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きたぞ9年半ぶり!! 新型アクア発表発売 かつての王者は捲土重来なるか

掲載 更新 29
きたぞ9年半ぶり!! 新型アクア発表発売 かつての王者は捲土重来なるか

 2021年7月19日、トヨタは、ハイブリッド専用コンパクトカーである「アクア」の新型を発表、同日より販売を開始した。

 先代アクアがデビューしたのは2011年12月のこと。アクアは、デビューすると同時に大ヒットし、2012年には2位(26万6567台)、その後、2013年から2015年までは車種別(登録車)年間販売台数で首位を獲得、2016年以降も毎年10万台以上の登録台数を記録し、グローバルでは、10年間で187万台を売り上げた、トヨタのメガヒットコンパクトカーだ。

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 今回の新型では、先代に対して、約20パーセントもの燃費向上を行い、35.8km/Lを達成したという。約10年ぶりのフルモデルチェンジとなった新型アクア、その詳細をお伝えしていこう。

文:吉川賢一
写真:TOYOTA

【画像ギャラリー】本稿未掲載写真含む計56枚!! 新型アクアの詳細を余すことなくご紹介!!

キープコンセプトだが、中身は大きくブラッシュアップ

 今回の新型では、先代の長所であるハイブリッド性能を伸ばし、燃費改善と、上質な走りを追求したという。またAC100V 1500Wまでのアクセサリーコンセントや、クルマから電力を取り出せる「非常時給電モード」を全車標準装備し、電気ポットやドライヤーなどの家電製品も使用可能となった。

「災害時など、万が一の際に役立つ給電機能を(オプション設定ではなく)全車標準搭載したことは、(「日本人の国民車になってほしい」という意味で)新型アクアのひとつのポイントです(トヨタ広報部)」とのことだ。

 また、新開発の「パイポーラ型ニッケル水素電池(詳しくは後述)」によって、バッテリー出力を約2倍に向上、電力のみでの走行速度を引き上げたことで、電気走行ならではのリニアな加速を実現した。また、先代には設定なかった4WD(E-Four)も初搭載する。

 プラットフォームは昨年に新型が登場した同門(トヨタ)のヤリスと同じく、最新のGA-Bを採用。骨格結合構造の最適化を行い、超高張力鋼板を用いて軽量化と高剛性化を実現。高速走行時の会話明瞭度は15%向上、乗車時停車中のノイズは1dB(約10%)低減したそうだ。

エクステリアは高級感がアップし、エモーショナルに!!

 新型アクアは、4050×1695×1485(全長×全幅×全高)mm、ホイールベースは2600mm。先代アクアの寸法のまま、ホイールベースを50mm伸ばした。特に、リヤシートの居住空間の改善と、荷室空間の拡大に利用したという。

新型アクアの寸法は、4050×1695×1485(全長×全幅×全高)mm。ホイールベースは2600mm。先代アクアの寸法のままホイールベースを50mm伸ばした

先代アクア

 全体的なプロポーションは、先代アクアや現行ヤリスの雰囲気に近いが、丸みを帯びた細部や、光り物を採用するなど、高級感を持たせている。フロントバンパーの先端を持ち上げていたり、眼光の鋭いLEDヘッドライト(Bi-Beam LEDヘッドランプは、Zに標準装備、G、Xにはメーカーオプション)、後ろ脚に筋肉が付いたようにも見えるリアフェンダーなど、エモーショナルな雰囲気となった。

 またテールランプも、ヤリスの横一文字とは異なる、縦長のLEDリアコンビネーションランプ(Zに標準装備)が採用となった。

常時ホワイトのLEDデイタイムランプは、ウィンカーやハザードでオレンジへと変光する

新型アクアの左右に大きくはり出したように見えるリアフェンダーは、エモーショナルな雰囲気がある

先代アクア

ヤリスの横一文字とは異なる、縦長のLEDリアコンビネーションランプ(Zに標準装備)。LEDバックアップランプ(リヤバンパー埋込式)も備わる

清潔感が溢れたインテリア

 センターメーターだった先代アクアに対して、新型アクアはメーターがドライバー正面へと移動、代わりにインパネ最上段に10.5インチ大型ディスプレイオーディオが収まった。このレイアウトは、基本的にはヤリスと同じだ。ステアリングホイールもヤリスと共用となる。

センターメーターだった先代アクアに対して、新型アクアはメーターがドライバー正面へと移動、代わりにインパネ最上段に10.5インチ大型ディスプレイオーディオが収まる

先代アクアのインパネ

 シフトノブは先代アクアのようなゲート式ではなく、プリウスと同タイプ(手を離すとセンターに戻る)となる。所々に配置した合皮巻きのオーナメントやアームレスト、パワーシートなど、豪華に魅せる工夫が仕込まれている。ボックスティッシュも収納できる助手席アッパーボックス、センターコンソールには充電ケーブルをスッキリ格納できるスライド式トレイも採用する。

パノラミックビューモニターの作動イメージ

ボックスティッシュも収納できる助手席アッパーボックス

ホイールベースを50mm伸ばし、後席スペースと荷室をさらに広げた

トップクラスの低燃費を達成!!

 新型アクアのパワートレインは、ヤリスやヤリスクロスと同じく、リダクション機構付のTHS II(1.5Lダイナミックフォースエンジン)の1種類。これは先代も同じだが、今回の新型のホットポイントは、新しいバッテリー技術「バイポーラ型ニッケル水素電池」だ。豊田自動織機と共同開発をしたこの新電池は、駆動用バッテリーとしては、新型アクアへの搭載が「世界初」となる。

 バイポーラ型とは、一枚の集電帯の片側に正極を塗り、もう一方の面に負極を塗った構造だ。セル同士を端子で繋ぐ必要のあった従来型バッテリーに対し、バイポーラ電極を重ねて一つのセルを作り、これを複数枚重ねる構造としている。このため、部品点数が減ってコンパクトになり、従来型電池と同等のスペースに、より多くのセルを搭載可能となる。

豊田自動織機と共同開発した新電池。バイポーラ電極とは、一枚の集電帯の片側に、正極を塗り、もう一方の面に負極を塗った構造のこと

 また、通電面積が広いので電気抵抗が減って、大電流を流すことができ、約2倍のバッテリー出力を実現。その結果、これまで以上にモーターの使用領域が拡大し、街中の多くのシーンで、パワフルな電気走行が可能となったそうだ。
(編集部註/従来型は15~20km/h近辺でEV走行からエンジン走行に切り替わるのに対し、新型は40km/h近辺までEV走行を続け、それにより「上質感」を演出する走行性能を持つという。なお新型アクアはビジネスユースの多い最安価なBグレードのみ従来のニッケル水素電池を搭載しており、それ以外の全グレードにこの新型電池が搭載される。トヨタは「将来の商品計画については答えられない」として明言を避けたが、今後トヨタ製ハイブリッド車の多くがこの新型電池に切り替わっていくと予想される)

セル同士を端子で繋ぐ必要のあった従来型バッテリーに対し、バイポーラ電極を重ねて一つのセルを作り、これを複数枚重ねる構造。部品点数が減り、通電面積が広いので電気抵抗が減り、大電流を流すことができる

 さらには、回生ブレーキで滑らかな減速をする「快感ペダル」も採用。走行モードを「POWER+モード」に変更することで、アクセルペダルを緩めると回生減速が行われて、滑らかに減速することができる。これによって、ペダルの踏み換え頻度は40%も低減するという。

「当然、日産の(ノートe-POWERに代表される)【ワンペダル】はおおいに研究させていただき、参考にいたしました。そのうえで、快感ペダルはトヨタとして自信をもって出せる性能にまで磨き上げています(トヨタ広報部)」とのこと。ノートe-POWERの「ワンペダル」はアクセルペダルの操作だけで完全停止まで可能だが、トヨタの「快感ペダル」は研究のすえ、あえて「停止まではしない機能」にしてあるという。

 なお燃費は、WLTCモード燃費35.8km/L(市街地36.5、郊外39.5、高速33.5)にもなる※Bグレード。CO2排出量は65~77g/km(WLTCモード)だ。これほど低いCO2排出量のコンパクトハッチは、これまで見たことが無い。

「アドバンスドパーク」も搭載

 新型アクアは、全車速追従型レーダークルーズコントロールやレーントレーシングアシスト、ペダル踏み間違い時の急加速を抑制するプラスサポートといった先進安全技術「トヨタセーフティセンス」は、全車標準装備。

 そのうえで、シフト操作も制御してくれるアドバンスドパークを採用した(トヨタコンパクトクラスでは初)。駐車スペースの横に停車してシステムを入れて「開始」を選べば、あとはクルマがステアリングや後退へのシフトチェンジまで操作してくれるので、ドライバーはブレーキ操作のみでOK。

「使うか使わないか」はユーザーの運転スキルや混み合った場所への駐車頻度にもよるので、正直いって「必須」といえるかどうかは判断が分かれるアイテムだが、この手の装置が付くことで、苦手な駐車のサポートが得られて安心できる方は多く、またアクアのような「売れるクルマ」に装着されると全体的なコストが下がることにも注目したい。

シフト操作も制御してくれるアドバンスドパーク

最大のライバルは身内か!?

 最大のライバルとなるのは、サイズが近しい身内の(同じトヨタ車である)ヤリスだろう。だが、ヤリスはパーソナル(一人)な活用に適していたのに対し、アクアは家族や友人と荷物を積み込んで出かけるような高い実用性をもったクルマだ。そのため、アクアは特に、若者世代にはよく受け入れられてきた。

 また、先代アクアのターゲットユーザーは、プリウスを含む中型車以上からの乗り換え(ダウンサイザー)が多いそうだ。ボディサイズはヤリスとかぶっていたとしても、パッケージングや走りは、それぞれ異なる味付けがなされているという。

ヤリスはパーソナル(一人)な活用に適している。いま欧州市場で受けているのも、一人で移動するときのドライバビリティに長けていることも影響しているはずだ

 実際、大いに売れた先代を継ぐ2代目として、どういったところを目指したのか? との質問に対し、トヨタは、

「第一に、日本の皆さんに愛されるクルマをつくりたかった。カッコよくしようとしたり、使い勝手を向上させようとすると、どうしてもボディを大きくしたくなる。ですが、そこであえて、決められたサイズ(5ナンバー枠)を守りながら、日本の道で使いやすいよう出来ることを全力でやった。

 その結果、このデザイン、このパッケージングに至った。ぜひ実際に乗ってみて、そのことを感じてほしい(開発責任者)」とのこと。

 アクアは、今回の新型でも、先代と同様に、国内販売でベストセラーカーを獲得し、常にランクインし続ける偉大なコンパクトカーになるだろう。アクアの立ち位置を把握し、守るべきもの(ボディサイズや燃費性能のアドバンス)は守るという判断をした新型アクアは、国産コンパクトカーとして珠玉の出来に違いない。月販目標台数は9500台とかなり強気の設定。

新型アクアのグレード別価格表。200万円を切るBグレードは、法人用途やレンタカー用途などに使われることが多い

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みんなのコメント

29件
  • トヨタらしい外観を変えないフルチェンジほとんどが車のデザインに興味のない人が買う車なのでこれでいい。
  • フロントグリルの縁のカラーってボディーの色が変わっても変わらないのね。
    差し色的な感じになるのかもしれないけど、合わない色があるのでなんだかなぁ・・・
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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