ニック・キャシディは、フェラーリとの関係が構築されていることと日本での経験が、同社のル・マン・ハイパーカー(LMH)プログラムへのドライバー選出に向けた好材料になると考えている。
キャシディは2017年にスーパーGT、2019年にスーパーフォーミュラを制し、日本のトップカテゴリーふたつのタイトルを引っさげ、2021年からフォーミュラEに参戦。今年は加えて、世界耐久選手権(WEC)とドイツツーリングカー選手権(DTM)の両カテゴリーにフェラーリのセミファクトリーチームであるAFコルセから出場している。
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レッドブルアスリートのキャシディとフェラーリとの関係の始まりは、2021年のDTM最終戦ノリスリンク。アレクサンダー・アルボンの代役として、AFコルセが運営する”アルファタウリ”カラーのフェラーリ488 GT3 Evoに乗ったことから始まっている。
そしてキャシディは今シーズン、AFコルセからWECにデビュー。ジャンカルロ・フィジケラの後任として、フランチェスコ・カステラッチとジェントルマンドライバーのトーマス・フローと共に54号車フェラーリ 488 GTEをドライブ。今年のル・マン24時間レースでは、GTE Amクラス6位完走を果たした。
今シーズンもDTMにAFコルセから参戦しているが、フォーミュラEとのバッティングにより開幕戦ポルティマオを欠場。次戦ノリスリンクも欠場が決まっている。
キャシディは、来年WECの最高峰クラス、ハイパーカークラスに参戦するフェラーリとの関係を更に深めたいと考えているようだ。
フェラーリのLMH車両はAFコルセが開発中。それに乗るドライバーは未だ未定となっている。
「この関係を続けていきたいという気持ちはとても強いんだ」とキャシディはmotorsport.comに語った。
「僕はこのブランドに対して本当に情熱を持っているし、彼らと一緒に仕事をするのは本当に楽しい」
「それと同時に、モータースポーツでは保証されたモノなどなにもない。どちら側でも、どんな未来になるかは分からない」
「でもフェラーリがトーマス・フローと一緒に僕をWECへ招いてくれたのは、僕としてはとても幸運なことだった。僕はレーシングドライバーだから、忙しくありたいし、いつも走っていたい。結果的に(2022年WEC参戦の)巨大プロジェクトになったんだ」
「僕を受け入れてくれるサポートがあったのは、本当にラッキーだった」
2019年にスーパーフォーミュラでチャンピオンに輝いた際にも、口にしていたWECの最高峰クラスへの挑戦。その足がかりとなる今年の開幕戦バーレーンでは、20周と50周の平均ラップタイムが同クラスのフェラーリドライバーの中で最速となっている。
そしてスーパーGTのGT500クラスを走った経験が、GTE車両やGT3車両以上にLMH車両でのレースに関係してくるとして、WECでの今シーズンを”オーディション”として捉えてはいないと彼は言う。
彼が計5勝を挙げたスーパーGTのGT500クラス車両は、LMH車両を凌ぐパフォーマンスを持っているとも言われている。レースではそこに下位カテゴリーに当たるGT300クラスのマシンが混走することで、GT500に乗るドライバーはそれらを交わしつつ、同クラスのマシンとバトルを繰り広げることとなる。こうして見ると、非常にWECと近いカテゴリーとも言える。
「これがオーディションとは言わないよ」とキャシディは語る。
「僕は日本、特にスーパーGTでやってきたことに自信と誇りを持っているからね」
「僕のレーススティントはとても強力だったし、僕はトラフィックの中でも速かった。ハイダウンフォースかつハイパワーという点では、スーパーGTとWECのふたつのカテゴリーはほぼ同じだと思う」
「僕はGTレースを学んできたし、今でも学習は続けている」
「僕に足りなかったのは、ル・マンとWECの経験だ。今年はフェラーリ・ファミリーの中で、関係を築きたいと強く思っていたが、WECの経験を積むことは僕にとって本当に重要で、それが僕のキャリアに欠けていたモノなんだ」
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