6月15日にフィニッシュを迎えたWEC世界耐久選手権第4戦ル・マン24時間レース。トヨタGAZOO Racingの8号車GR010ハイブリッドは5番手走行中、20時間経過を前にしたピットアウト直後に左フロントのナットが飛びホイールが脱落するという、無念のトラブルに見舞われた。
ステアリングを握っていた平川亮は、スロー走行でマシンをピットへと戻したが、ガレージで修復を行ったことで7周おくれへと転落、勝負権を失うことになった。レース終了直後、平川に当時の状況を、チームにトラブルの原因を聞いた。
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■スロー走行時に平川が感じた“恐怖”
8号車は10番手からレースをスタート。序盤から上位をフェラーリ499Pが固め、最後尾から追い上げを見せるポルシェ963の様子を見て、想像以上の苦戦を実感したという。
「正直に言うと、レースが始まってからは『勝負権はなかなかないな』と思っていました。ペース自体があまり良くなく、セーフティカーが出ないかなと思いながら粘るレースをしていました」
表彰式の喧騒が響き渡るパドックで、平川はいつもどおり淡々と語った。
それでも夜が近づくにつれ、周囲とのポテンシャル差が縮まるのを感じたという。
「おそらく、周りはあまり縁石を使わなくなっていたりしたのかなと。自分たちもトップグループと同じようなタイムで走っている時間帯もあって、そのあたりではワンチャンあれば前に行けるかなという雰囲気は感じたものの、なかなか差が縮まらない状態でした」
平川らは予選日の段階で、“24時間、縁石に乗り上げ続けられるクルマ”に仕上がっていることを自負していたが、その部分での利点は活かせたようだ。
「朝を迎える前にセーフティカーが出て、その後運良く2番手、そしてトップに立って、というところで急に流れが来たかなと思ったのですが、スローゾーンで2回くらい損して後退して、その後はペースもあまり上がりませんでした」
トップに立った後、平川は最終的に優勝する83号車フェラーリ499Pにパスされたが、「ストレートが圧倒的に違いました」と、抵抗することすら許されなかったという。今回のトヨタは、とりわけストレートエンドの最高速でライバルとの差に苦しんだ印象だが、平川によればそれは「ストレートでは、うしろについてもスリップが効かないくらい」の差。また、とくに夜の間にソフトコンパウンドを履いていた際は好調だったが、その後再び陽が上るとパフォーマンスは元に戻ってしまったという。
ピット作業直後にホイールナットが飛んだ件については、交換直後、ピットボックスから加速した段階では違和感はなかったという。
「ピットアウトして、1コーナーを曲がっていくところで、急に舵がなくなって、急に振動が起きて……」という平川は、途中で完全に左フロントホイールを失いながらも、スロー走行で10分以上かけてマシンをピットに戻した。
「下を結構擦っている感じがあったので、ゆっくり走らないとクルマが壊れるな、という感じでした。ゆっくり走って帰ればいけるかな、と。うしろから350km/hくらいでマシンが来るので怖いのですが……まぁ先週、コース1周を(自分の足で)走ったときよりは短い時間だったので(苦笑)」
極めて冷静にマシンを気遣って戻ってきた平川は、途中、ポルシェカーブに入るところではあえてスピードを上げた。
「あそこは(ブラインドになっていて)後ろのクルマから見えないので、危ないなと思ってスピードを上げただけです」
そんな冷静さも見せた平川は、今回のル・マンにおけるリザルトを別にした自らの仕事については、満足できると総括した。
「タイヤが外れる前のスティントでは、3スティント目のタイヤでちょっと飛び出したりとかはしたのですが、それを除けば結構いい走りはできたかなと思いますし、気持ち的にも、体力的にも、いままでで一番良かったのかなと思います」
■ブレーキの不具合がナット脱落に影響か?
ピットアウト後にナットが飛んでしまった原因については、ブレーキの熱が悪影響を及ぼしていた可能性があるという。今回、トヨタ勢はブレーキに問題を抱えており、7号車GR010ハイブリッドの小林可夢偉はその影響で序盤にミュルサンヌでコースオフも喫していた。
「ドライブペグが外れないまま、次のホイールを着けて(ナットを)締めてしまった、というのが正しい表現になるかと思います」と8号車のトラブルについて説明するのは、加地雅哉モータースポーツ担当部長。
「普通はそんなことは起こらないので、やっぱりブレーキからくる熱とか、そういったものが何らかの悪さをしていた可能性があります。まだ断定はできないのですが、熱が影響していた可能性は否定できない、というところです。結局最後はペグが飛んで、それでホイールが外れるという形になりました」
チーム代表を兼ねる可夢偉は、「ウインターテストでは耐久テストをやっていますけど、簡単に言えば『冬』じゃないですか。暖かいコンディションではないので、いつも僕らがテストするスペインとかではなく、もしかしたらバーレーンとか(暑くて)ブレーキを踏むサーキットで、やった方がいいのかもしれません」と、ル・マン開催時に近いコンディションでの耐久テスト実施の可能性を含め、改善していきたいという意向を明らかにしている。
[オートスポーツweb 2025年06月16日]
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