現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > クルマとの関係性を深める操舵感 アルピーヌA290(2) ゴルフ GTIと重なる大人な走りの一体感

ここから本文です

クルマとの関係性を深める操舵感 アルピーヌA290(2) ゴルフ GTIと重なる大人な走りの一体感

掲載
クルマとの関係性を深める操舵感 アルピーヌA290(2) ゴルフ GTIと重なる大人な走りの一体感

公道で充分満足できる220ps 最大トルク30.4kg-m

今回試乗したアルピーヌA290は、220psの方。0-100km/h加速は6.4秒で、180ps版の7.4秒より1.0秒速い。ただしハード的には共通で、ソフトで最高出力は調整されている。パワーオン時の人工音は2種類から選べるが、お好みでなければ消すこともできる。

【画像】日産マイクラのホットな兄弟 アルピーヌA290 電動のホットハッチたち ルノー 5も 全129枚

公道を走らせている限り、動力性能には充分満足できるはず。パワフルでスムーズで、レスポンシブ。ただし、ATをキックダウンさせるようにアクセルペダルを深く踏み込むか、オーバーブースト・ボタンを押さない限り、220psは開放されない。

1479kgの車重を考えると、有り余るほどではないものの、すぐに求めたパワーを引き出せる。最大トルクは30.4kg-mで、旋回中や荒れた路面で迂闊に右足を倒すと、トルクステアが生じるほど。

ブレーキはバイワイヤ式だが、感触は良好。回生ブレーキの効きはロータリーダイヤルで選べるが、ワンペダルドライブには対応しない。

ルノーらしい快適性 関係性を深める操舵感

サスペンションのダンパーはアダプティブではないが、乗り心地はフランス車らしくお見事。ミニ・クーパーと乗り比べたら、優しさと滑らかさに驚く人もいそうだ。小柄なハッチバックらしく、普段使いを快適にこなせるはず。

高速道路での安定性も高い。酷く荒れた区間では、少しソフトすぎると感じるかもしれないが。ロードノイズは、通常の5と比較して、特段うるさいようには感じなかった。

セーブ、ノーマル、スポーツ、パーソナルの4種類から選べるドライブモードによって、旋回時の中心軸は変化する印象。どのモードでも、低い重心位置が手伝って身軽に走れる。スタビリティ・コントロールは、ESCボタンを長めに押すとオフにできる。

ステアリングは、感触が薄めながら軽く正確。以前のメガーヌのように、特殊なステアリングナックルは備わらないが、パワーオンで手応えが変化しクルマとの関係性を深めてくれる。電動化の時代に、ホットハッチらしい特徴へ触れられることがうれしい。

VWゴルフ GTIと重なる大人な一体感

サーキットでは、公道以上にA290は印象的。ルノーらしく、アクセルペダルの加減でコーナリングラインやスタンスを調整できる。グリップ力は非常に高く、縁石へ乗り上げても安定性を失わず、手のひらへ伝わる感触は負荷が高まるだけ強くなる。

コーナーの途中でアクセルペダルを緩めると、荷重が後方へ移動。ブレーキペダルを踏むと、テールもシンクロして反応する。ドリフトも、きっかけを与えれば難しくない。

擬似的なLSDとして、カーブ内側の前輪へブレーキを掛け、外側へパワーを割り振る制御も旋回へ効果的に機能していた。サーキットを4周回ったが、ブレーキが加熱することはない様子。パワートレインが、セーブモードに入ることもなかった。

総じてA290は、かつてのクリオ(ルーテシア)やメガーヌの高性能版のような、敏捷性は宿さないかもしれない。だが、フォルクスワーゲン・ゴルフ GTIと重なる、大人な一体感へ没入できる。

遂に誕生した電動の小さなホットハッチ

今回の電費は、好条件の天気の中、様々なルートを走らせて5.3km/kWhが表示されていた。サーキットでは減りが速いが、現実的な航続距離は、290km程度と考えていいだろう。急速充電は、最速で100kWがうたわれる。

スタイリングやインテリアだけでなく、リフトオフ・オーバーステアや重心移動など、ドライバーズカーらしい話題にも迫れる走りを叶えた、A290。電動のコンパクト・ホットハッチが、遂に誕生したように思う。

全長4mのハッチバックだと考えると、お値段は安くない。しかし動的能力に対するアルピーヌのこだわりを、運転すれば強く感じ取れるに違いない。さらに高価なヒョンデ・アイオニック 5Nの存在を揺るがせる、スリリングな傑作だといっていい。

◯:サーキットで顕になる流暢な操縦性 公道でも楽しめる動的能力 有能なインフォテインメント・システム
△:もう少し公道寄りのチューニングでも良いかも カップホルダーがない 運転に熱中すると、みるみる減るバッテリー

アルピーヌA290 GTS(英国仕様)のスペック

英国価格:3万7500ポンド(約731万円)
全長:3990mm
全幅:1820mm
全高:1520mm
最高速度:169km/h
0-100km/h加速:6.4秒
航続距離:363km
電費:6.1km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:1479kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:52.0kWh
急速充電能力:100kW(DC)
最高出力:220ps
最大トルク:30.4kg-m
ギアボックス:シングルスピード・リダクション(前輪駆動)

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

ハイドロ彷彿の快適さ 誕生 DS No8(2) シングルの好バランスな走り 孤高の電動エグゼクティブ
ハイドロ彷彿の快適さ 誕生 DS No8(2) シングルの好バランスな走り 孤高の電動エグゼクティブ
AUTOCAR JAPAN
押し出される感覚が気持イイ 小変更 BMW 2シリーズ・クーペ(2) 可能な内に楽しみたい走りの1台
押し出される感覚が気持イイ 小変更 BMW 2シリーズ・クーペ(2) 可能な内に楽しみたい走りの1台
AUTOCAR JAPAN
【控えめだがホンモノ】究極のフォルクスワーゲン・ゴルフ!今まで見えてこなかった『R』の真価を知る
【控えめだがホンモノ】究極のフォルクスワーゲン・ゴルフ!今まで見えてこなかった『R』の真価を知る
AUTOCAR JAPAN
【アルフィスタ必読】思い出したのはアルファスッド!アルファ・ロメオ・ジュニアはその気にさせるディテール満載
【アルフィスタ必読】思い出したのはアルファスッド!アルファ・ロメオ・ジュニアはその気にさせるディテール満載
AUTOCAR JAPAN
W12凌駕の高性能 4代目 ベントレー・コンチネンタルGT スピード(2) UK編集部が気付く変化とは?
W12凌駕の高性能 4代目 ベントレー・コンチネンタルGT スピード(2) UK編集部が気付く変化とは?
AUTOCAR JAPAN
木製フレームに身体へ響く乗り心地 デイムラーSP250 & モーガン・プラス8(2) 英国製V8の世界
木製フレームに身体へ響く乗り心地 デイムラーSP250 & モーガン・プラス8(2) 英国製V8の世界
AUTOCAR JAPAN
【エスクードではなくeビターラ】BEVと内燃機関の良いとこ取り!スズキ登録車初の電気自動車は『良く出来たクルマ』
【エスクードではなくeビターラ】BEVと内燃機関の良いとこ取り!スズキ登録車初の電気自動車は『良く出来たクルマ』
AUTOCAR JAPAN
名門初のプラグインHV 4代目 ベントレー・コンチネンタルGT スピード(1) 歴代最強ハードを深掘り
名門初のプラグインHV 4代目 ベントレー・コンチネンタルGT スピード(1) 歴代最強ハードを深掘り
AUTOCAR JAPAN
最近のホンダってどうですか?(シビック&アコード・ハンズオフ編)【新米編集長コラム#37】
最近のホンダってどうですか?(シビック&アコード・ハンズオフ編)【新米編集長コラム#37】
AUTOCAR JAPAN
走りの質、楽しさ、そして余裕が格段に高まった──新型レクサスRZ試乗記
走りの質、楽しさ、そして余裕が格段に高まった──新型レクサスRZ試乗記
GQ JAPAN
いま1番トラッドなBMW 小変更 2シリーズ・クーペ(1) 肝な戦略的デザインとパッケージング
いま1番トラッドなBMW 小変更 2シリーズ・クーペ(1) 肝な戦略的デザインとパッケージング
AUTOCAR JAPAN
これぞブランド本来のカタチ? 誕生 DS No8(1) 上級サルーン「9」置換のハードを深掘り
これぞブランド本来のカタチ? 誕生 DS No8(1) 上級サルーン「9」置換のハードを深掘り
AUTOCAR JAPAN
いかついクルマは好きですか? 進化型「GRカローラ」がクルマ好きを虜にする理由【瀬イオナの試乗レビュー】
いかついクルマは好きですか? 進化型「GRカローラ」がクルマ好きを虜にする理由【瀬イオナの試乗レビュー】
くるくら
BEVが「退屈」だと思っていたあなたへ、新たなアウディ体験を。新型アウディQ6 e-tronが描く「プレミアムBEVの完成形」【試乗】
BEVが「退屈」だと思っていたあなたへ、新たなアウディ体験を。新型アウディQ6 e-tronが描く「プレミアムBEVの完成形」【試乗】
Webモーターマガジン
開発中のポルシェ・カイエンEVが英ヒルクライムでSUV新記録
開発中のポルシェ・カイエンEVが英ヒルクライムでSUV新記録
AUTOCAR JAPAN
【試乗リポート】アウディの大本命「Q6 e-tron」。EV食わず嫌いの方もぜひお試しあれ!
【試乗リポート】アウディの大本命「Q6 e-tron」。EV食わず嫌いの方もぜひお試しあれ!
LEON
【スズキ登録車初の電気自動車】コンパクトSUV『eビターラ』登場!後発が出した答えはインド生産、そして?
【スズキ登録車初の電気自動車】コンパクトSUV『eビターラ』登場!後発が出した答えはインド生産、そして?
AUTOCAR JAPAN
2025年版 自動車専門誌が選ぶ、最高の小型車 10選 スタイリッシュで気楽な都市生活の相棒
2025年版 自動車専門誌が選ぶ、最高の小型車 10選 スタイリッシュで気楽な都市生活の相棒
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村