前週の第7戦に続き、この10月3~5日の週末もアウトドローモ・ヴェロチッタを舞台に争われたSCBストックカー・ブラジル“プロ・シリーズ”第8戦は、ラウンドを重ねるごとに新世代SUVに構築されたテクノロジーモデルがパフォーマンス向上を見せるなか、全長3443mのテクニカルコースで“伏兵”が躍進。
土曜のスプリントではトヨタの新鋭が悲願の初優勝を飾り、フェリペ・マッサの僚友を務めるラファエル鈴木(TMGレーシング/シボレー・トラッカー)がFP最速から予選ポールポジションを獲得。日曜メインレースでも勝利を挙げる大活躍を演じて見せたが、レース後の再車検でまさかの失格裁定が降り、シリーズ“3冠”ガブリエル・カサグランデ(A.マティス・フォーゲル/シボレー・トラッカー)が新たな優勝者となっている。
バリチェロ代役で19歳の女性注目株がデビュー。ミツビシ、シボレー勝利でJPも表彰台に/SCB第7戦
■BoPによりミツビシに対し、トヨタとシボレーのパフォーマンスが向上
ブラジル・サンパウロ州内陸部のモジ・グァスーにてバック・トゥ・バックの開催となった第8戦は、前戦を欠場していた“2冠”王者ルーベンス・バリチェロ(フルタイム・カヴァレイロ/トヨタ・カローラクロス)が復帰。先週は代役として史上最年少、シリーズ史上4人目の女性ドライバーである19歳の新鋭アントネッラ・バッサーニを起用していたチームは、蓄積の少ない新世代SUVで2週連続開催となるコースでのデータ収集と分析を急ぐ。
また、この週末より「革新的SUV時代の到来に伴う最大のイノベーションのひとつ」と称されたDRSがストックカーにデビュー。スタート後、少なくとも2周を走行した後、またはセーフティカー(SC)導入後に前方のライバルとの差が1秒以内で作動させることができ、ベロチッタでのDRS検知ポイントはターン10と11の間、作動ポイントはターン12(ヴィトーリア・カーブ)の終点、スタート・フィニッシュ・ストレートの始点とされた。
システムはドライバーがDRS起動ボタンを押すのをやめると手動で解除され、ウイングレット作動後、最初に減速またはブレーキを踏んだ時点で、電子制御機器によっても自動的に解除される。また、安全上の理由からウエットコンディションでは、レースディレクターがいつでもシステムを解除することができるという。
そのうえで、さらに今週末はもうひとつの重要な変更が実施され、カテゴリーの競技規則で義務付けられるBoP(性能調整/バランス・オブ・パフォーマンス)が発動。このレースウイークからレベル2での運用が開始され、シボレー・トラッカー、そしてトヨタ・カローラクロスの2車種は最低地上高が10mm引き下げられ60mmに。一方のミツビシ・エクリプスクロスは70mmを維持し、最低重量はシボレー、トヨタが1245kg、ミツビシが1265kgとなった。
こうした前提を踏まえ走り出したフリープラクティスでは、気温32℃という猛暑のなか鈴木が1分28秒535の非公式レコード(FPのため)を記録して首位に。そのまま土曜午後の予選でも力強いラップを刻み、今季初、自身キャリア3度目のポールポジションを獲得した。
「完璧なラップを刻むには、かなりの集中力が必要だった。チームに感謝したいし、僕たちはとても仲が良い。厳しい時期も一緒に乗り越えてきたからね。フェリペ(・マッサ)との仕事は素晴らしく、彼から多くのことを学ぶことができている。さあ、少し息抜きの時間だ」とフロントロウにはネルソン・ピケJr.(スクーデリア・バンデイラス・スポーツ/ミツビシ・エクリプスクロス)、背後の3列目5番手には僚友マッサを従え喜びを語った鈴木。
「ポールポジションは必ずしも勝利が保証されているわけではないが、良い気分だ。明日はポールポジションからスタートする。今日(のスプリント)は12番手でより厳しい状況だが、ベストを尽くすよ」
そのリバースグリッド規定で土曜スプリントのフロントロウを得たアーサー・ライスト(クラウン・レーシング/トヨタ・カローラクロス)は、前週の“ポールシッター”としてそのスピードを遺憾なく発揮。レースの大半は首位発進のブルーノ・バティスタ(RCMモータースポーツ/ミツビシ・エクリプスクロス)がリードしたものの、迅速なピットストップ作業の後で逆転に成功し、前週の予選でもフロントロウに並んでくれた僚友の大先輩、フリオ・カンポス(クラウン・レーシング/トヨタ・カローラクロス)が2位に続くなか、ライストが待望のストックカー初勝利を飾った。
「僕を支えてくれるすべての人の働きに、本当に感謝している。僕たちのパフォーマンスは信じられないほどだ!」と、シリーズの黄金世代とも称される24歳のライスト。
興味深いことに、この81号車カローラクロスのドライバーはブラジルのモータースポーツ最高峰カテゴリーで優勝を果たした81人目のドライバーとなり、チームとの2026年契約更新の数日後、この初優勝の瞬間を迎えた。
「僕の仕事と能力を信じてくれたウィリアム(・ルーブ代表)にも感謝している。来年も契約が更新されたから、少しホッとしていたんだ。頑張ろう。そして、これが多くの成功の第一歩となることを願っている」
明けた日曜メインレースでポールポジションからスタートした鈴木は、オープニングでSC導入の波乱にも動じず、ふたたび気温が32℃前後にまで達する中、ほぼ最初から最後までトップを快走。最終ラップではカサグランデにシボレー対決を挑まれ猛烈なプレッシャーを受けながら、キャリア通算4勝目を飾った。
さらに午前中併催のTCRサウスアメリカ・シリーズでFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRを操り、勝利を挙げていたネルソン・ピケJr.(スクーデリア・バンデイラス・スポーツ/ミツビシ・エクリプスクロス)は表彰台返り咲きの3位となり、4位でフィニッシュラインを通過したマッサを挟み、バリチェロが週末2度目のトップ5を記録した。
しかしそのレース後。2位カサグランデの新世代SUV初表彰台は優勝へと変わった。この逆転劇はブラジル自動車連盟(CBA)が毎戦実施する標準車検後に発生。CBAのテクニカルコミッショナーが鈴木の8号車シボレーのフロアジョイントに欠陥を発見し、車体表面付近の気流を変化させる可能性のある改造を禁止する技術規則第4.6条に基づいてこの決定を下したという。
この処分にTMGレーシングはSNSへの投稿で異議を唱え、スポーツ司法上級裁判所に控訴する意向を表明しているが、現時点での結果はピケJr.とマッサが表彰台、4位バリチェロとアティラ・アブレウ(スクーデリア・バンデイラス/シボレー・トラッカー)のトップ5へと変わっている。
これで選手権はいよいよ終盤戦を迎え、次戦はマット・グロッソ・ド・スルの州都カンポ・グランデに位置するアウトドローモ・オーランド・モウラが舞台に。約6年ぶりにこのカテゴリーが訪れる第9戦は、10月24~26日の週末に争われる。
[オートスポーツweb 2025年10月10日]
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