660Tと1500。ジムニーとシエラの違いといえば、まずエンジンの排気量が思いつく。ジムニーXC(5速MT)とシエラJC(4速AT)の2台を同じ走行シーンで乗り比べてみるとどのような違いがあるのか。
こうして見比べてみるとシエラのフェンダーフレア+ワイドバンパーの効果がよくわかる。17cmの差は何に当てられているかといえば単なる見た目の違いではなく、トレッド値。ジムニーの前1265/後1275mmに対して、シエラは前1395/後1405mmと、前後ともに130mmの拡大を図っている。タイヤサイズにも違いがあり、ジムニーは175/80R16を、シエラは195/80R15を装着する。
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先述のようにエンジンはジムニーの660ccターボに対してシエラは1500cc自然給気。
ジムニー:47kW(64ps)/6000rpm 96Nm(9.8kgm)/3500rpm
シエラ:75kW(102ps)/6000rpm 130Nm(13.3kgm)/4000rpm
これだけでは参考にならないので、変速比×最終減速比も乗じてみる。ご存じ、ジムニーシリーズはトランスファーを備えていて高低のレシオを切り替える。
数字からもわかるように、ジムニーの5速MTの1速は非常にローギヤード。発進時にもすぐに2速に入るような印象だ。悪路における脱出時や走破性などを考慮した数値なのだろう。
4速ATはやはり楽。先に述べたように5速MTの1速がローギヤードのため、変速操作が街中では少々煩雑な印象に対して、圧倒的なアドバンテージがあった。これが660T+4速ATだとどうなるのだろうか。
乗り心地には大きな差は感じられず、派手に侵入してくる振動や騒音とも相まって、運転にはなぜかやる気が出る(笑)。ジムニーをお求めの方には無用な心配だとは思うが、通常の軽自動車とはまったく異なる性質のクルマということはきちんと理解しておいたほうがいいだろう。
コースとしては都筑区の街中を10km走行、その後第三京浜・都筑ICを玉川ICまで走行して同じ道を帰ってくるというもの。その際、第三京浜の復路についてはAWD(高速変速比)に切り替えてみた。街中ではそれほどの混雑には見舞われず、高速でも周囲のクルマと同じ速度での巡行を心がけた。走行距離はおよそ30km。
結果、ジムニーの平均燃費は11.8km/ℓ、シエラは11.2km/ℓという数字だった。WLTCモード燃費値ではジムニー5速MTが16.2km/ℓ、シエラ4速ATが13.6km/ℓなので、今回はシエラがだいぶ善戦した印象だ。
今回の2台を乗り比べてみて「どちらが好きか」と問われたら……非常に迷う。4速ATの安楽さは魅力だが5速MTの操作性も捨て難い。660Tと1500の違いはあまり感じられたかったので、そうするとボディスタイルの話になってくるか。となるとナローでライトなジムニーがより「らしい」ってことになるが、ブラックでフェンダーラインを引き締めるシエラも猛烈に格好いい。これに淡色系のボディカラーを組み合わせると……と、いつの間にか購入検討モードに突入しているところも、またジムニーの魅力なのである。
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