発売から1か月で累計約38,000台を受注し、月間販売計画のおよそ6倍となる好スタートを切ったホンダの新型『フリード』。2024年の日本カー・オブ・ザ・イヤー大賞を受賞したことでも話題を集めた。約8年ぶりとなるフルモデルチェンジには、どのような想いが込められていたのか。
今回は、本田技研工業株式会社 フリード開発責任者 安積悟さんに、開発までの道のりや苦労した点、今後の展望について話を聞いた。
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本田技研工業株式会社 フリード開発責任者 安積悟さん
*本稿はVoicyで配信中の音声コンテンツ「DIMEヒット商品総研」から一部の内容を要約、抜粋したものです。全内容はVoicyから聴くことができます。
不変の「ちょうどよさ」と最新技術e:HEVの融合
はじめに、フリードの特徴について、安積さんは次のように話す。
「フリードは、初代発売時から『ちょうどいい』をコンセプトに、使いやすさ・コンパクトさ・広い室内空間を両立したミニバンとして開発してきました。3列シートでありながら全長約4.3m、車幅1,695mm(5ナンバーサイズ)というコンパクトサイズなのが特徴です。初代から3代目となる新型まで、この基本コンセプトは変わりません」
モデルチェンジの目玉の一つとなるのが、ハイブリッドシステムの刷新。すでにフィットやヴェゼルで搭載されている「e:HEV」を採用した。
「e:HEVは、基本的にモーターで走ることを想定して設計されています。一方、高速道路などでは、エンジンと直結することで効率的な走りを実現。これにより、静粛性・燃費・経済性を向上させています。車に対して、上質感や乗り心地を求める人に貢献できるシステムです」
発売直後から大きな反響を呼んだ新型フリード。中でも人気なのが、このハイブリッドモデルだという。
「最初はハイブリッドが60%、ガソリンが40%くらいで売れるのではと予想していたんですが、実際は受注の80~85%がハイブリッド車で、当初の予想を大きく上回っています。昨今のガソリン価格の高騰や、ハイブリッドシステムの注目度の高まりから、ハイブリッド車の比率が増加しているように思います」
安積さんは、モデルチェンジの周期が長いのは“使い勝手”を優先して開発されたフリードだからこそだと続ける。
「車に求められる要素は時代と共に変化しますが、生活を支える道具としての本質的なニーズ、つまり『使いやすさ』『便利さ』『広さ』は普遍的です。フリードはそこに新たな価値を付加することで進化してきました。だからこそ、息の長い車になっているのだと思います」
逆境を乗り越えて。コロナ禍だからこそ生まれた‟快適空間”へのこだわり
新型フリードの開発が始まったのは、ちょうどコロナ禍。安積さんは、思うように開発を進められず、苦労する点も多かったと振り返る。
「外にも行けず、市場調査もできない。人と集まることもできない状況で、フリードの開発はスタートしました。最初は働き方も変えながらの手探り状態で苦労しましたね。一方、そのような環境ならではの気付きもありました。“車の中で快適に過ごすために、何をしないといけないか”を深く考えられる時間になったんです」
ライバル車に当たる、トヨタ「シエンタ」と差別化するべく、フリードの強みを生かした設計も取り入れている。
「シエンタは3列目を収納スペースとして使うことを想定されていると思いますが、フリードは3列目まで大人がしっかり座れることを重視しています。また、フリードはウォークスルーを取り入れ、座席間を移動できる点も強みの一つです」
コロナ禍で思うように市場調査ができない中、新型フリードの開発はメンバー自身がユーザーの視点に立ち、仮説を立てて検証していく手法を取ったという。
「開発メンバーには子育て世代のファミリーが多く、特に女性開発者の視点が開発プロセス全体を牽引しました。ファミリーで使用される場合、決定権が奥様にあることも少なくありません。そこで、新型フリードでは、運転席からの視界を広く確保するためフロントピラーをシンプル化し、死角を減らすことで、運転に不慣れな方でも安心して運転できるよう配慮しました」
シートをあえてシンプルにしたのも、女性スタッフの一言がきっかけだった。
「運転席に座るお母様が後部座席のお子様や荷物にアクセスしやすいよう、シートのショルダー部分をスリム化しました。また、スリムなシート形状のおかげで、後部座席にいるお子様から母親の姿が見えやすいのもポイントです。お子様が不安になることを防ぎ、コミュニケーションが取りやすくなりました」
開発陣を悩ませた、デザインと価格の“ちょうどいい”地点
安積さんは開発を振り返り、デザイン面でも苦労する点が多かったと話す。
「エクステリアデザインとインテリアデザインの要望調整も大きな課題でした。それぞれの理想を、限られたサイズの中で両立させることは容易ではありません。相反する要求の橋渡し役として、活躍したのがパッケージデザイン担当です。顧客視点に立ちながら両者を上手くまとめて、フリードの『ちょうどいい』を実現してくれました」
新型フリードのベースグレードは「FREED AIR」と名付けられている。安積さんは、このネーミングにも想いが込められていると話す。
「フリードは発売当初から、使い易さと便利さから来るちょうど良さでお客様の生活を支えたいという考えで開発してきました。
今回の3代目のフリードは、お客様の生活に寄り添うだけでなく、お客様の気持ちの面まで寄り添う事で、もっとちょうどいいフリードでありながらも、しかし、あくまで生活を支えるクルマであり、それ自体が目立つ存在であってはならないとも考えました。このコンセプトを体現する言葉として選んだのが『AIR』です。お客様の生活に溶け込み、空気のように常に寄り添い、支える存在でありたい。そんな想いを込めて名前を付けました」
ホンダが考える「ちょうどいいクルマ」とは
2024年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した新型フリード。「実のところ、私も驚いた」と安積さんは本音を漏らした。
「フリードは、世界初や日本初を謳うような技術を搭載しているわけではありません。私たちが目指したのは、今の日本のお客様にとって本当に必要なものは何かを考え、地道に開発していくことでした。だからこそ、今回の受賞は本当にありがたいですし、開発者としてこれほど嬉しいことはありません。お客様にとって本当に必要なものを愚直に追求してきた結果が、今回の受賞に繋がったのだと思います」
安積さんは、今後はフリードのメインターゲットである子育てファミリー層だけでなく、ミレニアル世代にもアピールしたいと話す。
「ファミリー層のニーズとは別に、もっと直感的に『欲しい』と思わせるような訴求が必要だと考えています。ミレニアル世代を取り込むには、感性に訴える部分、例えばデザインやカラーリングなど、もう少し踏み込んだ演出が必要だったかもしれません。若い世代がもっと振り向いてくれるような、エモーショナルな訴求を強化していきたいと考えています」
最後に、ホンダが目指す「ちょうどいいクルマ」の在り方について伺った。
「スポーツカーにとっての『ちょうどいい』と、ミニバンにとっての『ちょうどいい』は違いますよね。それぞれのカテゴリーで『ちょうどいい』の定義は変わるんです。ホンダとしては、スポーツカーでもミニバンでもセダンでも、それぞれのカテゴリーでユーザーが本当に求めている『ベスト』な車を作りたいと考えています」(
取材・文・撮影/久我裕紀 構成/DIME編集部
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