外観 なぜeKクロスっぽい?
三菱は東京オートサロン2022(2022年1月14日~16日)でK-EVコンセプトXスタイルを世界初公開した。
【画像】アイミーブからK-EVまで【軽EV 3モデルを見る】 全40枚
K-EVは、その名のとおり軽自動車のEV(電気自動車)を指す。
三菱のブースで実車を見たが、外観は「ほぼeKクロス」という雰囲気だ。
その理由について、三菱の加藤隆雄社長は報道陣に対し「EVは特別なクルマというイメージではないことを示すため」と外観デザインに対するこだわりを説明した。
技術的な詳細、また価格について、今回は詳細な発表はない。
ただし、オートサロン初日に三菱ブースでK-EVコンセプトXスタイルの説明員は「満充電での航続距離は約170km」という数字を示した。
また、三菱と軽EVを共同開発している日産が2021年8月27日に公開したニュースリリースによると、搭載するバッテリー容量は20kWhで、価格は国や地方自治体などの購入補助金を考慮すると約200万円からとなる見込みとしている。
そのため、三菱のK-EVの量産モデルでも、20kWhで実質約200万円という想定が成り立つ。
発売時期については、三菱も日産も「2022年度明け」としてしている。
今回最新型の軽EVの姿が明らかになったことで、三菱と日産以外のメーカーからも軽EVが次々と登場することになるのだろうか?
「アイミーブ」が残したもの
量産型の軽EVといえば、三菱アイミーブがその草分け的存在だった。
その母体となった三菱アイは、エンジンをリアミッドシップとして、車内空間を広くし、また走りの良さが特長だった。
アイの床面にリチウムイオン電池パックを置いたアイミーブは、アイ本来の車体構造が奏功してズッシリとしながらも運転しやすい印象があった。
アイミーブが登場した2010年代前半は、グローバルでみると大手自動車メーカーによる量産型EVは日産リーフのみだった。
いまでは巨大企業へと成長したテスラは、英国ロータス・エリーゼの車体をベースとしたロードスターを生産していたが、販売台数は限定的という時代でもあった。
こうした中、日本では世界に先駆けて、国が主導するかたちで全国規模のEVおよびプラグインハイブリッド車による実証試験を展開した。それら実証試験の多くで、アイミーブが使用された。
また、一般ユーザーの間でも、社会トレンドにいち早く対応するアーリーアダプターと呼ばれる層でアイミーブの需要が生まれた。
だが、アーリーアダプターを核として、さらに一般向けへのアイミーブが一気に広がっていくような社会トレンドには至らなかった。
その原因は、価格の高さ、満充電での航続距離の短さ、充電インフラの数の少なさなどが挙げられる。
EVの風は吹いている でも……
アイミーブによる社会受容性、また技術面ではアイミーブによる基礎技術を応用したアウトランダーなど向けPHEV(プラグインハイブリッド車)の量産により、三菱社内にはK-EVコンセプトXスタイル開発に対する十分な知見がある。
また、K-EV全体構想としては、日産と軽自動車事業全般で協業するNMKV社では、三菱は日産のEV関連の知見を融合させることができたといえる。
さらには、2010年代後半からグローバルで急激に拡大しているEVシフトの流れによって、EV向けのリチウムイオン電池、モーター、各種制御システムのコスト削減も可能になってきた。
こうした過去の経緯と、直近での市場概要を加味して、K-EVコンセプトXスタイルが降臨した。
つまり、導入時期としては時代の流れに沿っていると思われる。
三菱関係者によると、三菱が軽EV市場への参入を正式表明してからこれまでに、企業関係と個人ユーザーの双方から購入を前提とした問い合わせが数多いという。その比率については「ほぼ5対5」という現状だ。
アイミーブとK-EVコンセプトXスタイルを比べると、価格はアイミーブ初期モデル比で200万円以上、またアイミーブ後期モデル比でも各種購入補助金を考慮すると100万円程度以上安いという計算になる。
価格でのハードルはたしかに下がったが、これで軽EV市場全体が一気に拡大するとは言い切れない側面もある。
リセールバリューも課題に……
課題はリセールバリューにある。
軽EVの商品価値を継続的に高めることで、さらなる需要につながる好循環を生む。
メーカーとして二次流通(中古市場)を直接的にコントロールすることはないと思われるが、例えばサブスクリプションモデルを活用するなど、軽EV市場における流通の基盤を構築することが重要だ。
もう1つ、大きな課題は、社会との融合をどう進めていくかだ。
具体的には、メーカーと地方自治体が連携した、地域住民や地域企業への軽EV活用に関する丁寧な説明である。
なぜいま、世の中にEVが必要であり、その1つとして軽EVが登場したのかを、住民や企業と膝を詰めで語り合うことが重要だ。
そのうえで、軽EVはガソリン車のような使い方は現状ではできないことを理解してもらう必要がある。
例えば、満充電と満タンでの航続距離は2倍以上違うこと。充電にはガソリン給油より時間がかなり長いこと。そのため、移動と充電の計画を事前にしっかり立てることなど基本的な事柄だ。
軽EVは、たんなる軽自動車の置き換えではなく、軽EV普及のためには社会全体が変わろうとする意識変化が必然である。
アイミーブ登場から10年以上の月日が流れ、2022年は軽EV元年になるのか?
肝は、人々の社会に対する意識の持ち様にあると思う。
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みんなのコメント
実際、我が家で家内が乗っているN-BOXをEVに買い換える計画があったのでアリア風モデルであれば買い換えてもいいかと思ったが、ekクロス風のEV車ではちょっと買い替えは難しいと思う。
ということで、ホンダが発売するモデルを待つことにしました。
デザイナーは一体何を考えているのか?