2台そろってリタイアに終わった開幕戦から1週間。第2戦シュタイアーマルクGPで2台とも完走を果たしたレッドブル・ホンダ。マックス・フェルスタッペンが今シーズン初表彰台を獲得し、チームメートのアレクサンダー・アルボンは昨年の日本GP以来となる自己最高位タイの4位入賞を果たした。
しかし、レース後の会見に登場したクリスチャン・ホーナー代表は終始、苦虫を噛みつぶしたような表情だった。それは優勝争いを演じることなく、メルセデスの前に完敗したからだった。
レッドブル・ホンダ分析:敗因はレースペース。最新ノーズ&フロントウイングで最適セットアップを見出せるか
ただし、1週間前の開幕戦オーストリアGPでは全セッション、メルセデスの後塵を拝したのに対して、第2戦シュタイアーマルクGPでは金曜日に行われたフリー走行2回目で、フェルスタッペンがトップタイムをマーク。メルセデスとのパフォーマンスを縮めたかに見えた。
このときのフェルスタッペンのトップタイムは1分3秒660。2番手のバルテリ・ボッタス(メルセデス)とは0.043秒差だったが、6番手のルイス・ハミルトン(メルセデス)とは約0.7秒差あった。
しかも、このフリー走行2回目は土曜日が悪天になることが予想され、週末に予選が行われなかった場合にはフリー走行2回目の順位がレースでのスターティンググリッドに反映されることが、FIAから全チームに通達されるなかで行われていた。
つまり、フリー走行2回目は単なる練習走行ではなく、全車がアタック合戦を行う予選さながらのセッションで、ハミルトンが故意に実力を隠していたとは考えにくい。
では、なぜ金曜日に遅かったメルセデスが日曜日にペースアップしてきたのか。そのことを会見で尋ねられたホーナーは、こう分析した。
「金曜日の暑さが、メルセデスの実力を見えにくくしていた」
じつは第2戦シュタイアーマルクGPの初日となった7月10日は真夏のような暑さとなり、フリー走行2回目は気温31度、路面温度52度というコンディションのなかで行われた。その日の囲み会見でホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターが最初に語ったひと言も「今日は先週の日曜日(開幕戦オーストリアGPの決勝レースが行われた7月5日)よりも暑かったです」だった。
メルセデスが暑さに弱いことは、昨年のオーストリアGPで失速していたことでもわかる。あのときのコンディションは気温33度、路面温度51度だった。つまり、メルセデスは気温30度以上の真夏日になると遅くなるという体質は、今年も変わっていなかった。
ところが、土曜日は雨が降り、気温は15度以下まで下がり、日曜日は青空が広がったものの、スタート時の気温は20度と、金曜日のフリー走行2回目より10度以上低いコンディションでレースが開始された。それが『暑がり』体質のメルセデスに味方した。そのことが、ホーナーの表情を苦虫を噛みつぶしたようにしていたのではないか。
そして、最後にこう言った。
「次のハンガリーGPが行われるブダペストは暑くなると聞いている。予報通り暑くなれば、我々にもチャンスはある」
現時点でハンガリーGPの決勝レースが行われる7月19日、日曜日のブダペストの天気予報は晴れ、最高気温28度が予想されている。
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