■知事公用車の主流はアル・ヴェル合計26台
2020年は各都道府県でトヨタ「センチュリー」を公費で購入したことが大きな話題となりましたが、騒がれたほとんどのケースは県議会議長や貴賓車など知事以外が乗るクルマとして購入されたものでした。
では、47都道府県の知事が乗る通称「知事車」では、どのような車種が多く採用されているのでしょうか。
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都道府県の知事が使う知事車(知事公用車、知事専用車)は、ほとんどの都道府県が「知事専用」としていますが、なかには「とくに専用車を設けず、知事が移動する際に空いている公用車を使う」ところもあります。
では、47都道府県では知事車にどのような車種が使われているのでしょうか。
今回は、全47都道府県に「現在の車種」と「ひとつ前の車種」を取材しました。
そのなかで、いまや高級ミニバン、そしてミニバンジャンルでもっとも人気が高いトヨタ「アルファード」が計17台と最多となります。
採用している都道府県は、北海道、青森、宮城、山形、福島、栃木、群馬、福井、奈良、鳥取、香川、佐賀、宮崎、鹿児島、徳島、沖縄となり、ほとんどがハイブリッド車です。
唯一、長野県は「山岳地帯・寒冷地を走る機会が多い」という理由でガソリン車を採用しています。
アルファードの兄弟車として同等の高級感を持つのが、トヨタ「ヴェルファイア」です。
都道府県では、秋田、新潟、岐阜、高知、長崎、山梨、東京、大阪、京都などがハイブリッド車を採用し、計9台でした。
そして、なにかと話題になっているセンチュリーは、千葉と石川が先代モデル(ガソリン車)、愛知と兵庫がハイブリッド車となります。
また、レクサスのフラッグシップセダンとなる「LS」を採用している都道府県は静岡(LS 500h)、岩手(LS 600h)、富山(LS 600hL)です。
さらに、2019年で生産終了となったトヨタ「エスティマ」は、愛媛と滋賀がハイブリッド車、三重がガソリン車となります。
そのほか、各2台ずつとなるのが、ホンダ「レジェンド」(埼玉/熊本)、マツダ「CX-8」(広島/山口)、トヨタ「クラウン(ハイブリッド車)」が和歌山、トヨタ「クラウンマジェスタ」が福岡です。
そして、レアなケースとしてはレクサス「ES300h」が大分、三菱「プラウディア」が岡山、日産「エルグランド」が茨城、日産「シーマ」が神奈川、ホンダ「オデッセイ」が島根となっています。
※ ※ ※
なお、今回の調査では「先代の知事車」についても聞いてみました。結果、多くみられる「乗り換え傾向」は、「センチュリーやクラウン→エスティマ(ハイブリッド車)→アルファード/ヴェルファイア(ハイブリッド車)というパターンがとても多くなっています。
一時は大変多かったセンチュリーの知事車ですが、2000年以降はとくに「知事車は環境に配慮したクルマであるべき」という考え方が広まり、知事車としての条件に「ハイブリッド」を加える都道府県ががぜん増えました。
そして、エスティマに代表されるハイブリッド車のミニバンが増え、耐用年数を過ぎたりリースアップしたりで、アルファード/ヴェルファイアのハイブリッド車に乗り換えるパターンが多くなっているようです。
ミニバンの採用例が多くなった背景には、室内高にゆとりがあるため乗り降りがしやすく、長時間乗っていても疲れないという意見が見られました。
また、視察の際などにも周辺が見えやすいということや、職員との打ち合わせや着替えなどにも便利という理由でも人気があるようです。
■一番走行距離を走っているのはどの都道府県?
それでは、知事車はどれくらい走行しているのでしょうか。全都道府県の事情を調べてみました。
知事車を新しく入れ替えるときの条件は、各都道府県によって異なります。
リース契約の場合は走行距離に関係なく5年で入れ替えるケースが多いようですが、走行距離10万キロを目安に入れ替える、耐久性や走行、メンテナンスに問題がなければ20万キロ超となっても使われ続ける知事車もあります。
現在使用されているなかでは、長崎県のヴェルファイア(ハイブリッド車)は2012年9月から採用され24万8000キロを走行しています。
また、石川県のセンチュリー(2012年12月から)や福岡県のクラウンマジェスタ(2000年6月から)が約20万キロと過走行気味です。
総走行距離としてもっとも多いのは、茨城県の先代知事車(2006年から2018年使用のセンチュリー)と徳島県の先代知事車(2007年から2017年間使用のセルシオ)で、ともに総走行距離26万キロという結果になりました。
現在の知事車でもっとも距離を走行している長崎県庁の長崎県総務部管財課自動車班は次のように話します。
「長崎県知事は県外への出張に知事車を使うことが多いため距離が伸びます。
あと、先代の知事車は2012年9月からは副知事車として使用しており、22万2000キロという距離は副知事車時代を含めています」
では、走行距離が短い知事車はどうでしょうか。こちらはやはり、大都市圏の東京、大阪、千葉、埼玉などが短くなっています。
全般的に首都圏や関西圏は走行距離が短めですが、神奈川県は2014年7月に日産「プレジデント」からシーマに乗り換えて2020年10月までに16万キロを走行。首都圏のなかでは断トツに多い走行距離です。
なお、直近では、大阪が2019年の1年間で4425キロ、2020年の4月から9月はわずか1586キロとなっています。
千葉は年間平均で9000キロ、また東京は2020年6月に新しい知事車に入れ替わりましたが、10月末までに5000キロです。
埼玉は2020年3月に新しくレジェンドに入れ替わりましたが、10月末までの走行距離は5700キロ。
2020年は大都市圏に限らず、どの地域でもコロナ禍によって走行距離がかなり短くなっている傾向もあります。
※ ※ ※
知事公用車は都道府県の「顔」という側面があり、何かと目立つ存在でもあるため意外と堅実なクルマ選び&使用がおこなわれていると感じます。
高額なセンチュリー購入で騒がれたほとんどのケースは、県議会議長や貴賓車など知事以外が乗るクルマとして購入されたものでした。
今後はほとんど使わない高級車の購入など、無駄遣いをやめる県が増えそうです。
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みんなのコメント
大事に使うのはいいこと。
隣の県ではコロナ交付金で通称「山口祥義の鐘」を作ろうとするなど、ずいぶん税金の使い方に差があるね。