■背面スペアタイヤを装備したSUVは今や少数派に
最近のSUVのデザインはますます流麗さを増し、スポーティさとラグジュアリーさが融合したカタチになっています。
スバル水平対向エンジンは生き残れる?メーカーのこだわりとEVという大敵
元々はクロスカントリー4WDやピックアップトラックの派生型として生まれたSUVですが、昨今はその違いがますます漫然としており、明らかに違うカタチを持っているのは、スズキ ジムニーとジープ ラングラーくらいになってしまいました。
この2台が他車と違っていると感じられるファクターになっているのが、背面スペアタイヤでしょう。
リアゲートにキャリア、もしくは直接スペアタイヤを装着していることは、かつてはクロスカントリー4WDの象徴として、スタンダードなものでした。しかし、昨今のSUVにはほとんど見られません。それはなぜなのでしょうか。
■クロカン4WDのお手本こと“ジープ”がその始祖だった
スペアタイヤが散見されるようになったのは、モータリゼーション黎明期の20世紀初頭。この頃のクルマを見てみると、エンジンルームや運転席脇、後部座席脇や背面など、装着場所は様々で、特にセオリーなどは無かったようです。
「クロスカントリー4WD=背面スペアタイヤ」というイメージをクルマの世界に定着させたのは、20世紀初頭に登場した「ウイリスMB」と「フォードGPW」という2台のジープといっても過言ではありません。
ご存じの通り軍用車だったジープですが、コンパクトなサイズと優れた悪路走破性によって20世紀を代表する名車となりました。その後のほとんどのクロスカントリー4WDが、このジープを手本にして造られたことは火を見るより明らかです。
ジープは兵員輸送だけでなく、武器を搭載して兵器としても使われたため、スペースユーティリティを考慮すると車内にスペアタイヤを置くわけにはいきません。運転席の横も、乗員がすばやく乗降するには邪魔になります。ボンネット上も整備性を考えるといまひとつ。
様々な検討の結果、背面になったのではないでしょうか。FRベース4WDだったジープは、背面にスペアタイヤを装着すると、後輪荷重とトラクションという点でもメリットが出てきます。
しかし、ウイリスオーバーランド社は背面がベストとは考えていなかったようで、戦後に民生用として登場したCJ3では、後輪サイドにスペアタイヤを移動させています。しかし、結局その後のモデルでは背面に戻されました。
■国産車にも続々と採用されるも、次第に廃れていき……
その後、トヨタ ランドクルーザー、日産 パトロール、三菱 ジープなどの多くの国産車も背面スペアタイヤを真似ましたが、時代と共に徐々にやめる車種が増えていきます。
クロカン4WDの高級化にそぐわなかったから
いくつか理由がありますが、まずは見た目です。
20世紀後半になるとクルマの高級車化が進みますが、クロスカントリー4WDの世界も同様でした。商用車から脱却してステーションワゴン化させることで、高級路線を望むユーザーニーズに対応したのです。
この際、剥き出しになったスペアタイヤはいかにも無骨だったため、ラゲッジスペースの床下に移動させられることになりました。ピックアップトラックも積載性を考えて、荷台ではなく床下にスペアタイヤを収納するのがスタンダードとなったのです。
リアゲートのスムーズな開閉の邪魔になったから
さらにリアゲート開閉時の利便性の追求も、背面スペアタイヤが廃れた理由のひとつです。
この手のクルマのスペアタイヤは重量が数kgありますから、それが装着されているリアゲートは、開閉に苦労します。さらに、この重量を支えるリアゲートのヒンジ、ダンパーなどの製造コストを考えれば、床下収納にした方がメーカーにもメリットがあるわけです。
SUVは元々、ピックアップトラックと4WDワゴンの融合で生まれたものですから、前述の理由から当初からほとんどのクルマで背面スペアタイヤを採用していませんでした。
トヨタ ハイラックスサーフや日産 テラノなどの一部グレードのみに、クロスカントリー4WDテイストを演出するために装着されていました。
■ジムニーとラングラーが背面スペアタイヤにこだわる理由とは
それでも、冒頭で挙げたスズキ ジムニーとジープ ラングラーが、今もって背面スペアタイヤにこだわるのには理由があります。
ジムニーの場合、そのボディサイズゆえに床下収納が難しいのではないでしょうか。仮に床下の置いた場合、今度は悪路走破性を犠牲にすることになります。ちなみに、車体をより軽くすることで悪路走破性を向上させようと、スペアタイヤを外してしまうユーザーもかなりいます。
ラングラーの場合、アンリミテッドであれば床下収納が可能に思えますが、ショートボディと部品共用となることや、ジープらしさというアイデンティの点から背面を採用していると思われます。
人によっては、オフロードでタイヤ交換をする場合に、床下収納だと泥などで身体が汚れるからという理由を挙げる人もいますが、最新型のランドクルーザー300系が荷室下にスペアタイヤを置いていることを考えれば、これは当てはまらないように思えます。
ただ、昨今は背面スペアタイヤどころか、スペアタイヤ自体を装備しているSUVがどんどん減っています。
パンク修理剤やランフラットタイヤを採用しているからです。ジムニーやジープが未来で廃番モデルになることは考えたくありませんが、後突安全性や後部視認性、環境性能を考えれると、いずれ背面スペアタイヤはなくなっていくのかもしれません。
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みんなのコメント
床下収納ではロードクリアランスが無くなってしまい走破性が悪くなる。また、泥濘みでは取り出すことが不可能な場合もある。さらに車内収納では積荷等を避けねばならず、汚れたタイヤを載せなくてはならなくなり不便。
なので背面タイヤが理想的なレイアウトなのです。