■これからどうする? 先が見えないクルマたち
現在、国内の自動車市場で大ヒットしているクルマがありますが、その影でヒットすることもなく細々と販売されているクルマもあります。
そうしたクルマの多くは、元々の販売目標も低く設定されているケースが多く、メーカーもそれほど力を入れていないのかもしれませんが、どこかのタイミングで存続か消滅かを検討しなければなりません。
そんな、今後どうなるか先行きが不透明なクルマを3車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「プリウスα」
2011年に登場したトヨタ「プリウスα」は、3代目「プリウス」をベースにしたステーションワゴンタイプのモデルです。
バリエーションは大きく分けて2列シート5人乗りと3列シート7人乗りとなっており、大人がゆったりと座れる居住空間に、最大1070リッターの荷室容量を確保。
外観は3代目プリウスのイメージを残し、空力性能を重視したスタイリッシュなフォルムです。
また、単にプリウスのボディを伸ばしただけでなく、3列シート車はプリウスに先駆けてリチウムイオン電池を搭載するなど、技術的にも進んでいました。
パワーユニットは全グレードが1.8リッター直列4気筒エンジン+モーターで、JC08燃費26.2km/Lを誇ります。
2014年のマイナーチェンジでフロントフェイスが一新され、2017年の改良では先進安全装備の充実が図られました。
以前はタクシー車両としての需要がありましたが、現在は「ジャパンタクシー」が主流となり、さらに同クラスのミニバンとして「シエンタ」が好調なセールスを続けていることなど、シャシが古いプリウスαの存在意義は微妙な状況です。
●日産「シーマ」
日産「シーマ」といえば1988年に発売された初代が大ヒットし、同時期にトヨタ「クラウン」や「セルシオ」のヒットもあり、高級車が飛ぶように売れるという社会現象にまでなりました。
その後シーマは代を重ねると、景気後退の影響やセダン人気の低迷もあり、徐々に販売台数は減少してしまいます。
5代目となる現行モデルのシーマは、「フーガ」をベースに開発され2012年に発売。「プレジデント」が2010年に販売終了となったことで、現在は日産のフラッグシップモデルです。
パワーユニットは全グレードとも306馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒自然吸気エンジンに、68馬力のモーターを組み合わせた1モーター2クラッチ方式のハイブリッドで、システム最高出力は364馬力を誇ります。
外観はロングノーズで抑揚のある美しいプロポーションのボディで、サイズは全長5120mm×全幅1845mm×全高1510mmと、初代に比べ全長230mm、全幅75mm、全高130mmも大型化されました。
2019年12月のマイナーチェンジでは、先進安全技術の充実が図られており、日産は継続して販売することを決めましたが、同じくフーガをベースにしたインフィニティ「Q70」の北米での販売が終了したことで、次世代のモデルは見えてきません。
■さすがに高額すぎ! 売る気はあるの!?
●ホンダ「クラリティPHEV」
プラグインハイブリッド車(以下、PHEV)は、一般的なハイブリッド車と構造は変わりませんが、大容量の電池を搭載することで長距離のEV走行が可能で、エンジンによる発電だけでなく、外部からの充電にも対応しているクルマです。
ピュアEVの課題である航続距離の不安や、長い充電時間などの問題の解決と、高い環境性能によって国内のみならず欧州でも注目されています。
日本ではトヨタ「プリウスPHV」や三菱「アウトランダーPHEV」がPHEVの代表的存在ですが、ホンダも燃料電池車の「クラリティ フューエルセル」のコンポーネントを流用することで「クラリティPHEV」を開発し、2018年に一般向けに発売しました。
ハイブリッドシステムはホンダ独自の「SPORT HYBRID i-MMD」をPHEV用に改良し、大容量の電池を搭載することで、国内トップレベルのEV走行距離114.6km(JC08モード)を誇ります。
さらに、走行用モーターは最高出力184馬力、最大トルク32.1kgmを発揮するなど、3リッターV型6気筒エンジンに匹敵するパワーを持ち、力強く滑らかな加速と優れた静粛性を両立。
しかし、価格が598万9500円(消費税込)と、かなり高額なため、販売台数は低迷しているのが現実です。
PHEVの購入の際には、国や自治体からの助成金があり、例えば東京都在住の個人ならば合計52万円支給されますが、それでも高額なことには変わりません。
ちなみに、アメリカでのクラリティPHEVの価格は、国内仕様と装備などに違いがありますが3万3400ドルからと日本円で約360万円です。
※ ※ ※
新型車の開発には莫大な費用がかかりますから、メーカーとしてはなるべく数多く長く売れるのが理想的です。
クルマのモデルチェンジサイクルは、かつては4年ほどでしたが、現在は6年から8年が一般的で、なかには10年以上も販売されることもあります。
エンジンにいたっては20年以上つくられるケースもあり、そのくらいのスパンで考えないと利益にならないということです。
新型車の開発がいかに難しいかが想像できるのではないでしょうか。
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みんなのコメント
とっくの昔にプリウスがモデルチェンジしてるのに同名派生モデルとしてはオカシイ。
あのサイズで7人乗りの需要もほとんどないからステーションワゴンとして選ぶならカローラツーリングで充分
PHEVも実用化していることにするために必要
本気で売る気はないまま継続