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本物以上のクオリティ!フォード「RS200トリビュート」の相場はWRCマシンより安い約2280万円から

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本物以上のクオリティ!フォード「RS200トリビュート」の相場はWRCマシンより安い約2280万円から

フォードRS200レプリカ? いえ、ホンモノを超えるトリビュートです

欧米の国際格式の自動車系ビッグイベントでは、それに付随するかたちで大手オークションハウスが大規模なオークションを併催することが多くなっています。2025年5月17日に開催された「The Iconic Sale at SUPERCAR FEST 2025」もそのひとつ。英国ノーサンプトン州のシウェル空港で開催されたスーパーカーイベント「スーパーカー・フェスト・ザ・ランウェイ 2025」のオフィシャルイベントとして、その会場内でプレビューと競売を行いました。今回はその出品車両のなかから、悲劇のラリーマシンであるフォード「RS200」を忠実に再現した「トリビュート」車両をピックアップします。

フォード「RS200」が約9000万円! わずか24台しか生産されなかった「エヴォリューション」の走行距離は500キロ未満!?

デビューが遅すぎた? 成果を残すことなくフェードアウトしたRS200とは?

フォードRS200が誕生したのは、ラリー史上もっとも過激な「グループB」時代。そのパワーは絶大ないっぽうコースは危険で、ドライバーの技量がいかに高くても、マシンのパワーを完全に引き出すのはかなりのリスクを冒さねばならなかった。

フォードの競合他社、ランチア「デルタS4」、アウディ「S1クワトロ」、プジョー「205T16」などは、自社のロードカーに適したモデルをベースに、あるいは姿だけでも似せたラリーカーを開発した。それに対し、フォードはより極端な方策を選んだ。まずはラリーでの競争力を最優先したマシンをフリーハンドで開発。それをベースとして、グループBホモロゲーションを満たす200台の生産に適した市販版を再開発したのだ。

250psを発生するコスワース開発の1803cc 4気筒ツインカム16V「BDT」に、「ギャレットT03/04」ターボチャージャーを組み合わせて、ドライバーの背後に搭載している。スイッチ可能な4輪駆動システムに軽量コンポジットボディを採用。そして、ラリー畑でキャリアを重ねたジョン・ウィーラー技師と、F1やグループCスポーツカーでも輝かしい実績を残したトニー・サウスゲートが共同考案した、ハニカム構造のアルミ/スチール/カーボンファイバー製センタータブを中心としたシャシーを備える。グループB時代でももっともエクストリームなラリーカーのひとつとなった。

実際に販売されたのは147台だった

ただし実際のところ、RS200がWRCで活躍したのは1シーズンだけ。フォードのファクトリードライバーのひとりであるカレ・グルンデルが、1986年の「スウェディッシュ・ラリー」で3位入賞したのが、WRC最高位となる。続く「ラリー・ド・ポルトガル」では、3人の観客の命を奪う悲劇的なアクシデントの当事者となってしまう。今にして思えば、この大事故が「グループB 」ラリーの終幕の引き金のひとつとなり、同カテゴリーは1986年シーズン終了後に消滅した。

FIAホモロゲート獲得のため、フォードは200台のロードゴーイングモデルを製造する必要があったが、どんなに速く高性能であっても、仕上げが粗雑で、ロードカーとして生活するにはやや非現実的であった。フォードRS200の権威であるジャスティン・スミス氏によると、実際に販売されたのは147台だったとみられているようだ。

その希少性と「グループB」時代全体にまつわる神秘性が相まって、RS200の価値も近年急上昇。現在では定期的に25万ポンドを超える価格で取引され、コンディションの良い個体であれば40万ポンドを大きく超えることもある。

あるエンスージアストの情熱から生まれた“トリビュート”

グループB時代の終幕後、オリジナルのフォードRS200は国内およびローカルレベルのラリークロス競技に活躍の場を移した。同じくグループBで成功をつかみ損ねた「MGメトロ6R4」と同じく、比較的コストパフォーマンスが高く、修理が容易であることから人気を博した。その結果、多くのロードゴーイングRS200が競技の酷使されて失われたか、あるいは修復が困難なコンディションに陥ってしまっている。

その一方で、走行距離の少ないロードバージョンがマーケットで発見されることも稀にある。それらは逆に博物館級のコレクターズアイテムと化してしまい、思いっきり走らせるには適さないクルマとなってしまった。

そこで、このほどアイコニックオークショネア「SUPERCAR FEST 2025」に出品された、名づけて「RS200トリビュート」の売り主である現オーナーは、あるプロジェクトを実現に移すことにした。

高品質なRS200レプリカの生産を専門とする、さるスペシャルショップが破綻しそうになっていたのを契機に、ベースとなる車両キットやそのほかのコンポーネンツを一括購入。その後は6年の歳月と15万ポンド以上の投資を行い、蓄積された知識とオリジナルの純正パーツ、スペシャリストの人脈を活用した。さらに最高のエンジニアたちに依頼して、間違いなく「究極のロードゴーイングRS200」を作り上げようと決意したのだ。

オリジナルないしは当時モノのパーツが贅沢に装着され、純正ツールキットも装備されたこの「RS200トリビュート」には、多くの魅力が詰まっている。シャシーデザインはオリジナルをベースとし、フロントおよびリヤセクションとも構造は同じだが、室内スペースは若干ながら拡張されている。

エンジンは2L「ZETEC」を搭載

サスペンションはフルアジャスタブルで、ツインショックとスプリングつき。「AP Racing」社製ブレーキキャリパー、フローティングベントつきの直径330mmレースブレーキで武装し、ラリー仕様の「RS200エヴォ」に取り付けられていたものに似た、スプリットリム式17インチアロイホイールが組み合わされる。

また、ボディパネルの多くは純正で、リアカウルはガス封入ストラットで正しい方向に開く。またオリジナルのラジエータダクトやインナー・ホイールアーチを流用するほか、オリジナルと同じ 5スロットのスモーク入りリアスクリーンも取りつけられる。

エンジンは、オリジナルの「コスワースBDT」用のカムカバーが取り付けられているが、その下にはもっと新しいフォードの2L「ZETEC」が隠されている。ドライサンプ化や専用クランクシャフトに専用ピストン、そして「ギャレット(Garret)G30-660」ターボチャージャーを組み合わせて、オリジナルRS200ロードバージョンの2倍以上、あるいはWRCマシンであるRS200エヴォ最終型+100ps以上に相当する550psオーバーの最高出力を発生するとのこと。

新品同様にリビルトされたアウディ製5速ギアボックス、 標準のフォード「シエラ・コスワース」用108mm径のドライブシャフトを使用し、「TTV」のビレットフライホイールおよびツインプレート式レースクラッチと組み合わせている。

ホンモノのRS200の半額以下のエスティメートが設定されながらも…

インテリアもすべてオリジナルRS200の基本形にしたがったものとされながらも、表皮には高価なアルカンターラを各部に使用したほか、+40mm拡幅しつつもオリジナルのトリムパターンで仕上げられた 伊「スパルコ(Sparco)」再生シートを装着する。また、オリジナルのRS200用本革巻きステアリングホイール、純正のエクステリア側ドアロック、同じく純正ダッシュボード上のフルVDOメーターセットと、コラム周辺のスイッチ類も「正しいRS200」の雰囲気に貢献しているようだ。

そのいっぽうで、電動パワーステアリングラックに電動ドアミラーも装備するほか、「Apple CarPlay」および「Android Auto」に対応し、リアビューミラーつきフロント/リアカメラも組み入れたモニターをダッシュボード上に設置。フロアには「ダイノマット(Dynomat)」ノイズインシュレーションを張り巡らして、現代の路上でも通用する快適性および遮音性の向上まで図っているという。

長年にわたって定期的に楽しむことができる

このように、現代的かつ巧みに練り込まれたうえに、RS200のオリジナル性を美しく再現した「RS200トリビュート」は、実用的で快適なRS200の再創造であり、これまでの走行距離を気にすることなく、長年にわたって定期的に楽しむことができる。

2023年にはドナーなしの「フォードRS200」として、キットカーなどに適用される「IVA(Individual Vehicle Approval :個別車両承認)」を受けるとともに、「C117 OTW」の登録ナンバーをつけた「ブリティッシュフォード博物館」所蔵のRS200に敬意を表し、「C17 OTW」として登録されることになった。 アイコニックオークショネア社では、このRS200トリビュートについて

「オマージュなのか、トリビュートなのか、レプリカなのか、リ・クリエーションなのか、復活なのか、それともリ・イマジネーションなのか……? もし英国フォードが2025年に向けてRS200を再設計していたら、こんなクルマを作っていたかもしれない」

というちょっと詩的なアピール文を添え、11万ポンド~13万ポンド(邦貨換算約2110万円~約2500万円)という、オリジナルのRS200ロードバージョンの相場からすると、半額以下に相当するエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

ところが、シウェル空港内の特設会場で行われた競売では、出品者の希望で事前設定していたリザーヴ(最低落札価格)には及ばなかったようで、残念ながら流札。現在では11万8500英ポンド、すなわち日本円に換算すれば約2280万円というリテールプライスを新たに設定し、アイコニック社営業部門による継続販売となっているようだ。

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みんなのコメント

6件
  • sup********
    ほ、欲しい…
  • rip********
    コンパクトな車体に無理やり? エンジンを中心に据えた車って何かカッコいいね。
    ルノーサンクターボ、プジョー205ターボ16、ルノールーテシアスポールV6、ランチア デルタS4
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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