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アウトビアンキ・アバルト……日本の若者も呪文のように口にしたもんよ! イマドキの若者にも知ってほしい「軽くて小さくて速くて安い」伊製ホットハッチの魅力

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アウトビアンキ・アバルト……日本の若者も呪文のように口にしたもんよ! イマドキの若者にも知ってほしい「軽くて小さくて速くて安い」伊製ホットハッチの魅力

 この記事をまとめると

■アウトビアンキA112アバルトはかつて存在した軽量ホットハッチ

壊れて当然のノリだけど現代のクルマにはない楽しさがある! 沼る可能性しかないハチマルイタフラ車

■名エンジニアの手で仕上げられたデザインと刺激的な性能で当時の若者を虜にした

■わずか70馬力ながら軽量でレスポンスに優れた走りはいまなお魅力的

 コンパクトホットハッチを地で行く1台

 スモールクラスでもしびれるような魅力を放つメイクスといえば、アバルトを置いてほかにありません。なにしろ、カルロ・アバルトは当時のF1まで開発したエンジニアですから、街のチューナーとは別格。とはいえ、いまとなってはアバルトのレコルト・モンツァや695SSなどのクラシックモデルは価格高騰の一途。なかなか庶民が手を出せる金額ではありません。

 そこで、オススメしたいのがアウトビアンキA112アバルト! わずか670kgの車重に対し、フルチューンエンジンは70馬力と、聞いただけでも痛快さが読み取れるもの。国内導入された当時は、若者がこぞってサソリの毒に病みつきになったものでした。

 1969年デビューのアウトビアンキA112は、その名のとおりアウトビアンキ社製の2ボックス、FFのハッチバックカー。なお、アウトビアンキは自転車やオートバイを作っていた「ビアンキ」とフィアット、ピレリによる合弁会社で、基本的にはフィアットをベースとしたクルマを開発していました。自動車製造からは1996年に撤退していますが、ビアンキは自転車メーカーとしてはいまだにトップブランドの地位を守っています。

 そんなA112は、フィアット850から903ccのエンジンを流用し、またフィアット128の先行開発ということでプラットフォームも(サイズ変更して)流用という構成。ですが、スタイリングはベルトーネに任され、当時のチーフスタイリストだったマルチェロ・ガンディーニが腕をふるっています。スーパーカー的な片鱗は見られないものの、車体の四隅に配されたホイールハウスや、最終モデルまで変更されなかった6ライトウィンドウ、クラシックミニに勝るとも劣らないバランスのよいデザインは、さすがガンディーニと唸らずにはいられません。

 そして、当時のフィアットといえば、モータースポーツ関連はアバルト一色だったこというまでもありません。124アバルトラリーやX1/9アバルトの先行開発で大忙しだったはずのアバルトですが、早くも1970年にA112アバルトのプロトタイプを完成させています。

 もっとも、A112が搭載していたフィアット850のエンジンは、アバルトにとってはTCR1000のベースであったお馴染みのユニット。半球型燃焼室を持つラディアーレ・シリンダーヘッドや、排気系をマルミッテ・アバルトに変更するなどして、いきなり108馬力を叩き出してみせます。プロトなのでさほど信憑性は高くないものの、最高速は208km/hともいわれ、さすがアバルトの面目躍如となったのでした。

 ですが、その後1971年に発売されたA112アバルトはいくらかおとなしく、水冷OHV直列4気筒982ccユニットをベースに吸排気チューンによって58馬力という設定。その後、A112シリーズはフェイスリフトを繰り返し、最終的には第7世代まで進化を遂げることに。このうち、日本に導入されたのは1982年に生まれた第6世代のアバルトから。

 日本にも正規導入され若者中心に人気を呼んだ

 排気量は1050ccまで拡大され、その最高出力は70馬力を発揮するまでになっており、5速MTを介して最高速は160km/hを誇りました。フロントマスクやリヤガーニッシュにはアバルトのロゴが配されたほか、シートベルトまで真っ赤という仕様は、「なんだかアバルトって凄そう」と予感させるには十分すぎるほどだったと記憶しています。

 ちなみに、価格は180万円程度であり、車格こそ違えども国産スポーツカーと張り合えそうなクルマとしては破格のバーゲンプライス! 前述のとおり、多くの若者が呪文のようにアウトビアンキ・アバルトを口にしていたのです。

 また、第5世代を迎えてもなお人気が衰えることはなく、フィアット主催によるワンメイクレース「カンピオナートA112アバルト」が開催されたほか、2010年には「トロフェオA112アバルト」と題してリバイバルレースまで行われています。ちなみに、トロフェオは元F1ドライバーのオリビエ・パニスが参戦するなど本格的なレースで、A112アバルトのパフォーマンス、ドライビングの楽しさが垣間見えるというもの。

 実際に乗ってみると、トップエンドまで軽々とまわるエンジンや、そのレスポンスのよさに驚かされました。また、なにより軽い車重のおかげで無謀とも思えるコーナー進入でもなんとかなってしまうシャシーにも頬が緩んだこと、いまでも覚えています。たかが70馬力といえども、ためらうことなく全開、全速力が楽しめるという点においては絶妙なパワーであり、乗っているあいだは「これ以上はいらねーや」と確信すること請け合い。

 スモールホットハッチは絶滅危惧種といっても差し支えないジャンル、しかもアバルトという宝石のようなブランド。タマ数こそ少ないものの、手に入れるならいまが最後のチャンスかもしれません。

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みんなのコメント

46件
  • don********
    アウトビアンキ・アバルト と聞くと、いや俺たちには シャレード・デトマソ がある! と思っていた学生時代、シビックのRSとかFRのスターレットとか、ホットハッチに夢を見ましたとも。
  • dar********
    鳥山明先生が乗っていた。アバルトの前はホンダシティーを買ったのだが、すぐにターボが出て漫画家仲間から笑い者にされたのでホンダが嫌になりアバルトにした
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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