F1アゼルバイジャンGPで今季開幕から取り沙汰されているポーパシングの問題に再びスポットライトが当たったことを受けて、FIAは1週間後のカナダGPに先立った6月16日(木)に、解決へ向けた技術指令を発行した。
しかし地球の3分の1を移動し、1週間でレースに向けた諸準備をする中、この技術指令に対応できずにカナダGPを迎えることとなったF1チームも少なくなかった。そのため技術指令のタイミングについては、F1チーム代表たちから批判の声が上がっている。
■メルセデス代表、激怒! ”2本目のステー”許さない他チームの対応は「哀れだし、不誠実」
FIAが発表した技術指令は、フロア下のダウンフォース量の変化による”空力由来”のポーパシングや、サスペンションが路面のバンプに対応しきれないという”メカニカル”なバウンシングがドライバーに身体的影響を与えているのではないか、という懸念からの生まれたモノだ。
総じてマシンセットアップを妥協することで解消は可能だが、FIAはまず「車両の垂直加速度に基づき、垂直振動の許容レベルを量的に示す指標」を見極めるためにカナダGPをデータ収集の機会とした。
それに加えて、FIAはマシンの振動量を和らげるために、現在認められているフロアステーの前方に2本目のステーを追加することをチームに許可した。
しかしそのフロア強化に対応できたのは、10チーム中メルセデスだけだった(もちろん、重量増となるため、意図的にステーを追加しなかったチームもいるだろう)。
メルセデスは金曜日のフリー走行で2本目のステーを装着してマシンを走らせた。ただこの技術指令が、ステーは1本までと定義している”F1の最高法規”であるテクニカルレギュレーションに則していないのではないかという点で、他チームから抗議を受ける可能性があったため、土曜日以降は2本目のステーを外すこととなった。
土曜日の午前中にはポーパシング/バウンシング対策に関するミーティングを経て、メルセデスのトト・ウルフ代表はライバルのチーム代表が「不誠実な」振る舞いをしているとして公然と批判している。
しかし、アゼルバイジャンGPからカナダGPへの短い期間で事態が急展開したことで、チーム間に不公平が生まれたと不満を抱くチーム代表も少なくない。
アストンマーチンのマイク・クラック代表はこう語る。
「チームの全員が移動をしていて、モノは全部現場にあるから、技術指令のタイミングは本当に理想的ではなかったと思う」
「対応することはできても、何をするのか、何をすべきかを前もって知っておく必要があるのだ。だからこのような状況だと、保守的なアプローチを取り、次のレースを待つしかないと思う。もっと良いタイミングはあったはずだ」
アルファタウリのフランツ・トスト代表も次のように語っている。
「ほとんどの人が移動中だったから、タイミングが悪かった。レースの数日前に技術指令を出すのは、確実にベストとは言えない」
アルピーヌのオットマー・サフナウアー代表は、レース週末に向けた木曜日にステー追加許可を知らせるということは、フロアの強化パーツを用意していなかったチームにとって不利に働く可能性があったことを意味していると語った。
「例えば、ステーを持ってきていない他のチームにとっては、フェアではないだろう」と彼は言う。
「シーズン途中で舞台を変えないように注意する必要がある」
また多くのF1チーム代表が、マシンの振動量をどう管理し、取り締まりを行なっていくかという点においては非常に複雑な問題だと考えている。
アルファロメオのフレデリック・バスール代表は、次のように語っている。
「新しい技術指令の導入が正しい方法なのかどうか、正直私には分からない」
「新たな管理、監視、コントロールが必要になり、レギュレーションがまた複雑になる」
「フェラーリのようにバウンシングがあっても速いクルマもあれば、レッドブルのように解決できたチームもいる。ただ、どうしていくかはチーム次第なのだ」
サフナウアーは、どのチームも車高を上げるだけですぐにでも問題は解消できると付け加えた。
「我々はこれらのマシンを走らせる上で、他チームと全く同じ制約に直面している」とサフナウアーは言う。
「そして十分なパフォーマンスを確保しつつ、ドライバーを負傷させたり、マシンを壊したりしないような車高で走らせることになる。我々は安全に走らせるのだ」
「どのチームにも、そうする機会はあるはずだと思う。車高を上げるだけで良いのだ。安全になるし、他に何もする必要はない。ただ一部のチームがそうせず、変更させるためFIAにロビー活動しているのだ」
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みんなのコメント
結局、これが全てだよな。