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【スズキ KATANA vs GSX-S1000 徹底比較】傑作「K5」エンジンが生んだ“血統書付き”の2台、その違いとは…佐川健太郎

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【スズキ KATANA vs GSX-S1000 徹底比較】傑作「K5」エンジンが生んだ“血統書付き”の2台、その違いとは…佐川健太郎

スズキの人気スポーツバイク、『KATANA(カタナ)』と『GSX-S1000』。同じ1000ccエンジンを搭載し、どちらも優れたパフォーマンスとスタイルを兼ね備えたモデルだが、実際に乗るとどのような違いがあるのだろうか。両車の特徴を比較しながら、それぞれの魅力を探ってみよう。

◆同じエンジンなのに乗り味が異なる
「KATANA」はその名のとおり日本刀をモチーフにした鋭いデザインが特徴。特にフロントのシャープなヘッドライトや力強いキャラクターラインが目を引く。2025年モデルでは新色のブルーが追加され、より洗練された印象を与えている。

【スズキ KATANA 試乗】カタナの魅力はネーミングと個性的な外観だけではない…佐川健太郎

一方「GSX-S1000」はストリートファイターを思わせる攻撃的なデザインが特徴。エッジの効いたボディラインは現代的で、新たに5インチのカラーTFTメーターが採用され視認性と高級感も向上している。

「KATANA」と「GSX-S1000」はどちらもスズキが誇るスーパースポーツ『GSX-R1000』の傑作型式「K5」がベースの水冷直列4気筒エンジンを搭載し、ストリートでの扱いやすさを考慮してチューニングされている。低中速域のトルクを重視しつつ、高回転までスムーズに伸びていく強力なパワーが魅力だ。

スペック的にも最高出力値は同じ150psでトルク値も同じ105Nm。発生回転数も同じだ。だが実際に乗り比べてみると、面白いことに「KATANA」のほうがスロットルレスポンスも鋭くアグレッシブな乗り味に感じる。一方の「GSX」はやや角がとれたというか、若干ではあるがマイルドな感じなのだ。

関係筋の話によると、エンジンマップで少し味付けを変えているらしい。「GSX」が新型になった2022年に「KATANA」も同様にマイナーチェンジして大幅に電子制御化されているので、出力特性をいじることぐらいは簡単なはずだ。

◆ダイナミックなKATANAと足着きの良いGSX
スーパーバイク由来の強靭なアルミツインスパーフレームを土台とする車体も基本的に共通で、ホイールベースやキャスター角やトレール量も同じで車重も215kg程度。それでもハンドリングには微妙な違いがある。

コーナーでは安定感があって旋回特性もリニアで操作しやすいのは同じだが「KATANA」はアップライトで幅広なハンドルによってダイナミックな入力がしやすく軽快。

これに対し「GSX」はやや前傾ポジションでどっしり感があるので直線が気持ちいい。シート形状も異なっていて、「KATANA」は硬めのクッションでシート高も835mmと高めなのに対し「GSX」は座面が前後に余裕があり同810mmと低めで足着きが良いのも魅力。

クッション性も適度に確保されてロングツーリングでも疲れにくい設計になっている。着座位置は「KATANA」が前寄り高めでハンドルが近く「GSX」は後ろ寄り低めで懐が広い。サスペンションは同じはずだが「KATANA」のほうがハードな感じがする。と文章で書くと大きく異なる気がしてしまうかもしれないが、同時に乗り比べないと分からないレベルの差異と思ってほしい。

それとメーターについては、新しいカラーTFTタイプを採用する「GSX」のほうが実際に見やすく画面操作もしやすかった。

◆どちらも血統書付き、用途や好みで選べばいい
これらを踏まえて敢えてキャラ分けするとすれば「KATANA」は機敏なフットワークを生かして積極的に操りたい人向きで、街乗りやツーリングでの快適性を求めるなら「GSX」が優位かもしれない。とはいえ、走行モードやトラコンなどの電子制御でさまざまな状況に適応できるので、双方とも場所を問わずオールラウンドな走りを満喫できてしまうだろう。

まとめると「KATANA」は個性的なデザインと伝統あるネーミングに惹かれるライダーにおすすめ。スポーツバイクとしての完成度も高く、刺激的なライディングを楽しみたい人向けの一台だ。

一方の「GSX-S1000」は日常使いでの利便性を考慮しながらスポーティな走りを求める人に最適。扱いやすいエンジン特性で乗り心地も快適なので、毎日乗るバイクとしても申し分ないと思う。どちらも血統書付きの魅力的なバイクであることは間違いないが、用途や好みによっても最適な選択肢は変わってくるはずだ。

佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

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