のパートナー
AUTOCAR JAPAN
ハミルトン「極端なセットアップ変更が、かつてないレベルのアンダーステアを引き起こした」メルセデス/F1中国GP
ハミルトン「極端なセットアップ変更が、かつてないレベルのアンダーステアを引き起こした」メルセデス/F1中国GP
AUTOSPORT web
経験を信じたWRTとリスクを避けたマンタイ。雨中のタイヤ選択がLMGT3上位の明暗分ける/WECイモラ
経験を信じたWRTとリスクを避けたマンタイ。雨中のタイヤ選択がLMGT3上位の明暗分ける/WECイモラ
AUTOSPORT web
レクサスが新たな「小さな高級車」展示! 全長4.2m級でも上質さ健在!? 「LBX」の実車見たユーザーの反響は? in 菅生
レクサスが新たな「小さな高級車」展示! 全長4.2m級でも上質さ健在!? 「LBX」の実車見たユーザーの反響は? in 菅生
くるまのニュース
【カーコーティング技術を住宅設備に】総合家庭用品メーカー「レック」と「KeePer技研」が共同企画した家庭用水まわりコーティング剤が販売開始
【カーコーティング技術を住宅設備に】総合家庭用品メーカー「レック」と「KeePer技研」が共同企画した家庭用水まわりコーティング剤が販売開始
driver@web
先行ピットインを決めたディクソンが逆転勝利。初参戦プルシェールは11位完走/インディカー第2戦
先行ピットインを決めたディクソンが逆転勝利。初参戦プルシェールは11位完走/インディカー第2戦
AUTOSPORT web

みんなのコメント

4件
  • 結局は米国企業の動向次第って感じか
    ベンツとBMだけが組んでも自動運転分野は無理だもんな
    中国依存度の強いBMは中国メーカーと組む可能性もあるけど、そこまでしたら信頼は地に堕ちるか
    今後の動向が気になるね
  • どちらも主導権握りたいだろうからな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村