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「実力とは別の部分で人生が左右されるのは酷」不運なポジションダウンを生むSF現行フォーマットの落とし穴。ドライバーから対処求める声高まる

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「実力とは別の部分で人生が左右されるのは酷」不運なポジションダウンを生むSF現行フォーマットの落とし穴。ドライバーから対処求める声高まる

「1戦1戦、みんなのレース人生がかかっている中で、実力とは別のもので人生が左右されてしまうのは、ドライバーにとって酷だと思います」

 毎戦ハイレベルでアツい戦いが繰り広げられるスーパーフォーミュラ。しかし今季はレースフォーマットの妙もあり一部のドライバーが不可抗力によって不利益を被る場面が散見されており、それを問題視する声がドライバーからあがっている。

■“白い彗星”勢い止まらず。太田&牧野ワンツーで開幕から無敗継続……トラブル車両も多発|スーパーフォーミュラ第4戦もてぎ決勝レポート

 この件が最初に話題にあがったのが3月の第1戦鈴鹿。このレースは従来通り10周目にピットウインドウがオープン(つまりピットに入ってタイヤ交換義務を消化できる)となるフォーマットだったが、ちょうどその直前にセーフティカーが入り、そのままピットウインドウオープンの10周目を迎えた。

 当然、スロー走行のセーフティカーラン中にタイヤ交換を済ませた方が圧倒的にタイムロスが少ない。そのためこの時は全車がピットレーンになだれこみ、ピットストップを行なった。

 ただ、そうなると損をするのがチームメイトのすぐ後ろを走っているドライバー。各チームでピット作業のスペースは1台分しかないため、彼らは先にピットインしたチームメイトのタイヤ交換が終わるまで後ろで待機する必要があった。この煽りを食ったのが野尻智紀(TEAM MUGEN)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)らで、彼らはタイムロスを強いられて優勝争いから脱落した。

 そしてもてぎでの第4戦でも、似たようなシチュエーションがあった。このレースはいつでもタイヤ交換義務を消化できる、ピットウインドウなしのレースだったが、1周目にアクシデントが発生して早々にセーフティカー出動。トップの山下健太(KONDO RACING)をはじめ約半数の車両が1周目にピットに入ってきた。

 この時チームメイト太田格之進の後ろ3番手を走っていた牧野としては、タイムロスを甘んじて受け入れて2台同時ピットストップをするか、ステイアウトして太田らライバルに対してピットストップ1回分のマージンを稼ぐか(そしてもう一度セーフティカーが出ることに期待するか)しかなかったと言える。いずれにせよ、不利益を被らざるを得ない状況だった。

 結果的にレースペースの良さもあり、太田に次ぐ2位でフィニッシュすることができた牧野だが、逆に今回のレース展開では2位より上の順位は目指せなかったとして、こういった不可抗力が起こり得るフォーマットには思うところがあると記者会見で漏らした。

 では逆に、こういった不可抗力が起きる確率を少しでも減らすにはどうすべきか? 少なくとも、アクシデントの起きやすい1周目はセーフティカーが出るリスクが高いため、そこでピットに入れないように全てのレースでピットウインドウを設定するだけでも違うかもしれないが……この点について牧野に尋ねると、彼はFCY(フルコースイエロー)の導入など様々な案が考えられると述べた。

「鈴鹿(第1戦)に関しては10周目のウインドウオープンのタイミングにセーフティカー(SC)が絡んでしまったので、仕方がないと言えば仕方がないと思いますが……。どうすればいいのかは正直難しいところですね。スーパーGTのように、SCが入ったらピットレーンをクローズするのも手だと思います」

「あと個人的には、スーパーフォーミュラで早くFCYを入れてほしいなと思いますね。今日のアクシデントもFCYで処理できた事案だと思います。SCだとこういうことになりがちですが、国内最高峰として世界的にも誇り高いレースですし、そろそろFCYを入れてもいいんじゃないかと思います」

 FCYは全車追い越し禁止のスロー走行となる点はセーフティカーと同じだが、車両先導の下で隊列を組み直さず、それぞれのギャップを保ったままで走行するという点に違いがある。そのためセーフティカー出動時のように各車のギャップがリセットされたり、ピットインすることで大幅にタイムロスを減らせるといったことがなく、平たく言えば不確定要素が少ない状況で事故処理ができる。

 こういった牧野の意見には、ディフェンディングチャンピオンである坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)も同意する。彼にこの件について意見を求めた際に出てきたのが、冒頭のコメントだ。
「ドライバー個人としては、牧野選手が言う通りかなと思います」

「アクシデントが起きるのは大方1周目ですし、1周目からピットに入れるフォーマットの場合、(SC出動の際)2台目のマシンが割を食ってしまうことになります。1戦1戦、みんなのレース人生がかかっている中で、実力とは別のもので人生が左右されてしまうのは、ドライバーにとって酷だと思います」

「ですからFCYを導入するなり、1周目にセーフティカーが出た時はピットに入れないようにしたり、何かしらを変えないと、同じようなことがシーズン中にまた起きると思います」

「僕らが声をあげたところでルール変更に繋がるとは思っていませんが、主催者側もそういったことを感じていた印象を受けたし、ブリーフィングでは実際にそういった話になっているので、早急に対処が必要かなと思っています」

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みんなのコメント

9件
  • piyopiyosan
    それより先に、TV画面に表示される順位変動やタイムギャップをリアルタイムで表示できるようにしてくれよ。
    あのシステム、ホント興ざめなんだが。
    あとオンボード映像、なんであんなに汚いの??
  • のぶ(をぢん)
    ドライバー心理としてはそうなんだろうけれど、SC、FCYはそもそもレースを安全に遂行するための方法。
    タイヤ交換で云々っていうなら、SC、FCY中のピットインを禁止すればよいだけではないのだろうか?
    SC、FCY前にピットに入ったものが有利になるとか言い出す人もいるが、SCのタイミングとかわかるはずもなく、これこそ運ではないだろうか?
    運の実力のうちっていうが、そうなることもある。
    急激な天候の変化で危険性が高い場合はこの限りではないだろうが、それでも、ドライからWETに変更ってなったら、集団で入ってくるから、結局は同じこと言い出すのではないだろうか?
    SC、FCY規則を見直すのが良いとは思うが。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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