■刻一刻と大きく変化する「自動車産業を取り巻く環境」に対応
日本自動車工業会(以下、自工会)が2023年3月23日、オンラインで記者会見を開き、2023年度の体制について発表しました。
その中で、豊田章男 自工会会長(トヨタ自動車 代表取締役会長)の1年続投が明らかになりました。
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豊田会長は2023年1月末、トヨタの社長から退き、会長になることを発表したタイミングで、自工会の会長についても、任期満了を待たずして退任する旨を自工会に伝えていました。
その後自工会では、副会長や理事らが今後のあり方について緊急の協議を何度も行い、早い段階で豊田会長に慰留を願い出たようです。
最終的には、会見の前日である3月22日に、豊田会長に対して任期満了まであと1年間、会長を引き続き務めてもらい、その間に自工会全体がチームとして運営できる体制の改革を進めることを報告。これを、豊田会長が承諾したということです。
その上で、会見での各副会長からのコメントで改めて明らかになったように、自動車産業を取り巻く環境は刻一刻と大きく変化していることが分かります。
なかでも、カーボンニュートラルにかかわるCO2削減については、欧州連合(EU)がこれまで「2035年以降、欧州域内で販売する乗用車と小型商用車は事実上、EVまたは燃料電池車のみとする」とした考えに対して、大きな変化が起こりそうです。
自動車大国のドイツが「2035年以降もカーボンニュートラル燃料を使う内燃機関の販売も必要だ」として、欧州連合に要望を出したからです。
こうした欧州での動きに対して自工会は、会見で欧州連合を名指しすることは避けましたが、自工会がこれまで主張してきた「国や地域によってパワートレインや燃料について多様な選択肢があるべき」との見解に「海外でも受け入れる動きが出てきた」という表現を用いています。
見方を変えると、国や地域によって、政治的な動きにより規制やルールなどが今後も大きく変わる可能性があり、そうした主要な物事が不規則に変化する時代に、自工会としても素早く、かつ大胆に対応できる体制づくりが必須だということです。
もちろん、メーカー個社としてビジネスという競争は続けるにしても、日本の主要産業として業界全体として協調しなければ、日本が世界で生き残っていけない、という強い危機感を自工会関係者の多くが実感しているのです。
「危機を逆手にとってチャンス」とは、言うは易く行うは難し。日本の自動車業界は、極めて難しい局面に立っています。そこから未来への道を見出すのは、並大抵のことではありません。
まさに、次世代に向かう「覚悟」が必要であることを、今回の会見を通じて参加した報道陣も再確認したと思います。
その上で、自工会は2023年の重点テーマを4つ挙げました。
1つ目は、競争力強化と税制です。
これは、政府の骨太の方針の中で、車体課税のあり方や、クルマに対する新たなる税について議論を本格化させることになります。
2つ目は、GX(グリーン・トランスフォーメーション)やカーボンニュートラルです。
5月に開催予定の広島G7サミット(主要国首脳会議)でも、自工会のデータに基づき、国や地域のエネルギー事情に対して多様な選択肢があることを示す準備を進めていると言います。
3つ目は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)とMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)。
大きな目的としては、交通事故を減らすために、人・クルマ・道路環境における解決策を探ります。またトラック物流については、MaaS関連での社会実装に向けた道筋を見い出します。
4つ目は、ファンづくり。具体的には、10月25日から11月5日の期間、これまでの東京モーターショーに代わるイベントとして開催される第1回「ジャパン モビリティショー 2023」が対象となります。
ジャパン モビリティショー 2023では、その名の通り日本における全産業を巻き込み、入場者数は100万人を想定。
その上で、3つの骨子を掲げました。
1番目は、「未来のプレゼンテーションの場」。体験、感動、共有して、皆が元気になる場を創出します。
2番目は、「スタートアップ企業」に対するサポートです。
そして3番目は、いわば「モビリティ版・ダボス会議」です。
ダボス会議とは、毎年スイスのダボスに世界の有識者や経営者、そして政治家などトップエグゼクティブが集まり、世界の未来について真剣に協議する場です。
これを東京で行い、モビリティの未来を考えていこうというのです。
このように自工会は今後、世界における大きな変化の波の中で、変化を恐れず、かつ覚悟を持って、未来のモビリティ社会実現に向けて様々な手法を取り入れていくことになります。
モビリティの変革によって、日本全体に活気が満ちていくことを期待したいと思います。
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この人絶対責任取らないから信用してない