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走行距離23万キロ超えの「黒いアキュラ」が米国オークションに登場 29年前のタルガ仕様「NSX-T」の“現在の価値”とは

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走行距離23万キロ超えの「黒いアキュラ」が米国オークションに登場 29年前のタルガ仕様「NSX-T」の“現在の価値”とは

NSXシリーズの歩みと今回の個体

 2025年4月27日に米国オークションで落札された1996年製の「高走行タルガ仕様」は、ホンダ35年の歴史を持つ「NSXシリーズ」の中でどのような価値を示したモデルなのでしょうか。

【画像】23万キロ超えの「NSX-T」はどんな価値がある!? 画像で見る(31枚)

 ホンダが1990年に発売したNSXは、世界初のオールアルミモノコックボディとミッドシップレイアウトを採用した国産スーパースポーツです。

 可変バルブタイミング機構VTECを備える3リッターV6エンジンは280psを発揮し、1350kgの軽量ボディと相まってフェラーリやポルシェに匹敵する動力性能を示しました。

 ニュルブルクリンクで鍛えられたシャシーは高剛性を確保しながら311.8度という広い視界や実用的な荷室を備え、日常で扱えるスーパーカーという概念を打ち立てます。

 1995年には屋根を脱着できるタイプTが追加され、1997年に排気量が3.2リッターへ拡大、2001年に固定式ヘッドライトが採用され、2005年まで改良が加えられました。

 この進化の過程ではF1で得た軽量化技術と空力ノウハウが惜しみなく投入され、「誰もが扱えるフェラーリ」を目指した開発思想が今も語り継がれています。

5万9000ドル(日本円で約900万円)で落札

 今回の車両は、初期型3リッターエンジンと5速マニュアルを組み合わせた1996年式NSX-Tです。

 ベルリナブラックの外装に同色タルガルーフが備わり、ポップアップヘッドライトや一体型リアウイング、サイドエアインテークが精悍なスタイルを構成します。

 現オーナー下でプライド製エキゾーストとヘッダー、S2000用アンテナ、リアビューカメラ、社外ヘッドユニットが追加され、個体ならではの個性を際立たせています。

 左リアの損傷修復歴とフロントバンパー再塗装歴があるものの、2024年3月の排出ガステストをクリアし、均整の取れた外観を維持しました。

 深みのあるベルリナブラックは細かな傷が目立ちやすい色ですが、良好な光沢が保たれている点も評価材料となります。

 足回りには7本スポークアルミホイールとブリヂストンおよびクムホタイヤが装着され、4輪ダブルウイッシュボーンサスペンションとスタビライザーバーが俊敏なハンドリングを支えます。

 赤いNSXロゴ入りキャリパーとベンチレーテッドローターが制動力を強調し、2023年にステアリングラックが再構築、2024年10月にはフロントローター研磨とブレーキパッド交換が行われました。

 ABSユニットは当時最新の4チャンネル方式で、現在も正常に作動しています。専用設計のラックアンドピニオン式ステアリングギアは機械的なフィーリングが濃く、ミッドシップ特有の前後荷重変化を繊細に伝えます。

 キャビンはタンレザーのパワー調整式スポーツシートとブラックレザーダッシュが上質な雰囲気を醸成しています。

 自動気候制御やクルーズコントロール、Boseサウンドシステムが快適性を高め、左ドアロックは過去の侵入未遂後に交換済みです。

 オドメーターは14万3000マイル(約23万136km)を指しますが、2023年7月にタイミングベルトやウォーターポンプなど大規模整備が施され、2024年2月にイグニッションコイルとスパークプラグを更新、8月にオイル交換が実施されるなど機関は健在です。

 センターコンソールに組み込まれた社外ヘッドユニットはBluetooth接続に対応し、現代のスマートフォン環境とも違和感なく共存します。未装着の純正マフラーと排気部品が付属する点も愛好家には魅力です。

※ ※ ※

 オークションでは最終的に5万9000ドル(日本円で約900万円)で落札されました。

 希少なタルガトップ仕様、丁寧に残されたサービス記録、そしてベルリナブラックとタンレザーという王道の配色が価値を支えたといえます。扱えるスーパーカーというNSXの理念は今も有効であり、良質な個体への需要は今後も続くでしょう。

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みんなのコメント

8件
  • f00********
    地方都市のワタシ
    最近は身近に3~5台見かける様になった

    いろいろと好きで気になる要素が多い車体
    偶然にその中の1人の方と会話できる機会があり
    見せて頂きました

    アルミ、ジュラルミンに近いシャシーを
    覗けるだけ見せてもらって

    永く楽しめそうで良かった
    好い車です

  • yrv********
    23万キロで、こんなに高いのか。
    こりゃ、アキュラめるしかないな(泣)
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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